この記事をまとめると
■ダカール・ラリーには過去のマシンが走るクラス「ダカールクラシック」が設定されている■アベレージラリー形式が採用され比較的敷居が低いことも特徴
■出場マシンはポルシェ911やレンジローバー、ランクルなど名車揃い
往年の名マシンが砂漠を駆ける
往年の名車がバリバリ走るイベントやレースが増えています。博物館でしかお目にかかれないクルマが往時と同じエキゾーストノートを響かせ、鬼神のごとき走りを見るのはクルマ好きでなくとも胸アツなもの。
そんなイベントの決定版ともいえるのが、ダカールクラシックレースにほかなりません。
そもそもはパリからアフリカのダカール砂漠を突っ走るめちゃくちゃ過激なラリーだった「パリ・ダカール・ラリー」ですが、現在はサウジアラビアへとコースも変わり、レギュレーションの変更、セキュリティの確立もあり、いくらか文化的になったといわれます(笑)。
しかし、黎明期となる1970~80年代は、二輪四輪ともに命を懸けた大冒険だったことは間違いありません。また、マシンにしてもワークスチームが参戦する以前は、プライベーターが大半であり、無茶な走りで大事故も珍しくなかったことご存じのとおり。

そんな時代にゴールを目指して激走していたマシンがカッコ悪いはずもなく、砂漠を疾走する姿に憧れたのは決して筆者だけではないでしょう。ここに目をつけたのがほかでもない、ダカールラリーの主催者でした。「ならば、往年のダカールマシンが走るラリーをやっちゃおうぜ」と。2021年、ついにダカールクラシックがスタートしたのでした。

ダカールクラシックは元祖ダカールラリーのSS方式とは異なり、競技区間で設定されたターゲットタイムにいかに正確なタイムでゴールするかを競うアベレージラリーとされました。これは経験がないドライバーでも楽しめるとか、クラシックマシンの耐久性やサービス地点となるビバークを共用するといった配慮からでしょう。
また、1日あたり500kmほどを走破するルールですが、この際は主催者からTRIPYなる簡易ナビシステムも貸与されるとのこと。これはダカールラリーでアシスタントカーやメディアカーにも使われているそうで、ルートブックに四苦八苦することや道に迷うこともなさそうです。

参戦可能な車両は4輪車から8輪車で、クラシックレースらしく1999年までにダカールラリーに参戦していた車種とされています(ダカール以外のラリー競技への参戦車や、主催者が認める特別枠もあり)。なお、細かなレギュレーションは回を追うごとに改善されている模様。
ちなみに、エントリーフィーは4輪が1万ユーロ(約150万円)で、これには欧州からサウジアラビアの往復船輸送代、ビバークでの食事、ラリー中の燃料、保険、メディカルサポートやTRIPY、IRITRACK(自車位置を衛星を介して発信する装置)のレンタル代が含まれるというリーズナブルなもの。レースは14日間なので、1日たっぷり走って約10万円ですから、ベガスあたりのツアーでスッテンテンになるよりよっぽど有意義ではないかと(笑)。
出場可能車両はダカール・ラリーの歴史そのもの
さて、ダカールクラシックに出場可能な過去のダカール・マシンを見ていくと、当時の胸アツメモリーが蘇ります。まずは、四輪駆動のポルシェ911はお約束のロスマンズカラーで登場。1984年には911SC 4WD(Type 953)が総合優勝をもぎ取りましたからね。

さらに、四輪駆動の先駆けとしてはレンジローバーだって優勝しています(1978年/第1回大会/四輪部門)ダカールクラシックには2ドア、バンボディのいかにも走りそうなスタイルで参戦しています。

レンジローバーの優勝に刺激を受けたのが、メルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲン。1983年には名手ジャッキー・イクスが駆った280GEが総合優勝。むろん、クラシックにも多数エントリーされており、ショートボディのみならず4ドアロングも砂漠をかっ飛ばしているようです。

また、忘れてならないのがパジェロやランクル、サファリといった国産マシン。

そのほかにも、ラーダ・ニーヴァやVWビートルのバギー、あるいはフランスのプライベーターが好んで使ったプジョー504などなど、エントリー可能車輌はそれこそダカールラリーアルバムの体をなしています。

こうしたマシンが、本家ダカールラリーと並走する場面もあるのですから、見ごたえのないはずがありません。いや、むしろ見たら走りたくなるというほうが正確かもしれません。
ワークスでなくともエントリーしやすいダカールクラシック、我こそは思う方はぜひ砂漠の大冒険をしてみてはいかがでしょうか。