この記事をまとめると
■シートベルトは路線バスを除くそのほかすべてのクルマ全席に着用義務がある■着用義務がありながらも一般道での後席未着用は口頭の注意に留まる
■定員の数え方に「大人1名=小児または幼児1.5名分」とあるがこの考え方は時代錯誤だ
後席のシートベルト未着用は一般道ではいまだに反則なし
2008年に道路交通法が改正され、二輪車を除く自動車については、すべての座席でシートベルトの着用が義務化された。例外は路線バスで、大勢の乗客が頻繁に乗り降りすることもあり、乗客の座る座席にはシートベルトが装着されていない。それでも高速道路を走行する機会のある観光バスには、シートベルトが装着され、乗客にも着用義務がある。
シートベルトの着用義務は、前述のとおりすべての座席に適用され、乗用車の後席も含まれる。交通事故が発生したときにシートベルトを着用していないと、リヤウインドウなどから車外に放出されたり、体を内装に強打する。前面衝突では、後席の乗員が前席の背面に衝突することで、前席の乗員にダメージを与えることも多い。
ちなみに後部座席の乗員がシートベルトを着用していなかった場合、衝突時の致死率は、一般道路がシートベルト着用時の3~4倍、高速道路では15~16倍に跳ね上がる。後席でもシートベルトの着用は不可欠だ。
ただし、シートベルトを着用しないで運転した場合、交通違反の対応には、前席と後席で差が見られる。前席、つまり運転席と助手席でシートベルトを着用しないと違反点数は1点になる。それが後席は、高速道路と自動車専用道路では違反点数は1点だが、一般道路では口頭の注意に留まる。後席に着用義務がある以上、一般道路でも違反だから口頭注意は受けるが、違反点数はない。

各種の義務に違反点数を設ける場合、最初は口頭で注意を促し、それが一定期間にわたって続くと、定着したと考えて違反点数を付与することも多い。したがって後席のシートベルト非着用で違反点数を伴うのは、現時点では高速道路と自動車専用道路だが、今後は一般道路に拡大する可能性もある。
「大人1名=小児または幼児1.5名分」の考え方はもう古い
また、年齢が12歳以下の子どもは、乗車定員の数え方が異なる。

このように、いまでも道路運送車両法に大人1名が小児または幼児1.5名分という数え方がある以上、後席シートベルト着用義務との間には矛盾が生じている。そうなると、後席のシートベルト非着用に違反点数を適用しにくい事情もあるだろう。
しかし、大人1名が小児または幼児1.5名分に相当する数え方はすでに古い。6歳未満の子どもには、ベビーシートやチャイルドシートの使用が義務化され、身長が150cmに達するまではジュニアシートを使うことも推奨されている。後席に3名の子どもと1名の大人が並んで座り、シートベルトが足りないという状態は危険だから、大人1名が小児または幼児1.5名分に相当する古い数え方は廃止していい。

それから以前は、商用バンの後席にはシートベルトが標準装着されず、オプションで装着する車種もあった。このようなシートベルトがもともと装着されていない商用車については、後席に非着用の状態で座って高速道路を走っても違反にはならない。ただし、現行型は後席にも標準装着されており、義務化できる状態になっている。