この記事をまとめると
■東京ガスが充電サービス「EVrest(イーブイレスト)」を開始■集合住宅での普通充電実現に一歩近づいた
■「EVrest(イーブイレスト)」のサービス内容を解説する
立体駐車場への対応も可能!
電気自動車(EV)の普及を妨げているのが、マンションなど集合住宅の管理組合問題だ。集合住宅の駐車場は住民が共同利用する場所となるため、管理組合の認証を得なければEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)のための普通充電(200Vコンセントなど)設備を設置できない。このため、住民がEVやPHEVの購入や利用を諦める事例が後を絶たない。
その救世主ともいえる事業が、東京ガスが取り組むEVrest(イーブイレスト)だ。
充電を利用する人の認証や充電量の計測機能がない充電設備、たとえば充電ポールではなく200Vコンセントなどでも、遠隔制御ユニット、QRコード、スマートフォンのアプリケーションなどを利用することにより、個別の充電実績の管理を行うことのできるシステムを運用する。また、立体駐車場へも対応できるという。
そうした充電サービスができるのは、東京ガスが提携するユビ電のWeCharge(ウィーチャージ)のシステム基盤を活用することによる。

まだ駐車場に充電設備が整えられていない集合住宅に対しては、電気容量や充電設備の設置数などを調査し、そのうえで管理組合や集合住宅の所有者などへ最適な提案を行い、受益者負担や必要な諸手続きについても支援を行うという。これまで、EVやPHEVの購入を検討する住民が個別に孤軍奮闘することで乗り越えられなかった障壁を、越える手伝いをしてくれるというわけだ。
集合住宅での普通充電実現の可能性が見えてきた
これまでも、日産自動車が大京アステージなどと集合住宅への充電設備の設置を支援する取り組みをしてきたが、東京ガスのイーブイレストは自動車メーカーやデベロッパーの別を問わず支援の手を差し伸べてくれるので、日産以外や輸入車のEVやPHEVの使用を希望し、これまで断念してきた人たちも、希望の明かりが見えてくる可能性があるのではないか。
これとは別に、日立製作所が急速充電と、普通充電については複数台数に対応できる充電器を開発したと今夏に発表している。日立がこれまでに培ってきた電力変換技術や、高周波駆動技術を活かすことで、可能になったという。集合住宅やビルなどでの充電環境に対処できるとする。

2009年に三菱i-MiEVが、2010年に日産リーフが発売されてから10年以上にわたり解決されてこなかった集合住宅での普通充電実現の可能性が、これらの取り組みによって見えてきそうだ。

英国では、来年から、新築の住宅やオフィスビルに充電器の設置を義務付ける動きがある。