この記事をまとめると
■個性的で過去人気だったが、現在は普通すぎて人気が薄れたクルマを紹介■昔を知るユーザーからは不評でも新規ユーザーにはウケがいい場合もある
■大幅な路線変更は受け入れられるまでに時間が掛かるケースも多い
新規ユーザーを取るか従来のユーザーを取るかでデザインが割れる
性能や装備の面ではダメなところ、もっと良くして欲しいところはたくさんあるのに、デザインや全体の雰囲気が個性的で、ほかに代わるクルマがないから、という理由で人気のクルマはけっこうあるものです。
でも、人気が出るといろんなタイプのユーザーが乗ることになり、「ここがダメ」という部分を声高に言う人も多くなります。メーカー側も、「次はもっといいクルマにしなければ」という気持ちで開発するわけなので、ユーザーの声を真摯に受け止め、ダメなところを改善します。
するとどうしたことか、あんなに輝いていた個性は影を潜め、どこにでもあるような、単に優等生のクルマになってしまうということが多々あります。今回はそんな、いいクルマになったばっかりに唯一無二の個性が薄れてしまったという声が聞かれるクルマたちをピックアップしました。
1台目は、2000年に彗星の如く登場したコンパクトSUV、日産エクストレイル。雪山や泥道をズンズン駆けていくワイルドなCMが記憶に残る人も多いことでしょう。初代エクストレイルは「タフギア」をコンセプトとして、若い世代がとことん遊び倒す相棒のようなSUVとして登場し、そのギア感が実際にスノボやサーフィンなどを趣味とする若者たちを中心に大ウケ。手頃な価格や、濡れた衣類で座っても大丈夫な撥水加工など、考えられた使い勝手も大好評で、ファミリーカーとしても引っ張りだこだったのでした。
ところがその後、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを繰り返すうちに、デザインはどんどんプレミアム志向に。日産が新しいデザインランゲージを生み出し、そのひとつであるVモーショングリルなどを採用していますが、初代のカジュアルなタフギア感はほとんど薄れてしまいました。
プロパイロットが搭載されたり、走行性能や使い勝手はかなり進化したものの、そのせいで強豪ライバルとの差別化が弱くなってしまったとも言えます。
個性を追求しすぎた結果、逆に個性がなくなってしまった
2台目は、特定のモデルというよりはマツダ車全般に言えることですが、デザイン統一によりどのモデルのフロントマスクを見ても、同じような印象を受けるようになりました。もちろん、現在のマツダ車のデザインは上質感やセクシーさがあって、ヨーロッパでも大絶賛されているほどですが、一般の声としては「どれがどれだかわからない」という人もちらほら。
確かに、実物を並べて見比べれば違いがわかるのですが、同じようなサイズの写真で見たり、高速道路などで遠くを走っているマツダ車がCX-5なのか、CX-8なのか、はたまたCX-30なのか、区別できないという声もよく聞かれます。
3台目は、初代が4ドアクーペというデザインジャンルを一躍世に広め、まるでビーナスのような美しい抑揚のあるデザインで人々を魅了した、メルセデス・ベンツCLS。低く流麗なルーフ、スッと一筆書きのようなベルトライン、ぎゅっと細いウエストのように絞り込まれたテールエンドなど、それまでのどのメルセデスサルーンにもなかった衝撃作と言っていいほどで、当時は賛否両論あったものの、結果的にこのCLSは大ヒットとなりました。
ちょっと後席の頭上はタイトだけど、やっぱりこのセクシーなデザインの魅力にはあらがえない! という理由で贔屓にしてきたユーザーが多いのですが、2018年に登場した現行モデルはなんと、ボディの抑揚がほとんどないシンプルな曲面デザインを採用。
最新SクラスやCクラスもそうした傾向となっているので、新世代メルセデス・ベンツのデザインを取り入れているのはわかるのですが、「あのセクシーな“くびれ”はどこへ……」とガッカリする人もいるようです。
4台目は、もうすぐ日本にも導入される予定となっている、新型のルノー・カングー。本国フランスの関係者も驚くほど、日本ではカングーのファンが多いのですが、それはやはり初代が作り上げた商用車ベースとは思えない独特のオシャレ感や、スライドドア車なのに生活感が出にくいこと、そして動物やペットにも通じるような愛嬌のある雰囲気、ゆるい感じ。それらが国産ミニバンやドイツ車にはない、カングーだけの魅力としてファンを増やしていたのだと思います。
ところが最新のカングーは、キリリと精悍な顔立ちに、プレミアム感さえ漂うスタイリング。あのペットのような愛嬌や、ゆる~い雰囲気は影を潜めてしまいました。その代わり、ボディが拡大したため室内は広く、走りの安定感がかなり向上し、ラゲッジの使い勝手もよく考えられているようですが……。
果たして大変身したカングーは、日本で受け入れられるのかどうか、見守りたいと思います。
ということで、初代が大ヒットすると、エンジニアにとってそのフルモデルチェンジはかなり難しい仕事だとよく言われますが、いかがでしたでしょうか。デザインや雰囲気の個性を守りつつ、性能をアップしていく難しさは相当なものなのかもしれないですね。

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