「心地良さ」をとるならフィット
いよいよ2020年初頭、国産コンパクトカーの未来を占う2台の超注目コンパクトカーが発売される。そう、いずれも東京モーターショー2019の期間中に発表された、ホンダ・フィットの4代目、および、トヨタ・ヴィッツ改め、トヨタ・ヤリスである。両車は同じようなクラスのハッチバックコンパクトだが、プロトタイプ、ショーカーを見る限り、新型となってキャラクターは大きく開いたように感じられる。
グローバルで通用する新時代のコンパクトカーであるとともに、何よりも「心地よさ」にこだわって開発されたのが新型フィットだ。歴代フィットの大きな魅力、ライバルを寄せつけない広大な室内空間、圧倒的に広い後席、シートアレンジ性、荷室の使い勝手をもたらす独創のセンタータンクレイアウトを継承しつつ、どこか柴犬を思わせる!? これまでのフィットのシャープな目つきとは異なる愛らしくほのぼのとした顔つきへと生まれ変わった。
また、存在感を持つエクステリアデザイン、小型化した2モーターハイブリッドシステムe:HEV、ロングドライブでも疲れにくいボディースタビライジングシートなどを採用し、さらにライフスタイルやライフステージに合わせて選択できるクロスオーバースタイルのクロスターを含む全5種類もの仕様(ベーシック、ホーム、ネス、クロスター、リュクス)を用意しているあたりが大きな特徴だ。
つまり、日常生活に寄り添う心地よさを演出する居住性、インテリアデザインもまたポイントとなる。とくに室内空間のゆとりではヤリスをしのぎ、後席の広さ、着座感、多彩かつ大空間ラゲッジスペースを出現させるシートアレンジ性などにコンパクトカーの価値を求める人向けだろう。
もちろん、新時代のコンパクトカー、ファミリーカーとして専用車載通信モジュールによる「ホンダコネクト」を日本初搭載。コネクテッドサービス「ホンダトータルケアプレミアム」を開始するという。さらにセキュリティーアラームの作動時には、ALSOKのガードマンを現場に急行させるサービスも用意しているから心強い。ヤリスにあるヘルプネット=SOSコールも、オプションで用意されるはずである(あまり知られていないが、フィット3にもオプションで用意されている)。
スポーティーな走りを求めるならヤリス!
一方、トヨタ最新のTNGA第4弾のコンパクトカー用GA-Bプラットフォームを採用するヤリスのほうは、ガソリンエンジンと、トヨタ自慢のHVを用意するのはもちろんだが、ホイールベースを先代ヴィッツ比で40mm伸ばしているものの、それは後席に使われず、前席居住性に利用しているのである。実際、前後席間距離は先代ヴィッツより狭まっている。
ルーフだけでなく、前後席のヒップポイントまで低めているヤリスの、低重心にこだわったパッケージングは、まさに走るためのもの。
東京モーターショーで未来のモビリティーにこだわったトヨタだけに、コンパクトカーのヤリスにも、トヨタ最新の予防安全パッケージである「Toyota Safety Sense」のほか、車載通信機(DCM)を標準装備。トヨタのコネクテッドサービスである「T-Connect」、そしてエアバッグの展開とも連動するヘルプネットも用意されるのだ。
話をまとめると、ファミリーカーとして、圧巻の後席や荷室の広さに加え、ホンダ得意の”魔法”と呼んでもいいシートアレンジ性による、さまざまな用途、使い勝手に応えてくれる、万人向けであり、さらなる安心感も加わった「心地良い」コンパクトカーが新型フィットである(ヤリスと違い、フィット3ではホンダ・シャトルと呼ばれるワゴンものちに派生車として加わるはずだ)。
そして、基本、パーソナルなカップルズカーとして、スポーティーな走りやGR(GAZOO Racing)への憧れ、最先端のコネクテッドサービスにこだわる人向けなのが、躍動感あふれる大胆なデザインをまとったヤリスということになるだろう。
もちろん、新型フィットも、定評ある走行性能や燃費性能が一段と磨かれているはずだが、見た目の印象(エクステリアデザイン)そのものが、両車の大きく異なるキャラクターを、端的に表わしていると考えていい。言い方を変えれば、あまり悩まずに選べる2台というわけだ。

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