この記事をまとめると
■逆走の原因は複雑な道路形状の増加とドライバーの高齢化が原因だ■逆走している側は正しい車線を走っている認識を持っているので右車線を走りがちだ
■「かもしれない運転」をすることで衝突のリスクを回避できる
逆走が起こるのは複雑な道路形状に原因あり
最近は高速道路などにおける逆走のニュースが頻繁に報道される。逆走によるトラブルは2日に1回ともいわれるが、実際には事故に至らず検知もされない逆走もあるから、さらに多く発生していると見られる。
逆走が生じる理由は大きくわけてふたつある。
この団塊の世代がいまは70代の中盤から後半に差しかかり、それよりも少し上の世代は80代に達している。いまの日本は、かつて経験したことのない「高齢ドライバー時代」を迎えて逆走事故の原因にもなっている。逆走以外でも、店舗に突っ込むといった高齢ドライバーによる交通事故が増えている。
逆走のふたつ目の理由は、道路形状が複雑な高速道路やバイパスが増えたことだ。読者の皆さんも、入口を間違えて逆走する心配のある道路をいくつかご存じだろう。昔の道路は直線とカーブと交差点のみだったが、いまは道路が立体的に交わってインターチェンジも増えたから、逆走を誘発する要素も多い。
そして、認知機能の低下した高齢ドライバーが、このような複雑な形状の道路に乗り入れると、出口から進入して逆走する危険が生じやすい。

逆走している側は”逆走している”と思っていない
このときにドライバーは、逆走していることに気付かないで運転しているから、左側を通行することが多い。実際には逆走しているのに、片側1車線の対面通行だと思い込んでいるわけだ。
そんな事情もあり、逆走しながらヘッドランプを盛んにパッシングしているニュース映像もあった。逆走するドライバー本人にとっては、自分が左側の車線を正しく走行しているのに、逆走車が次々と襲ってくるような恐怖を感じていただろう。つまり、逆走車両に出会ったなら、左車線を走ることが大切だ。右側の追い越し車線を走ると、相手側は正しい車線を走っている認識なので、正面衝突する危険性が高まる。

また、運転の基本を守り、遠方を視野に入れながら走ることも重要だ。前方で逆走などの異常が発生したときも早期発見が可能になり、的確な回避行動を取れる。
先の見えないブラインドコーナーでは、逆走車の出現を想定しながら走ることも効果がある。交通標語には駄作が多いが、常に危険を想定しながら走る「かも知れない運転」は、逆走に限らず事故防止に役立つ大切な心構えだ。

重要なことは、違和感を見逃さず、その後に想像力を悪い方向へ発展させることだ。たとえば自分が左側の車線を走行中、いままで順調に走っていた右側車線の車両が急に速度を落とし始めたとする。
ちなみに「違和感を見逃さず、その後に想像力を悪い方向へ発展させる」ことは、さまざまな危険予知に役立つ。
余談だが、こういった危険予知のスキルは政治家の失言も防げるかも知れない(!?)。「ちょっと待てよ。調子に乗って、こんなこと喋り続けて大丈夫か?」と思えば、緊張感を持って慎重にスピーチできるだろう。