この記事をまとめると
■免許センターの近くには「非公認教習所」という施設が存在している■免許センターでの一発試験の練習用として用いられることが多い
■初めて運転するという人であれば指定教習所で教習を受けたほうが安心だ
「非公認教習所」ってなんだ?
各都道府県の警察が管轄している免許センター(運転免許試験場)の近くには「短期間、低予算で免許取得!」的なことをうたっている、教習所のような、でもやっぱり正規の教習所ではないような、謎の施設が存在している場合がある。
あれはいったい何なのかといえば、結論から申し上げると「非公認教習所」というやつだ。
一般的な自動車教習所は、公安委員会からの指定を受けることで「自動車運転の教習を行ってもいい」と定められた「指定自動車教習所」で、そこを卒業すれば、試験場で行われる実技試験は免除されることになる。
それに対して非公認教習所は、学科の講習を受ける必要がなく(各自で自習してくださいねというスタイル)、実地教習についても「1日2時間まで」という縛りはないため、多くの入所者は1日あたり4~8時間ほど、みっちり教習を受けている。
そのため、場合によってはきわめて短期間での運転免許取得が可能になり、なおかつ取得までの費用も、指定自動車教習所では30万~40万円ほどはかかるのが一般的だが、非公認教習所であれば18万円程度で免許を取得できる場合もある。

だがその代わり、非公認教習所を卒業(?)しても実技試験が免除されることにはならない。そのため各自で最寄りの運転免許試験場に出向き、警察官を横に乗せたうえで「仮免技能試験」と「本免技能試験」を受験し、それに合格する必要がある。さらに本免試験合格後には、公認の教習所へ行って「取得時講習」と呼ばれる講習を受講する必要もある。
またそのほか、同じ非公認教習所でも「届出自動車教習所(公安委員会に所定の届出を提出している教習所)」と「指定外自動車教習所(何の届出もしていない教習所)」があるわけだが、まあもしも非公認教習所を利用するのであれば、「届出自動車教習所」のほうがベターではあるだろう。「届出を提出した教習所に対しては、公安委員会が指導または助言することができる」という決まりがあるため、ある程度まともに運営されていると期待できるからだ。

初めての人は指定教習所のほうがオススメ
とはいえ根本的な話としては、「やはり非公認教習所は利用するべきではない」というのが筆者の意見だ。まぁ免許を何年も前に失効した人などが利用するのは悪くないかもしれないが、クルマの運転に関してはまったくの白紙状態である人は、時間とお金がそれなりにかかるとしても、絶対に指定自動車教習所を使ったほうがいい。
なぜならば、教習所に通っていた当時はひたすら退屈に感じられた学科講習も、そして「ちょっと厳しすぎ&バカ丁寧すぎじゃありませんか?」と思えた教官を横に乗せての実地教習も、じつはその後、安全運転を継続するうえでは「かなり役に立っている!」と実感できるからだ。

学科を教えてくれた教官が、「ココは試験に出るだけじゃなくて、本当に危ない局面ですから、みなさんしっかり覚えてくださいね!」と口酸っぱくいっていた内容は、若者だった当時は「うぜえなぁ……」などとも感じていたが(すみません)、リアルなドライバーとなったあとでは「うわっ、マジで危ないかも! あのとき教わっててよかったわ~!」と実感するものばかりである。
そして、実地教習中に、若者だったがゆえに「バカ丁寧すぎるんじゃね? こんな運転してる人、実際にはひとりもいないでしょ?」と感じた運転動作も、免許取得後も一応それなりに実践し続けたことで、おかげさまで筆者は約30年間、一度たりとも事故を起こしたことがない。また、「もらい事故」の経験もない。……その節はありがとうございました、教官さん!

まぁ実地教習の内容については、非公認教習所であっても「届出自動車教習所」であれば、たぶんしっかりしているはず。それゆえ大きな問題には至らない可能性もあるが、少なくとも「みっちり&きっちり教わる学科講習」に関しては、指定教習所に圧倒的なアドバンテージがある。

短期間&低予算であることに惹かれる若人の気もちもわからないではないが、他者と自分の「安全」と「命」は、カネと時間には決して代えられない。「うぜえなぁ……」と思いつつも、ぜひ指定教習所にて、みっちり“基本”を学んでいただきたいと願う。