この記事をまとめると
■NSXが約6年で販売終了となる一方で、GT-Rは14年という長きに渡って販売を継続■NSXは2000万円近くの高額になり、運転を楽しむためだけに使える人は限りがある
■GT-Rは車内で会話を楽しめ、かつ運転も楽しいGTカーであることが長寿につながっている
NSXとGT-Rでは土俵が決定的に異なる
ホンダNSXの終了が予定される一方、日産GT-Rはなぜ存続できるのか。もちろん背景に自動車メーカーの都合という側面がそれぞれあるだろう。しかし、NSXとGT-Rを同じ指標で考えようとすることに、わかりにくさを生じさせるのだと思う。
NSXはスポーツカーだ。GT-Rは、その名のとおりGTカーであり、GTとはグランド・ツーリングの意味である。
英語のスポーツには、娯楽の意味があり、楽しむことをさす。いわゆる運動するというスポーツだけを意味するのではない。
そこから、スポーツカーとは、運転を楽しむためのクルマであることがわかる。運転を楽しむことを極めるため、ふたり乗りが基本であり、NSXのように俊敏さを高めるためミッドシップを採用することもある。もちろん、フロントエンジン・リヤドライブのFRスポーツカーもある。日産フェアレディZやマツダ・ロードスターがそれに該当する。
余談だが、人気のSUV(スポーツ多目的車)のスポーツも娯楽をさしており、遊びに行くために便利な車種という意味だ。
一方、GT-Rの基本はグランド・ツーリング、すなわち旅を楽しむためのクルマであり、その高性能仕様がGT-Rというわけだ。
現行GT-Rが開発される際、「時速300kmで普通に会話のできるクルマを目指した」と、責任者の水野和敏さんは語っている。もしスポーツカーであるなら、車内で会話を楽しめなくても差し支えないだろう。
運転も旅も楽しめる高性能GTカーであり続けるGT-R
海外の例では、フェラーリはスポーツカーで、ポルシェはGTカーだ。しかしどちらも高性能で、レースにも出場するので、日本ではどちらもスポーツカーといわれることが多い。
ポルシェを代表する911が世代を超えて後席を備えるのは、GTの証のひとつといえる。一方、ボクスターやケイマンはふたり乗りであり、運転を楽しむことに重点を置いた車種だ。それでも基はGTとして歴史を刻んだメーカーだから、ボクスターやケイマンで小旅行を楽しむこともできるだろう。
近年はスポーツカー専門メーカーでも4人乗りの乗用を重視した車種も加わるようになり、GTのメーカーでもSUVが選べるなど、スポーツカーかGTカーかの定義が、メーカーが築いてきた歴史だけで語るのが難しくなりつつある。それでも、語源を理解することで、存在価値を改めて認識することができるのではないか。
そしてNSXは、2000万円近くの高額になり、運転を楽しむためだけに使える人は限りがある。同じスポーツカーでも、フェアレディZやロードスターは身近に楽しめることを重視し、乗用車の部品を流用するなどして構成するので、より多くの人が手に入れることができ、販売台数も見込めるため存続している。
また、その際の販売の主体は米国だ。NSXもまた、米国主導で開発し、米国を主力の市場としたが、それでも超高性能で高額なスポーツカーの販売台数には限界がある。
GT-Rは、運転も楽しめる高性能車だが、高速で旅をしても快適という一面もある。
2007年の登場から14年を経てなお販売し続けるのは、そうした両方の側面をもちあわせた価値が、消費者に認められているからだろう。

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