資源の乏しい国には有用な2次エネルギーが水素だ
燃料電池に使うだけでなく、それ自体を燃焼させて動力を生み出すこともできる水素は、水素社会という言葉まであるように、自動車業界以外でも活用が期待されている。
ではなぜ水素が注目されているのか。それは電気と同じように2次エネルギー、つまり地球上には存在しない代わりに、新たに作り出すことができるからだ。
たとえば石油は、産油国や輸送ルート上の地域で戦争が起こったりすると、供給が止まってしまう恐れがある。でも水素は電気と同じように、いろいろな方法で作ることができる。しかも軽いうえに、電気とは違って運搬もできる。
現状では水素の製造には電気を使うので、日本のように発電の4分の3が火力発電という国ではカーボンニュートラルにはなりにくいが、グリーン電力だけを使えばカーボンニュートラルになる。これをグリーン水素と呼んでいる。
燃料電池自動車は多くの補機を積まねばならないので、生産や廃棄のときの二酸化炭素排出が気になるし、小型車への導入は難しそうだが、先日トヨタがレースで走らせた水素そのものを燃やす方式なら、そういうデメリットは目立たなくなる。
e-fuelの存在も見逃せない。水素と二酸化炭素を化合させて作る合成燃料で、今のエンジンでも使えると言われている。作るときに二酸化炭素を使うので、カーボンニュートラルではさらに有利だ。
欧州メーカーのEV推進は単なる戦略で本命は水素シフトだ
ということで、今世界各地で水素社会実現のための取り組みが進んでいる。日本と関係が深いのはオーストラリア。
フランスは2020年に国家水素戦略を発表したぐらい本腰を入れているし、ドイツではダイムラーが燃料電池トラックの開発を進め、以前水素エンジン自動車を開発したBMWはトヨタと提携して燃料電池乗用車の市販化を進めている。
燃料電池のエネルギーになる水素は、どこでも作れて、いろいろな使い方ができて、カーボンニュートラルにもなる。だからこそ次世代エネルギーとして注目されているのである。
ヨーロッパはEV推しじゃなかったの? という人、あれは彼らの戦略だ。EUのウェブサイトにも、EVシフトは戦略でもあると書いてある。
水素シフトについて言わないのは、燃料電池自動車では日本が先行していて、現時点では劣勢に立たされているからだと思われる。しかしこれまでもモータースポーツで日本が強くなるとルール変更で潰しにかかった前歴がある彼らのこと、どういう戦略を取ってくるかはわからない。
仮に日本がヨーロッパの挑発に乗ってEVシフトを進めたら、次の日から水素シフトにいきなり舵を切るはず。そうならないためにも、日本はEVシフトなどの挑発に乗らず、燃料電池自動車でのアドバンテージをさらに広げるよう取り組むのが大切だ。

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