この記事をまとめると
■全日本ジムカーナ選手権には2ペダルモデルで参戦できるクラスがある



■マクラーレンなどのスーパーカーから軽自動車まで多種多様な車両が参戦している



■必ずしも大パワー車両が有利なわけでなくスリリングな戦いが繰り広げられている



全日本選手権に2021年から2ペダルクラスを新設

ジムカーナ競技の最高峰シリーズ、全日本ジムカーナ選手権では、2021年よりオートマチック限定免許で運転できる"2ペダルクラス"を新設。残念ながら4輪駆動車両を対象にしたJG9クラスはエントリーが集まらず不成立となったほか、2輪駆動車を対象にしたJG10クラスも5台前後のエントリーにとどまったが、2年目を迎えた2022年はまずまずの盛況ぶりで、なかでもJG10クラスは全日本ジムカーナの"目玉"となりそうだ。



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3月12日~13日、筑波サーキット・コース1000で開催された開幕戦でJG10クラスに参戦したのは9台で、しかも9車種が集結。さらに、ドライバーも豪華なラインアップで、チャンピオン経験者たちが参戦していたのだ。



まず、最大の注目を集めたのが、これまで全日本ジムカーナ選手権で21回にわたってタイトルを獲得している山野哲也選手にほかならない。「現在、99%の車両が2ペダルで、エレクトリックパーキングブレーキも増えてきましたよね。2ペダル車両でもジムカーナを楽しめるということを伝えたい」との理由から、山野選手はJG10クラスへの参戦を決意。



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しかも、投入したマシンはルノー・アルピーヌA110Sで、山野選手は「ハンドリングの印象が良かったことと、292馬力に1150kgというスペックを見て決めました」と語る。



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さらに、ジムカーナのほか、豊富なレース経験を持つ山野選手の弟、山野直也選手もマクラーレン600LTで参戦。「自動車販売を行っているので、以前から2ペダルのスポーツカーで参戦できるクラスがあればいいなぁ……と思っていました。ジムカーナは低リスクで楽しめるモータースポーツなので、オーナーさんにジムカーナを体験してもらうためのトライアルとして参戦しました」と語る。



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そのほか、「サーキット走行用にクルマを買ったんですけど、ジムカーナに2ペダルクラスがあることを知ったので25年ぶりに参戦しました」と語るように、かつて全日本選手権で活躍していた古谷和久選手がポルシェ911GT3RSでジムカーナに復帰したことも、2022年のJG10クラスのトピックスだ。



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このようにJG10クラスには海外のスーパーカーが集結しているが、その一方で国産スポーツカーも参戦している。



たとえば2012年のPN2クラスでタイトルを獲得するなど、長年にわたってフェアレディZで活躍してきた河本晃一選手は「フェアレディZでのチャレンジはある程度、見えてきたので次のフェーズに移りたいと思うと同時に、ジムカーナのカジュアル化のために2ペダルで楽しめる世界観を作りたいと思っていました。

素性の良さとMTモデルのパーツを使えることでこのクルマにしました」と語るように、新型スバルBRZのATモデルを武器にJG10クラスへの参戦を開始。



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さらに、これまでEK9型のホンダ・シビックでJG4クラスを沸かせてきた安木美徳選手も「パーツメーカーのATSさんからFFのATモデル用LSDを開発しているので参戦してみないか……と声をかけていただいたことがきっかけです」と語るようにスズキ・スイフトでJG10クラスに参戦している。



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そのほか、昨年までポルシェ・ケイマンでJG10クラスに参戦していた角岡隆志選手がルノー・ルーテシアにスイッチしたほか、殿村裕一選手がダイハツ・コペン、黒崎澪音選手がニッサン・ノート、関谷光弘選手がトヨタ86で参戦。



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まさに、1000万円以上のスーパーカーから軽自動車まで、国内外のマシンが集結するなど多彩な車種バリエーションで、ちょっとした"異種格闘技"のような雰囲気だ。



もちろん、2ペダル車両ゆえに、独自のドライビングが必要となるようで、「ATは自動制御なんですけど、それに合わせた操作が必要になってくる。たとえばコーナーへ進入する際、3速から2速に落としたとしてもATモデルはワンテンポ遅れてきますが、その時にはアクセルを開けていたいので、どうやって辻褄をあわせるのか? それを見越したコントロールが必要になる」と河本選手。



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つまり、MTとは異なるドライビングスキルが求められるが、その一方で、2ペダル車両によるジムカーナはドライバーにとってもスリリングで、山野哲也選手は「サイドブレーキレバーがないので、サイドターンが入ってくると、MT車両に対して0.5秒ぐらい遅くなってくると思いますが、めちゃくちゃ楽しいですよ。滑るクルマをコントロールすることは、MTだろうとATだろうと関係ないし、操作が減ったことから、コントロールにも集中できます」と分析。



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さらに河本選手も「MTのほうが意のままにコントロールできますが、ATモデルで十分かつリーズナブルに面白い戦いができます。AT車両のジムカーナは難しくて、奥が深くて、面白いですね」と印象を語る。



この2年目を迎えたJG10クラスで開幕戦を制したのは下馬評どおり、ルノー・アルピーヌA110Sを駆る山野哲也選手だったが、マクラーレン600LTを駆る山野直也選手を抑えて、スバルBRZを駆る河本選手が2位、スズキ・スイフトを駆る安木選手が3位で表彰台を獲得したことは興味深い。



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おそらく、この"下克上"は装着タイヤが演出しているのだろう。

タイヤのサイズ的に18インチ以下であれば、ハイグリップラジアルを装着できることから、山野哲也選手によれば「必ずしも大きなハイパワー車が勝てるという訳ではない。実際、雨が降ったり、路面温度が低い状態であればスズキ・スイフトが速いと思います」とのことだ。



まさに全日本ジムーナ選手権のJG10クラスは、異種格闘技クラスとしての魅力が満載。実際、コースサイドで見ているとマクラーレン600LTやポルシェ911GT3のエキゾーストは迫力満点で、360度ターンの少ない専用コースで争われているとはいえ、ルノー・アルピーヌA110SやスバルBRZ、スズキ・スイフトのリズミカルな走りは一見の価値があることだろう。



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もちろん、徹底的な改造を施した4WDのモンスターマシンが集うJG1クラスなど、その他のクラスも魅力満点。さらに、観戦に訪れたギャラリーのなかから抽選でパレードランの同乗走行を実施するなど、ファンサービスも充実している。



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興味のある読者諸兄は全日本ジムカーナ選手権を観戦してみてはいかがだろうか?

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