ブランドや搭載モデルのアイデンティティになっている!

現在のクルマは電動化を避けられない状況になっているが、これまでエンジンがクルマのキャラクターを生み出してきたことは否定できない。とくに独創的でユニークなエンジンは、搭載モデルの個性となってきた。そのなかには消えてしまったパワーユニットも少なくない。

ロータリーエンジン、直列5気筒エンジン、空冷エンジンなどはいまや新車で手に入る乗用車に見ることはなくなっている。



ここでは、現行ラインアップから消えてしまったわけではないが、ライバルが真似をしないことで、ブランドや搭載モデルのアイデンティティとなっているパワーユニットを3種類ほどチョイス、そのメリットとデメリットなどを再確認してみよう。



1)スバルのNA水平対向4気筒エンジン

まず、日本では珍しく感じないが、世界的に見ると貴重な存在である「自然吸気の水平対向4気筒エンジン」について見ていこう。説明するまでもなく、いまや乗用車向けにこのタイプのエンジンを生産しているのはSUBARU(スバル)だけだ。ポルシェも4気筒、6気筒の水平対向エンジンを生産しているが、4気筒についてはターボとなるため、自然吸気という条件をつけるとSUBARUだけになる。



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バリエーションとしては1.6リッター、2リッター、2.5リッターがあり、日本で販売している搭載モデルはインプレッサ、XV、フォレスター、レガシィ、86/BRZとなる。いずれもフロントに縦置きレイアウトされており、FF、FR、AWDと3種類の駆動方式を用意しているのもユニークだ。



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このエンジンのメリットは、とくに86/BRZで顕著だが、エンジンを低くマウントできること。歩行者保護のためにエンジンフードが高くなりがちな昨今だが、水平対向エンジンであればノーズを低くすることができる。また4気筒エンジンとしては振動面で有利なのも見逃せない。デメリットは4気筒エンジンとしては部品点数が多くなり、また重量もかさんでしまう点があげられる。DOHCヘッドの場合、左右にそれぞれ2本ずつカムシャフトが必要となるため、エンジンの幅も広くなってしまう。当然、水平対向エンジンを載せるためのシャシーも専用設計となる。



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現在、重視されている環境性能において圧倒的なメリットがあるわけでもないので、他社はあえて専用プラットフォームを開発してまで水平対向の実用エンジンを作ろうという気にならないのだろう。そのため、SUBARUだけのパワーユニットとなっている。



NAの燃費を上まわるスーパーチャージャーエンジンも!

2)フィアットの2気筒ターボエンジン

欧州で生まれたエンジンのダウンサイジングという考え方は、単純に排気量を少なくするというだけでなく、レスシリンダーといって気筒数を減らすことも目的としている。エンジンを軽くすることは燃費性能に有利であるし、部品点数の減少は車両コストの低減にもつながるといったユーザーメリットがあるのだ。



そうしたレスシリンダー・トレンドの最先端といえるのがFIAT(フィアット)の2気筒エンジン「ツインエア」。総排気量は875ccの小さなエンジンは、もちろんターボチャージャーにより過給を受けるもの。可変吸気バルブタイミング機構である「MultiAir」テクノロジーを採用するなど、けっして安くするための2気筒という印象はなく、レスシリンダーの考え方を極めたエンジンといえる。2気筒エンジンのネガとして容易に想像できる振動については、カウンターバランサーシャフトによって抑え込んでいるという。



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レンジエクステンダーEVの発電用エンジンとして2気筒を搭載しているクルマもあるが、メインのパワーユニットとして2気筒エンジンを積む乗用車として、日本で買えるのはFIAT500(チンクエチェント)だけといえる。ただし、チンクエチェントの価格でいうと古い設計の1.2リッター4気筒エンジンのほうがリーズナブルな価格設定だ。インタークーラーターボや凝ったメカニズムによるコストアップは「ツインエア」エンジンを上級ユニットと位置付けてしまっている。しかし、上級グレードのエンジンとして4気筒と比べてしまうと、やはり振動は気になる。大きくコストダウンにつながらないのであれば、3気筒エンジンのほうがドライブフィールでは有利といえ、なかなか他社は2気筒エンジンの採用には動いていないのが実情だ。



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3)日産の3気筒スーパーチャージャー

 最後に紹介するのは、日産のスーパーチャージャーエンジンだ。いまやe-POWERという電動パワートレインが話題の中心となっている日産ノートには、世界的にも珍しい3気筒スーパーチャージャーユニットが用意されている。1.2リッター自然吸気エンジン+CVT、1.2リッター自然吸気+2モーター(e-POWER)、1.2リッタースーパーチャージャーと3種類のエンジンを日産ノートは設定しているのだ(NISMO Sとして1.6リッター4気筒エンジンもある)。



 そして、このスーパーチャージャーエンジンはハイパフォーマンス一辺倒というよりは燃費と走りをバランスさせるというキャラクターに仕上げられている点に注目したい。事実、1.2リッター自然吸気エンジン車の燃費性能は23.4km/Lだが、スーパーチャージャーエンジン車は26.2km/Lとカタログスペックでも上まわっている。



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 ターボチャージャーが排気エネルギーを利用する過給機なのに対して、スーパーチャージャーはクランクシャフトによって駆動されるため機械効率の面からいうと不利な点もある。しかしクランクシャフトによって駆動することで過給のレスポンスに優れるのは大きな美点。スーパーチャージャーを駆動することが抵抗になる高回転域などでは、電磁クラッチにより切り離すことでメカニカルロスを最小限に抑えている工夫も見える。ミラーサイクルといって、高膨張比を実現していることも燃費性能につながっている要素で、単純にスーパーチャージャーを付けたというのではなく、細部までこだわり抜いたエンジンとなっている。



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 販売価格を見る限りはe-POWER車より手頃な値付けを実現していることもあって、他社からも同様の小排気量スーパーチャージャーエンジンが登場してもおかしくないように思える。とはいえ、同じようなエンジンがあるならば、スーパーチャージャーで過給するよりも電動化ユニットと組み合わせたほうが燃費とパフォーマンスのいずれも、一段高いレベルにいけるのは日産自身がe-POWERで証明している。

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