厳しくなるCO2規制対応の影響が大きい
ディーゼルエンジンはこれから、どうなってしまうのだろうか? ディーゼル乗用車といえば、欧州で国によっては乗用車市場の半数近くを占めるほどの定番だったが、これからは徐々に少数派に転じてしまいそうだ。なぜだろうか?
もっとも大きな理由は、欧州CO2規制だ。欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)では、欧州グリーンディール政策を積極的に進めており、そのなかで自動車が排出するCO2に対して世界でもっとも厳しい達成義務を掲げている。
そのため、日本の自動車メーカーでエンジン開発を統括する役職者のほとんどが「まずは、欧州CO2規制への対応が最優先だ」という見解を示している。こうしたなかで、欧州自動車メーカーの判断では、ディーゼルエンジンからプラグインハイブリッド(PHEV)へ開発の優先順位が上がった。
2010年前半には、そうした方針は固まっていた印象がある。当時、欧州現地での取材を通じて、「48VマイルドハイブリッドとPHEVをモデル別に割り振る」という解釈が欧州自動車業界に広がっていった印象がある。その当時も、また近年(2020年)になって、各メーカーの幹部に電動化を含めたエンジン開発の今後の方針を聞くと、基本的な考え方は各メーカーとも“ほぼ同じ”。
「国や地域の社会情勢や社会インフラを踏まえて、適材適所で対応する」というものだ。そのため、欧州メーカーを中心に日系メーカーを含めて、ディーゼルエンジンを全面的に排除しようとはしていないのだが、CO2規制対応での開発と生産コストを考慮した結果、欧州市場でのディーゼルエンジンの優先順位が下がったというべきだ。
日本市場ではいまだに人気車となっている
ディーゼルエンジンの適材適所という意味では、アメリカは除外される。アメリカでは大型トラックや、フルサイズピックアップトラックの一部で普及しているが、乗用ディーゼルの割合は極めて低い。
2000年代に独フォルクスワーゲンが、トゥアレグなどSUVを主体とした乗用ディーゼル普及キャンペーンを全米各地で展開したことがある。その各種イベントを筆者は取材している。
また、中国でも2010年代半ばに起こった、セダンからSUVへのシフト期にディーゼル普及を仕掛けた中位メーカーがあったが、政府のNEV(新エネルギー車)政策強化のなかで乗用ディーゼルの存在感が小さくなった。
こうして、米中欧でディーゼルエンジンの立場が弱くなってきている一方で、日本での乗用ディーゼルはマツダSKYACTIV-D、またトヨタではランドクルーザープラド、ハイエース、ハイラックスのクリーンディーゼルなどがあり、これらモデルもグレードのラインアップのなかで人気車種だ。リセールバリュー(下取り価格)も高く、国内需要のみならず東南アジアなど海外輸出中古車としても人気は高い。
このように、乗用ディーゼルの未来は、前述したように各メーカーは「国や地域の社会情勢や社会インフラを踏まえて、適材適所で対応する」ことになるだろう。

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