見た目もパワートレインも個性派揃い!

世界的に大流行中のSUVのなかでも、日本では取り回しの良さ、手頃な価格、シングル世代からファミリーまで使いやすい実用性が人気を呼んでいる、コンパクトSUV。



じつは先日、2020年に欧州で販売されたすべてのSUVのなかで、販売台数No.1を獲得したルノー・キャプチャーが新型となって、いよいよ日本でもデビューを果たしました。



日本では初代キャプチャーは今ひとつ認知度が低めでしたが、欧州No.1の実力は本物なのか? 迎え撃つライバルたちと比べてどうなのか?



今回はガチライバル4台、プジョー2008、ジープ・レネゲード、マツダCX-30を揃えて徹底チェックしてみました!



キャプチャー・CX-30・2008・レネゲード! 最新「オシ...の画像はこちら >>



まずは4台それぞれの概要から。



新型キャプチャーは、プラットフォームやパワートレインも一新し、初代より少し拡大した全長4230mm、全幅1795mm、全高1590mmというサイズ。最新の「フレンチデザイン」をルノー流に解釈し、アスリートの筋肉のような躍動感と、エレガントな曲線が同居する洗練されたデザインをまとっています。



キャプチャー・CX-30・2008・レネゲード! 最新「オシャレ系」小型SUV4台を徹底比較



エンジンは1.3リッター直噴ターボで、最高出力154馬力/5500rpm、最大トルク270N・m/1800rpm。燃費は17.0km/L(WLTCモード)と優秀です。トランスミッションは7速EDCで、18インチタイヤを装着。最小回転半径は5.4mで、このクラスでは標準的。先進運転支援システムは、全車速追従機能付きのACCやステアリングアシスト(全車速は「インテンス テックパック」のみ)、360度カメラなど、ほぼフル装備で充実しています。



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次に同じフランス車ということで、ガチライバルになるプジョー2008。2020年9月にフルモデルチェンジした、まだ新しいモデルです。ボディサイズは全長4305mm、全幅1770mm、全高1550mmで、都市部に多い機械式立体駐車場に入庫可能な高さは大きな強み。デザインが大好評の新型208にも通じる、サイバーでアグレッシブなライオンっぽさ全開のデザインが目を惹きます。



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エンジンは1.2リッター直噴ターボで、最高出力130馬力/5500rpm、最大トルク230N・m/1750rpm。

燃費は17.1km/L(WLTCモード)とやはり優秀。8速ATで17インチタイヤを装着し、最小回転半径は5.4mです。先進の運転支援システムは、上級グレード「2008GT」にはキャプチャーと同等の装備がフルに揃い、「2008Allure」にはブラインドスポットモニターシステムや障害物を検知するソナーがバックのみとなるなど、少し省かれる装備があります。



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続いて、日本で好調な販売を維持しているジープのエントリーモデルでもある、レネゲード。登場は2015年9月ですが、ジープの一員であることを示す7スロットグリルのフロントマスクや、アメリカ軍用車から始まったジープらしい、米軍マークをモチーフとしたテールライトなど、今見ても個性はピカイチ。4WDとなる上級グレードの「Trailhawk」はエンジン出力や最低地上高などが別格で、ベーシックな「Longitude」、中核グレードの「Limited」は2WDとなっています。



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ボディサイズは「Trailhawk」で全長4255mm、全幅1805mm、全高1725mmで、4台の中で最もルーフが高く、最低地上高も210mm確保してあり、悪路走破性も高いところはさすがジープ。



今回の試乗車はLimitedで、エンジンは1.3リッターのマルチエアと呼ばれるターボを搭載し、最高出力151馬力/5500rpm、最大トルク270N・m/1850rpm。17インチタイヤ仕様の最小回転半径は5.5mで、これは16インチタイヤを履くグレードも同等となっています。燃費は14.3km/L(WLTCモード)と、4台中もっとも低い数値です。また、先進の運転支援システムについては、リアカメラやパークアシスト、衝突被害軽減ブレーキといったものは揃っていますが、全車速追従機能付きACCではなく、速度設定のみのクルーズコントロール。



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ラストは日本勢から欧州でも売れているコンパクトSUV、マツダCX-30。

マツダも今や、SUVを5モデルもラインアップするメーカーですが、CX-30はCX-3の次に小さなサイズで、全長4395mm、全幅1795mm、全高1540mm。これはMX-30とほぼ同じサイズで、CX-3と比べても全長がちょっと長いくらい。なのでセールスポイントはサイズではなく、2019年9月デビューとなるため新しいデザインテーマを採用したシャープでエレガントなデザインと、430リットルの大容量ラゲッジを始めとする実用性の高さ、そして2リッターガソリン、2リッターの新世代ガソリン「SKYACTIV-X」、1.8リッターディーゼルターボと3タイプのパワートレインが搭載されるところでしょう。



