車輪が浮いた状態でもスライドドアの開閉ができる頑丈なクルマ
三菱自動車工業のデリカD:5は、2007年に登場した。すでに13年目に入る。製造は、生産を終えたパジェロと同じ工場であるため、去就が気になるところだ。
デリカは車名の由来が「デリバリーカー(配送車両)」から来ていることもあり、1968年にデリカトラックとして誕生した。翌69年に9人乗りのデリカコーチが発売され、「さまざまな道路状況において、確実に乗員や荷物を目的地まで運ぶクルマ」の役目を担ってきた歴史がある。
2代目のデリカスターワゴンの時代に、日本初の4輪駆動(4WD)のワンボックスカーを追加した。4WDの追加は、デリカの目指す「さまざまな道路状況において」という責務をより明確にした。4代目のデリカスペースギアから、それまでのワンボックスカーからミニバンに替わり、現行のD:5(デリカの5代目)に至る。
D:5となる際に、徹底的な車体構造の見直しが行われ、4WDを活かした悪路走破性をより高める、リブボーンフレームと呼ばれる構造を採用した。これにより、モーグルと呼ばれるこぶ状の悪路を走る際、1~2輪が浮き上がるような状況でも後ろのスライドドアを開閉できるほど堅牢な車体となっている。
また4WDの機構もパジェロなどと同様に電子制御が組み込まれ、姿勢制御も装備した。2代目デリカからディーゼルエンジンが加わり、D:5ではクリーンディーゼルとなっている。ディーゼル特有のトルクを活かし、パジェロと同じように粘り強い登坂力を発揮し、急坂を昇り降りする試走を披露することもある。
D:5の独自性を継承するには三菱独自で生産し続けるしかない
今日、SUV(スポーツ多目的車)の人気が高く、ミニバンはひところほどの販売ではなくなっているが、家族連れなどには根強い人気がある。なかでも、パジェロのような本格的悪路走破性を備えたミニバンというと、D:5が唯一無二の存在だ。
すでに13年の永きにわたりモデルチェンジをせずにいるD:5だが、前型のデリカスペースギアも13年であったし、デリカはもともと1モデル10年前後の息の永い車種ではある。
そのうえで、D:5は昨2019年に大幅な改良を施し、外観の印象を大きく変えるとともに、ディーゼルターボエンジンも開発しなおしたといえるほど手が加えられ、動力性能に加え振動・騒音に関わる快適性も格段の改良がなされた。試乗をすると、走りだしたとたんに上級ミニバンになったことを実感させ、高速移動を快適にしたのがわかった。基本となるリブボーンフレームの車体構造が、悪路操作性はもとより、快適さの向上にも資することを改めて実感させた。
この先三菱自は、SUVを含め電動化をさらに進めていく予定だ。SUVは、プラグインハイブリッド車(PHEV)を主体としていくだろう。そうしたなかで、D:5も、いずれは電動化とクリーンディーゼルの併用というような選択肢を広げるかもしれない。
唯一無二のミニバン、あるいはMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)として、D:5の拡張性にさらに期待したい。

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