トルクとパワーを高めるターボ車に欠かせない三種の神器!

ターボ車には過給器がついていて、NAエンジンには必要ない補機類がついている。ターボは、エンジンから排出される排気ガスの勢いを利用して空気を圧縮し、排気量以上の空気をシリンダーに押し込み、強制的に吸入空気量を増やしてトルクとパワーを増やすシステム。そんなターボ車に欠かせない3つのキーワードをあらためて解説しよう。

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1)インタークーラー

ターボはとても効率のいいシステムなのだが短所もあって、それは空気を圧縮するとその空気の温度が高くなってしまうということ。“押しくらまんじゅう”ではないが、空気だってギュウギュウに潰されると温度が上がり、温度が上がると空気の密度は低くなって、含まれる酸素の量が減ってしまう。



また、吸気温度が高くなると、エンジンの大敵であるノッキングも出やすくなる。そのため、吸気温度が高いままではターボの効果が薄れてしまうので、ターボとエンジンの間に熱交換器を設けて、圧力を高めた空気を冷やす技術が考えられた。その熱交換器がインタークーラーだ。

【今さら聞けない】ターボ車で聞く言葉「インタークーラー」「ブースト」「タービン」って何?



インタークーラーには空冷式と水冷式の二種類があるが、一般的なのは空冷式。構造はラジエターとほぼ一緒で、冷却水の代わりに吸入空気が冷却フィンの間を通る仕組み。走行風を直接インタークーラーに当てることで、なかの空気を冷やしている。シンプルで部品点数が少ないのが特徴。水冷式は、文字通り冷却水で空気を冷やすタイプ。水は空気よりも熱容量が大きいので、インタークーラー自体は小型化できるが、部品点数も多くコスト面では不利。

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いずれも冷却を優先すると空気の流れが悪くなり、圧力損失が生じ、圧力損失を減らそうとすると冷えにくくなるジレンマがあるので、メーカーはその両立を目指して技術研究を進めている。



ブースト圧の調整で排気量2倍の性能を与えることも可能

2)ブースト

ブーストとはターボチャージャーが排気ガスの力でコンプレッサーを回し、空気を圧縮したときの空気の圧力=「過給圧」のこと。単位は、kPa(キロパスカル)が国際基準。

以前は1平方cmの面積に何kgの力が加わっているかを示す「kgf/cm2」が主流だったが、「1kgf/cm2=98.07kPa」なので、通常は1kgf/cm2≒ 100 kPaで換算しても問題ない。
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簡単にいうと、ブーストが100kPaの場合、大気圧の2倍の空気がエンジンに送り込まれている状況だ。2リッターターボのエンジンなら、NA4リッター級の吸入空気量をエンジンに吸わせていることを意味していて、排気量に直結するトルクも4リッター並に増大する。



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細かくいうと、国産車ではゲージ圧もしくは相対圧といって、大気圧をゼロと考え、それを基準に加圧された圧力だけをブースト計で表示している。一方欧州車などは「大気圧=1.0+過給圧」という絶対圧で表示する場合が多い。またターボだけでなく、スーパーチャージャーの過給圧も同じだ。



3)タービン

ターボチャージャーは排気ガスの勢いで回る風車=タービンと、タービンと同じ回転軸に取り付けられたコンプレッサーで構成されている。

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もともと「ターボチャージャー」という言葉自体、タービンとスーパーチャージャー(過給器)を合わせて作った単語なので、本来はターボチャージャーの一部(半分)がタービンだった。しかし「タービン交換」=「ターボチャージャーユニットの交換」という意味でも使われていて、一般的にはターボ=ターボチャージャー本体と同義語のようにもなっている。
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辞書などには、タービンとは「各種の流体のもっているエネルギーを有用な機械的動力に変換する回転式の原動機の総称」と書かれていて、クルマのターボチャージャー以外にも、空気、蒸気、ガス、水などで回すタービンもある。



ちなみに、ベルトとプーリーなどを介してクランク軸からの出力によって過給器を駆動するスーパーチャージャー(機械駆動式過給器)には、コンプレッサー(もしくはブロワー)はあるが、タービンは不要なのでついていない。

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