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今回の試乗車は「20S L Package(4WD)」で、最高出力156馬力/6000rpm、最大トルク199N・m/4000rpmと、やや高回転型。6速ATで、18インチタイヤを履き、最小回転半径は5.3mと優秀です。燃費は14.8km/L(4WD/WLTCモード)。低燃費を重視するなら、ディーゼルモデルの19.2km/L(2WD車/WLTCモード)が抜群です。



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先進の運転支援システムは、全車速追従機能付きACCやAT誤発進抑制制御といった多くのシステムが標準装備(MT車除く)。ただ、360度モニターは全車オプション扱いだったり、クルージング&トラフィック・サポートは下位グレードには装備されないといった差があるので、チェックしたいところです。



さて、それでは試乗してそれぞれのインプレッションを比較してみます。



キャプチャーは2008とCX-30のいいとこ取り

まずは4台のなかで、日本でいちばん売れているCX-30から。走り始めてすぐから、エンジンもボディも乗り心地もすべてがカッチリとバランスよく、路面の雑味をなるべくソフトに包んで乗員に伝えてくるところがすごいと感心。ハンドリングもクセがなく滑らかで、運転が上手くなったように感じさせてくれます。



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加速していく時のエンジン音が耳に心地よくて、どこまでも踏んでいきたいくらい伸びやか。ステアリングの握り心地も、本革がすべすべでずっと触っていたくなるし、シートは背中のちょうど骨盤の上あたりの絶妙なところにフィット感があって、自然と姿勢が伸びるような心地よさもあります。ブレーキングでは背中がまったくシートから離れない、姿勢変化の少なさもピカイチ。じわりと荷重移動していくコーナリングも安心感があります。



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弱点を挙げるとすれば、後方視界はリヤガラスの上下幅が狭く、ワイパーも飛び出して見えるのが残念。前方はボンネット両端は確認できますが、斜め前が左右ともに少し死角があるかなと感じました。



次に、2008はCX-30とは対極と言えるような印象で、路面の凸凹、うねりを正直に伝えてきます。でもそれが不快ではなく、運転のエッセンスとして、ドライブを楽しく盛り上げてくれるようなところに脱帽。エンジンも元気いっぱいで、最近では珍しいくらいに「エンジンを回している!」という喜びを感じさせてくれるよう。なので、走っているうちにどんどん「もっといけるいける、行っちゃえ」みたいにドライバーをあおり、気持ちを高揚させてくれるようなワクワク感があります。



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小気味いいエンジンの吹き上がりといい、小さいハンドルと3D-iコクピットでちょっとゲーム感覚みたいなところといい、遊んでいる感じが一番強いのが2008。足さばきもしっかりしてるけどよく動き、カーブでは出口まですごく粘ってくれて、ここまでイケちゃうのか、と感心する感覚はコンパクトカーの208と同じです。



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続いてレネゲードは、スムースでかったるさはないですが、一見するとどこか古臭く感じる乗り味で、ハンドリングももっさり系。エンジンも決して元気いっぱいではないですが、よく回るのでだんだんスピードを出していくと、オンロード用の走りモードに入ってくるような感覚。コーナリングも不安定になることなく、なかなか楽しめます。でもいちばん重量感はあって、常に重いものを動かしている感覚で走っていました。



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また、ハンドルのガッシリ感が半端なく、指1本添えていればずっと真っ直ぐ走ってくれるようなスワリの良さ。でも低速では滑らかに操作できるので、Uターンや車庫入れが大変ということはないです。どことなく、ジープの昔のモデルから乗り換えても違和感がない、ラダーフレームの頃の乗り味を思い起こさせるような気もするほど。現代のクルマの電子制御感というか、自分じゃない誰かが運転しているような感覚が嫌いな人や、レトロな乗り味が好きな人にはぴったり。



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そして視界は、フロントガラスが四隅まで広くスクエアなので、ボンネットが先端まできっちり見えています。これは車両感覚が掴みやすく、安心感もすごくあるはず。後方もガラスが大きくてきっちり長方形なのですが、ルームミラーが小さくてその広い視界があまり感じられないのが残念なところです。



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そして最後にキャプチャーに乗ると、もうこれは2008とCX-30のいいとこ取り! ドライビングに必要な情報は素直に伝わってくるけれど、それが大味ではなく上品さを伴っていて、紳士なのにちょっとヤンチャというかユーモアを感じさせるところがあるのが魅力的です。

乗り味も跳ねる感じまではいかず、コツコツとした振動や挙動などが不快感になる一歩手前、運転の楽しさに加味される程度に感じられるのが絶妙です。



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エンジンは、発進からひと踏み目はちょっと重く感じます。あざといくらいに軽快感を出すのではなく、上質さを感じさせる重厚感を残している感覚。その後の加速フィールもスカッと爽快というわけではないですが、しっかりパワフルでエレガントさもあります。



