義務ではなく国内メーカーが自主的に装着している

普段AT車にしか乗らない人には当たり前かもしれないが、MT車とAT車、両方に乗る人にとっては、AT車でギアを「R」(リバース)に入れると、「ピー、ピー」と警告音が鳴るのは気になるところ。



じつはこれ、国産車ならではの安全対策で、1980年代、国内でAT車の普及が一気に進んだ時期に、誤発進を防ぐために採用されたアイディア。



法律や保安基準などで義務付けられたものではなく、国内メーカーが自主的に装着して定着したものなので、輸入車のAT車では「R」に入れても音がしないのが一般的。



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ある意味、親切な装備だが、なぜAT車だけでMT車にはないのか?



ATのほうがギヤを間違えやすいため!

結論からすると、MT車で誤って「R」に入れる人はほとんどいないから。HパターンのMT車の場合、1速と「R」のギアの位置は、もっとも離れた対角上にあるのが一般的。停止時から発進しようとしたときに、1速に入れるつもりで「R」に入れる人はほとんどいないし、その反対もまた然り。



最近の6速MTの場合は、シフトレバーを下に押し込むか、リングを引き上げないと「R」に入らない仕組みになっているクルマも多いので、誤って「R」に入れることはまずないはず。ただし、トヨタ車のように、MTでも「R」に入れると警告音が出る車種も出てきている!



MT車は安全第一じゃない? バック時の「ピーピー音」がAT車にばかり採用されるワケ



一方、AT車は、「R」と「D」の位置が近く、感覚的にもメーターパネルのシフトレバー位置表示灯を見ていないと、どこのギヤに入っているのかわかりづらい……。そういう意味では、「R」に入れたときに警告音が鳴るのは、やはり親切な装備といえる。



「ピー、ピー」といういかにもアラートのような音が耳障りだという人もいるだろうが、最近では「ポロン、ポロン」といったやさしい「R」警告音が出るクルマも出てきている。



実際、この「R」警告音がどれだけギヤの誤操作・誤発進防止に寄与しているかは「?」だが、今話題のブレーキとアクセルの踏み間違え事故のことを考えると、高齢化社会を迎えた昨今、これだけ普及した「R」警告音をなくしてしまうという積極的な理由は見つけられない。



MT車は安全第一じゃない? バック時の「ピーピー音」がAT車にばかり採用されるワケ



ゆえに、音の種類については改善の余地は大いにあるが、これからもAT車の「R」警告音は、ずっと継承されていくことになるだろう。

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