この記事をまとめると
■道路ではよく原付がクルマの間をすり抜けている光景が見受けられる■原付のすり抜けを取り締まる法律はじつは存在していない
■原付のすり抜けは場合によっては違反の対象になる
原付の進路を塞ぐ行為の是非
原付(一般原動機付自転車)がすり抜けをして、ヒヤッとした思いをしたことがある方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、原付はすり抜けをしてもよいのか改めて解説します。また、原付のすり抜けを防ぐのは違反なのかについても考察していますので、運転をするときの参考にしてみてください。
原付のすり抜けを直接取り締まる規定はない
まず、原付のすり抜けは違反なのかということについてですが、結論からお伝えすると、原付のすり抜けを直接取り締まる規定は存在しません。しかし、追越し違反や割り込み等の違反で取り締まられる可能性があります。
そのため、クルマが止まっているときにすり抜けるといった行為そのものは、交通違反にならない可能性が高いといえるでしょう。しかし、危険が生じるような方法ですり抜けをしたり、無理に割り込んだりすると、取り締まられる可能性が高くなります。
原付ですり抜けをする際は、周囲のクルマの動きに気をつけたり、止まっているクルマにぶつかったりしないよう、細心の注意をはらいながら行う必要があります。
クルマは左に寄せて左折するのが基本!
原付のすり抜けを防ぐのは違反?
では、原付のすり抜けを防ぐために、クルマが左に寄ったり右に寄ったりするのは違反となるのでしょうか。
クルマは、右折をするときはあらかじめ道路の中央(一方通行の場合は道路の右側)に寄り、左折をするときはあらかじめ道路の左に寄っておく必要があります。この道路の中央または右や左に寄っておくのは、後続車の進路を妨害しないようにするという目的のほかに、二輪車の巻き込み事故を防止する目的で行います。

そのため、右寄りや左寄りにする正当な理由があれば、違反となりません。
もし、右左折に伴う進路変更(いわゆる右寄りや左寄り)をするとき、安全不確認のために原付を転倒させてしまった場合は、クルマ側の過失割合が大きくなり、安全運転義務違反となるでしょう。

しかし、安全を確かめて右左折に伴う進路変更をしたあと、信号待ちのために停止しているときに原付が無理にすり抜けをしたためにクルマと接触した場合などは、基本的に原付の過失割合が10割となります。
そのため、事故が発生した経緯や状況によって、過失割合や違反は変化するといえるでしょう。
直接取り締まる規定はないからすり抜けしていい……わけではない
原付のすり抜けは、直接取り締まる規定がないものの、巻き込み事故や接触事故など、さまざまな危険を伴う行為です。
この記事を通じて、改めて原付をはじめとする二輪車のユーザーに知っておいてもらいたいのは、すり抜けをすることが絶対にダメというわけではなく、すり抜けという行為は事故の危険性が高く、事故を起こしたときの過失割合が高くなる可能性があるということです。

また、取り締まりの規定がないからすり抜けし放題と考えるのではなく、すり抜けという行為そのものがリスクを伴うということをしっかりと理解し、場合によっては交通違反で取り締まられる可能性があることを認識しておくことも重要です。
一方、クルマの運転者は、無理にすり抜けてくる原付をはじめとする二輪車がいるかもしれないという危険予測をしたり、安全確認をしてから進路変更したりするなど、二輪車のすり抜けを想定した運転や安全確認をする必要があります。

お互いに気をつけたり、安全確認をしたり、危険を予測した運転をしたりすれば、クルマと二輪車の交通事故を減らすことができるでしょう。