この記事をまとめると
■リトラクタブルライトは格納時と点灯時で大きく印象が変わる■スタイリッシュなフロントマスクをもちながらもライトオンで印象が変わるクルマを紹介
■奇抜なものや愛嬌あふれるものまでそのアンバランスさが魅力だ
リトラクタブルヘッドライトを開いて印象激変なクルマたち
ここ数年でマスク美人なんて言葉が流行りました。マスクをしていればそれなりの美人ながら、外してみると……? なかなか不名誉な表現ですが、じつはクルマの世界でもマスク美人ならぬヘッドライト美人がいるようです。
すなわち、リトラクタブルライトを収納しているときはスタイリッシュで美しいフロントマスクながら、いざ点灯してみると「これって……?」みたいなクルマたち。
チゼタV16T
3リッターV8を2基つないでV16エンジンにしただけでも驚きのスーパーカーですが、なんと横置きしちゃったというビックリドッキリメカ。いろんな意味で記憶に残りやすいモデルですが、じつはライトを点灯させるとトランスフォーマー並みのイメチェンです。
普通なら、リトラのなかを2灯とするはずですが、チゼタはそんなケチ臭いことしないで、リトラを4つピョコタンとさせたのです。空力? なんだそれ的なデザインではありますが、インパクトという意味では十分すぎるほど効いているのではないでしょうか。
アストンマーティン・ブルドッグ
1979年にアストンマーティンが世界最速を目指して作り上げたコンセプトカー、ブルドッグが正式名称ですが、愛称は犬にちなんでK9などと呼ばれることもあるようです。くさび型のシェイプやガルウイングドアが当時のトレンドを表していますが、デザインはカロッツェリアでなくアストンお抱えデザイナーのウィリアム・タウンズ。
イギリス人だから、というわけでもないでしょうが、タウンズはヘッドライトをあたかも宝箱かのように隠してしまいました。点灯時は、ボンネット上の隠し扉が開くかのようにヘッドライトが現れるのですが、なんと5連灯というスパイシーな仕組み。
当初は何台か生産される予定だった模様ですが、実際にはコストがかかりすぎるとの理由でコンセプトカー1台のみという寂しい結果に終わっています。
アルファロメオ・ナバホ
ベルトーネに在籍していたころのガンディーニはさまざまなコンセプトモデルをデザインして、クルマ好きを大喜びさせてきたものです。とりわけ、このティーポ33ストラダーレをベースにしたナバホは1970年代プロトのアイコンと呼べるようなインパクト。
で、ヘッドライトなんですが、フロントのフードをいくら探しても見当たりません。もしや往年のブガッティを気取ったヘッドライトレス仕様か? と思いきや、フロントフェンダーの横からニョキっと現れます。
意表をついたデザインというより、ガンディーニが付け忘れて「ここでいいでしょ」的に筆をとったとしか思えないヘンテコさ(笑)。
スタイリッシュなデザイン!のはずがリトラを開けると……?
ホンダ・プレリュード
1983年に登場した2代目プレリュードはいまでもデートカーの始祖として、そのカジュアルなスタイル、雰囲気が人気の的。とはいえ、その滑らかでエレガントなスタイルもボディ前端にあるリトラクタブルライトを点灯させるまで。
そこそこデカいライトを仕込んでいるからか、点灯時は出目金とかぴょん吉的な愛嬌をふりまいてしまうことに。もっとも、運転してみるとライトの出っ張りでもって鼻先がわかりやすく、縦列駐車なんて時にはあえてリトラをアップするなんて裏技もありました。
ちなみに、翌年に登場したトヨタMR2も前端のリトラだったのですが、プレリュードよりいくらか小さいライトだったためか、そこまでおとぼけフェイスにはならなかったかと。
ボルボ480ES
ボルボにとって初めてのFFモデルとなった480ESは、これまた同社初のリトラクタブルライトを採用していました。
だからというわけでもないでしょうが、プレリュードと同じくリトラ収納時はそれなりでも、点灯時はかなりの度合いでピョコタン(笑)。リトラ収納時の端正なボディラインが途端にマンガチックに変貌してしまうのでした。
それでも、ヘッドライトにワイパーでもついていればボルボ=北欧のクルマらしさもアピールできたかもしれません。彼らにとっては意欲作だったのかもしれませんが、ことリトラクタブルライトについては今一歩の工夫があってもよかったでしょう。

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