かつてターボエンジンは燃費が悪いのが常識だった
ターボエンジンが市販車で実用化されたのは、1973年のことだ。ドイツのBMW2002(その後継が現在の3シリーズ)という小型セダンにガソリンターボエンジンが搭載された。ポルシェ911ターボは、じつはそれより遅れて誕生している。
日本では、79年に日産セドリック/グロリアにガソリンターボエンジンが採用されたのが最初だ。2002ターボもセドリック/グロリアターボも、ガソリンエンジンの排気量は2リッターで、最高出力は過給をしても200馬力に届いていなかった。
その後、高性能を目指すエンジンはターボチャージャーの装備とともに、DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)化により1気筒4バルブとなっていき、大馬力化が車種を超えて推し進められた。自動車レースでは、F1もターボエンジン時代を迎える。
一方で、ターボエンジンは燃費が悪いというのが、当時の常識でもあった。その印象を変えたのが、ホンダF1エンジンだ。88年には、厳しい燃費規制のなかで年間16戦中15勝をあげている。
小排気量のエンジンに過給を加えることで燃費と動力性能を両立
市販車では、2003年のフォルクスワーゲン・ゴルフV(ファイブ)から、ダウンサイジングの流れが起こる。小排気量エンジンに過給(ターボチャージャーやスーパーチャージャー)を加えることにより、燃費と動力性能を両立する時代が訪れた。過給が、燃費を向上させる装備になってきたのである。
過給という同じ仕組みを使うのに、なぜ昔は大馬力の一方で燃費が悪く、現代では燃費と動力性能を両立できるのか? 答えは、エンジンの燃費性能が高まったことによる。
燃費をよくするためには、使われた燃料を燃やし切り、無駄をなくすことにはじまる。
その実現には精密な燃料噴射と、噴射された燃料を空気とよく混ぜるための吸気の改善(スワールなど渦の活用)、そしてあらかじめ空気と燃料を混ぜるのではなく、空気だけを吸い込んでおいてあとから燃焼室へ燃料を吹き込む直噴の技術の採用がある。それらが、コンピュータで走行状態に応じて緻密に制御されている。
40~50年前の1970~80年代は、まだ燃料噴射がコンピュータ制御化されておらず、機械式で、燃焼に合わせるのではなくアクセル操作に対し、決まった量の燃料を噴射するだけだった。そのため、必ずしも噴射した燃料を燃やし切れていなかった。なおかつ、過給により大量の空気をエンジン内に導き入れ、燃料をどんどん噴射したので、大馬力を得られたが燃費は悪かったのである。
燃費をよくしようと燃料を燃やし切るエンジン技術が開発され、そこに適切な空気量だけを送り込む過給を用いたことで、今日のダウンサイジングターボエンジンが完成した。したがって、1~1.5リッター程度の排気量で、十分にクルマが走れ、なおかつ燃費もよいということになっている。

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