この記事をまとめると
■レザーシートは摩擦などに弱く傷がつきやすい■革靴を修理するキットで軽度のダメージなら直すことができる
■大きく傷んだシートや色が特殊なシートは専門業者に修理を頼むのがオススメだ
レザーシートの痛みって直せるの?
高級車の標準装備、そのほかのクルマにもオプション設定されている本革シート。車内の高級感を高めるほか、パンチングレザーシートならそのパンチング穴を利用して、ベンチレーション機能をもたせることが可能になる。シートのベンチレーションとは、空気を吸い込み、暑い時期の着座の際、エアコンの冷風を利用し、座面、背もたれの暑さを解消。
しかしだ。レザーシートは、レザーバックやレザーシューズ同様、キズが付きやすく、目立ちやすい難点がある。ファブリックシートでは気にならない摩擦などにも比較的弱いのだ。

ところで、クルマのレザーシートはクルマのボディ塗装と同じように仕立てられることもある……ということをご存じだろうか。革をなめし、表面に塗装をして(色付け)、クリア塗装するという方法もある(シボを専用シボローラーで付けることも)。
よって、補修方法もクルマの板金塗装に近い工程になるというわけだ。具体的には、プロが行う場合、脱脂してパテのようなものでキズを埋め、塗装して色付けし、クリア塗装を施す……というイメージだ。

とはいえ、レザーシートは繊細な素材だから、キズや汚れ、ヒビ、劣化などについてはレザーシート専門の業者に任せるのがもっとも安心。が、ちょっとしたキズ、擦りキズなら、目立たないようにする方法がないわけでもない。
その前に、まずは大切なレザーシートをキズ付けないように乗る方法を紹介したい。
まず絶対にNGなのは、シート面に触れる部分にジッパーや金属装飾が付いている衣服で座ることで、レザーにキズ、擦りキズをつける原因になる。

筆者もパンチングレザーシートのクルマに乗っているのだが、愛車に乗るときはそうした衣服をもってはいるが、着ないようにしている。チェーン付きの財布のチェーンを付けたままレザーシートに座るなんてもってのほかだろう。そしてお尻や背中を不必要にぐりぐり動かさないことだ(こちらは革のたるみや破れの原因になる)。

レザーシートに掃除機をかける際も、掃除機のノズルの先をシートに当てないように配慮すべきだ。理由として、尖ったプラスチックを下手に当てるとキズ付きの原因になるからである。

もちろん、キズ付きやすい底面の荷物をそのまま増せるのもNG。アウトドアでも使うプラスチックのコンテナなどがその一例だ。必ずタオルなどを敷いてから乗せるようにしたい。
レザーシートの補修にオススメな道具を紹介
で、本題のレザーシートの擦り跡の補修だが、先述のようにプロに任せるのがベストだが、すでに説明したように「クルマのレザーシートはクルマのボディ塗装と同じように仕立てられる」とすれば、方法は塗装面のキズ補修に準じる、と考えられる。
つまり、塗装の小キズをコンパウンドで消す際、まずは超極細を使ってみて落ちるかを確認し、落ちればそれでOK。超極細で落ちなければ極細を使い、それでも落ちなければ細目を使う……という、いきなりキズ取り効果の強い細目を使わず、穏やかな効果のものから順番に使っていくという磨きの鉄則が参考になる(仕上げは逆)。
レザーシートの擦りキズも、まずはクルマ用のレザーシートクリーナーやトリートメントを塗布してみて、目立たないレベルまで補修できるかを確認。擦りキズ程度なら、意外にこの作業だけで納得できる補修、仕上がりになる可能性もある(擦りキズ部分が浅くても、そこに汚れが入ってキズを目立たせている場合がある)。

しかしそれでも納得のいく補修にならなければ、絵の具のような皮革補修アイテムを使うのが手っ取り早い。スプレータイプのレザー塗料もあるにはあるが、余計なところに色が飛ばないようにマスキングしたりする手間が必要で面倒だ。
手軽に使える絵の具のような皮革補修アイテムとしては、靴クリームなどでも有名なCOLUMBUSのアドカラーチューブ(20g)がある。本来はレザーシューズの浅いキズ補修のための皮革塗料で、クロ、グレー、ベージュ、キャメルなど全15色が揃い、絵の具のように違う色を混ぜて調色することも可能とのこと。

使い方は、シートを清掃後、アドカラーを指にとって、キズを埋めるように塗り、乾燥する前にブラシで叩いてキズの凹み部分を整え、ムラのないようにならして乾燥させる、という作業だ(自己責任でお願いします)。最後にクルマのレザーシート用クリームをシート全体に塗り込み、完成である。とくにブラックのレザーシートだと、黒い靴のキズを黒の靴クリームで補色するように、比較的失敗なくキズを目立たなくすることが可能だろう(そのほかの色は調色が必要だからなるべくプロに任せるべき)。

もちろん、アドカラーの取説をしっかり読んで使い、終わったあとも十分に乾燥させてから乗り込まなければならないが、COLUMBUSは「クルマのレザーシートに使えますか?」という質問に対して、「背もたれの部分や座面など完全に乾いても、強い擦れや引っかきなどの物理的な衝撃で剥がれる可能性があります。衣服などに付着する場合もあり、推奨はしていません」とあるので、その点のリスクを承知での補修作業になる。あくまでもこれは靴用の補修用品だからである。

ちなみに、うちのレザーシートのクルマの後席には愛犬を乗せる機会も多いのだが、乗せる際は爪のひっかきキズや汚れ防止のために、直接ではなく純正のシートエプロン(撥水生地)を装着している。愛犬家などでぺットと過ごす人はこれなら安心である。