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ステアリングは太めのがっしりとした握り心地で、頼もしいのにレザーがソフトでしっとり。目の前のメーターはカラフルで、キャプチャーのイラストで後ろ姿が描かれていたり、どこかフレンドリーです。ただちょっと文字は多めで、ごちゃごちゃしていると感じてしまうかもしれません。



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初代より薄型にして、腕などが当たらないように操作性を重視したというシートは、薄型といってもライバルと同じくらいのクッション性はあり、路面のギャップでフカッと身体を包み込んでくれるよう。これはやはり、シートにこだわるルノーらしいところです。



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そしてコーナリングでは、進入でけっこう足が沈むと思いきや、ほどほどのところでガシッと抑えてくれるのがルノーっぽいと感心。ドイツ車ほどまでガチガチじゃなく、操る楽しさの幅を多めに残してくれてるのが、ほどよい楽しさを感じさせる秘密でしょうか。乗り心地はCX-30よりちょっと路面の荒さを拾う感覚もあるものの、そのほうがSUVっぽいなと実感しました。



キャプチャー・CX-30・2008・レネゲード! 最新「オシャレ系」小型SUV4台を徹底比較



視界は前方はしっかりとボンネット両端が確認でき、車両感覚も掴みやすいです。後方視界はCX-30よりガラスの上下幅は大きめですが、ガラスの傾斜が強めでファストバックのような見え方。気になったのは、他車と比べるとブレーキペダルがやや足を浮かして踏むような高めの位置で、ちょっと足首の角度が急になるように感じました。



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とはいえ、新型キャプチャーは快適装備を含め、乗り味にも日本車っぽいところが感じられつつ、フランス車の良さも盛りだくさんに入っていて、これはすごく日本人の感覚に合うだろうなと実感したのでした。



後席の乗降性と居住性はレネゲードが優勢

さて最後に、ファミリーユースでチェックしたいポイントとして、後席の乗り降りと居住性があります。



まず2008は、ドアが75度くらいまでとやや狭い開口部。サイドシルが厚めで段差も大きいので、ちょっと頭をかがめて乗り降りする感覚です。後席のゆとりは、身長165cmで頭上は拳1.5個、足もとは3個くらい。窓のベルトラインが高めですが、圧迫感はなく安心できる空間となっています。チャイルドシートが必要な子供だと、ちょっと窮屈かもしれませんが、小学生以上の子供なら十分に快適でしょう。



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次にキャプチャーもドア開口角度は同じく75度くらいで、サイドシルも厚め。ただシートの着座位置が後ろの方にあるからか、身体をあまり捻ることなく、足の出し入れもスムースです。後席のゆとりは頭上が1.5個、足もと3.5個くらい。窓のベルトラインは高めで、包まれる感じの空間です。こちらも小学生以上の子供のほうが、使い勝手は良さそうです。



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続いてCX-30は、ドアが90度近くまで大きく開き、サイドシルも薄めで頭と足の通りがよく、乗り降りしやすく感じました。窓のベルトラインがやや高めで、後席のゆとりは頭上2個、足もと2個くらい。シートの背もたれが肩より高いので、リラックスして座れるのが魅力です。チャイルドシートのお世話も難なくできるのではないでしょうか。



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最後にレネゲードは、まずドアの重さが印象的。90度近くまで大きく開き、サイドシルもそれほど厚みはなくルーフが高いので、乗り降りはいちばんスムースです。後席の背もたれも大きく、ゆとりは頭上3個、足もと3個と、頭上の余裕がいちばん広いのがレネゲード。窓のベルトラインが低めで、ガラスエリアがいちばん大きくて開放感があり、室内もスクエアで広々と感じました。



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ということで、後席の居住性を重視してファミリーでゆったり乗りたいなら、レネゲードはぴったり。オンロードでの気持ちのいい走りと、ファミリーユースを両立するならCX-30。雪山やキャンプなど、オフロードや雪道をガンガン走るならレネゲードでしょう。



そして、ワクワクドキドキ、一緒にスポーツをしているような楽しさを味わいたいなら、イチオシは2008です。先進の安全装備なども備えつつ、どこへ行くにも元気いっぱいで、自分を鼓舞させてくれるキャラクターは、このご時世にも頼りになる存在になるはず。



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ただ、やっぱり人間は生活を営んでいく以上、ずっといい時ばかりじゃない。落ち込んだり疲れたり、癒されたい時や何にも考えたくない時もあるものです。楽しい時だけでなく、そういう時にも一緒にいたいと思えるのは、真面目で上質な一面と、楽しく走れる一面を併せ持つキャプチャー。4台を同じステージで乗り比べて、そんな結論に至りました。



それぞれ違う個性があり、どれも魅力的だったこの4台。自分の好みやライフスタイルと照らし合わせて、ぴったりな1台を手にいれてば、人生がもっと豊かになること間違いなしです。価格も比較的手頃で、燃費も優秀なコンパクトSUVに、これからも注目です!



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