この記事をまとめると
■ホンダの雪上試乗会で乗った2台のコンセプトモデルをリポート■1台は次世代シャシーの実験車であるCR-V
■もう1台はヴェゼル Modulo Xのコンセプト
CR-Vのプロトタイプはシャシーの実験車
ホンダのハイブリットAWDの雪道試乗会の第二弾は2台のプロトタイプのインプレッションをリポートする。
まずはCR-Vのコアバリュー研究車だ。このモデルはCR-Vを素材にしているが、ホンダのこれからのシャシー性能の考え方の実験モデルだ。
ドライと異なり雪道は路面の凹凸があり独特なバネ上やバネ下の振動が発生する。タイヤはスタッドレスなので、タイヤメーカーによって差異はあるが、一般的にスタッドレスの乗り心地はトレッド面が硬めなので、快適性ではサマータイヤに劣る傾向がある。今回テストしたクルマも、スタッドレスタイヤに起因する路面の接地性は褒められたものではなかった。どんなに優れたAWDでも、タイヤと路面の接地性が重要なので、その意味ではボディやサスペンションが重要だ。

雪道は一般道路と比べるとスピードは低く、旋回横Gや制動力も小さいが、それであるが故にサスペンションは重要だ。わずかなストロークでも減衰力を発生させるダンパーや、サスがスムースに動けるように、サスペンションの力が加わるボディは部分的な剛性も必要だ。
隣に座るホンダの技術者の説明を聞きながら、コアバリューのCR-Vのステアリングを握ってみた。たしかにノーマル(市販車)と比べると、その第一印象はとても乗りやすと思った。ボディの動きがフラットライドで、ノーズダイブやリヤの沈み込みが少ない。これは大きな収穫だと思った。

ハンドリングはFFやFFベースのAWDの場合、私の経験ではリヤのロール剛性が高いほど安定すると考えていた。
近いうちに中国で新型CR-Vが発表されるが、今回テストしたコアバリューの技術が量産技術として実装されるらしい。派手な技術ではないが、入念にすり合わせたシャシー技術は、これからのホンダ車のコア技術となるだろう。
ヴェゼル Modulo Xのプロトタイプは標準車より接地性に優れる
もう一台のプロトタイプはホンダアクセスが開発した、コンプリートチューンのVEZELだ。このモデルは「Modulo X」と名付けられており、1月のオートサロンで発表されている。

開発を担当したのはホンダアクセスというホンダの用品部門を担う会社だが、「ModuloX」としては8機種目となる。初代は2013年のN-BOXから始まっており、今回の「VEZEL Modulo X」もコンプリートカーとして登場する。
メーカーが扱うチューンドカーは、量産車との差別化という意味では多くのメーカーが取り組んでいる。社外チューンではないので、安心感はあるが、量産車との差別化がどこまでできるのか、腕の見せどころだ。

今回はVEZELをベースに「Modulo X」が開発されたが、量産車の良いところを残しながら、足りないところを、味付ける。ややもすると量産車を否定することになりかねない。量産車との違いは、ダンパー、ホイール、エアロなどがオリジナルで、全体的にはシャシー性能をスポーティにするというのが、プレゼンの内容だ。
プレゼンで理解できなかったのが、「バネのようにアルミホイールをしならせる」(原文)という部分。ホイールのどの部分のバネが、どのくらいの数値なのか明らかになっていない。いずれ機会があれが、じっくりと聞いてみたいので、宿題とさせてほしい。

そうした疑問はあったものの、実際にステアリングを握ると、量産のVEZELとは異なり、雪道でもある程度のフラットライドが味わえた。ピッチング方向の動きが少なくなったので、フロントタイヤの接地性が高まり、雪道でも安心して走ることができそうだ。

指摘しておきたいのは、エアロなどを開発するアクセスなので、リヤのエクステリアデザインにこだわってほしかった。後ろからVEZELを見ると、リヤデフが丸見えなのだ。これこそ、量産車のネガなので、アクセスの出番ではないだろうか。リアルワールドでは、「走っているクルマは後ろから見られる」ということを忘れないでほしい。

オマケに除雪機も体験
ホンダの汎用機部門が開発した、除雪機を体験。今年は雪が多いので、販売は好調のようだで、人力よりもはるかに楽だが、実際に試すと除雪はそう簡単ではない。雪を押す「ユキオスe!」はバッテリー式の電動なので、モーターで雪を押すことができるが、雪が重いと力が必要。
もう一台は雪をかいて、吹き出す除雪機に挑戦。こちらはエンジンであるが、機能的には降ったばかりの新雪を吹き飛ばすのが役目だ。雪国で生活する人には必需品だと思うが、今年のドカ雪は、重機が必要かもしれない。