この記事をまとめると
■アストンマーティンとレッドブルのコラボによるハイパーカーが「ヴァルキリー」だ



■現代のF1マシンにも似たデザインは究極のエアロダイナミクスを意識したもの



■後継となる「ヴァルハラ」も発表され、アストンマーティンのハイパーカー戦略が刺激的だ



空力の天才が描いた異次元なスタイリング

アストンマーティンとレッドブル・アドバンスド・テクノロジーのコラボレーションによるハイパーカー・プロジェクト、「AM-RB001」の存在が明らかになったのは2016年3月のことだから、すでに我々はその生産型たる「ヴァルキリー」のデビューを、すでに相当に長い時間待たされていることになる。あるいはそのプロジェクトは人知れず消滅してしまったのだろうか。そうとさえ考えるハイパーカーのファンも多かったのかもしれない。



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だがそのような心配は不要だ。アストンマーティンは昨年11月4日に、量産第一号車となるヴァルキリーを完成。それは先日最初のカスタマーのもとへと無事に納車されている。ヴァルキリーのデリバリーは当初2019年中に開始されることが計画されていたが、AM-RB001からのさらなる開発作業に時間を要したこと。そして、すべてがハンドメイドとなるヴァルキリーは、1台あたり2000時間以上の製作時間を必要とすることなどにより、実際のデリバリーが現在まで遅れた大きな理由とされている。



空力の天才が作った謎すぎるスタイリング! 4億円のアストンマーティン「ヴァルキリー」は異次元のクルマだった



ちなみにデリバリー台数は全世界で150台であり、価格は200~250万ポンド(約3億2000万~4億円)。その生産が終了した後にはさらにハイパフォーマンスな、サーキット走行専用車のヴァルキリーAMRプロが25台の限定車として生産される計画も予定通りに進行中である。



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ヴァルキリーのデザインは、アストンマーティンの副社長であり、またデザイン部門を統括する責任者でもあるマレック・ライヒマンと、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーでF1マシンのデザインにも携わるエイドリアン・ニューウェイの両氏によって進められた。



ヴァルキリーに続くハイパーカーもスタンバイ

そのフィニッシュはじつに刺激的であり、また前衛的なもの。現代のF1マシンにも似た、独特なドライビングポジションを採用したことにも証明されているように、そのデザインは究極的なエアロダイアミクスを意識している。



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それはインテリアのデザインに関しても同様だ。コンパクトなキャビンは完全に機能性を重視したデザインで、各種スイッチ類はステアリングに集中してレイアウトされている。

ちなみにこのステアリングは乗降時には着脱が可能。エアロダイナミクスのためにドアミラーは存在せず、代わりにボディ側面にはリヤビューカメラを装備。その画像はコックピット左右のディスプレイに映し出される仕組みだ。



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カーボンモノコックのシャシーに組み合わされるエンジは、それ自身も剛性を負担するコスワース製の6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジン。最高出力は1014馬力/1万500rpm、最大トルクは740Nmという数字で、これに162馬力の最高出力と280Nmの最大トルクを発揮するエレクトリックモーターを組み合わせる。参考までにモーターはインテグラル・パワートレイン製、バッテリーはリマック製とされている。



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ライヒマンとニューウェイが、エアロダイナミクスと同様に、ストイックなまでにその性能を追求したのは軽量性だった。通常のアストンマーティン車に使用されるものよりも30~40%ほどを軽量化したというヘッドライトを始め、わずかに70ミクロン厚のアルミニウムを用い、それを科学的に接着したフロントのエンブレムなどはその象徴的な例。ボディはもちろんフルカーボンだ。彼らがターゲットとしたウエイトはジャスト1000kg。パワーウエイトレシオで1:1kg/馬力を実現することが、開発時の最終的なターゲットだったのだ。



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150台が限定生産されるヴァルキリーは、日本にも11台が正規輸入される予定。

サーキットイベントなどでその姿を見る機会はけして皆無とはいえないし、その先には前で触れたヴァルキリーAMR、そしてそのイメージを受け継ぐ、やはりF1譲りの技術を満載したヴァルハラが、500台の限定生産されることが2021年に発表されている。



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アストンマーティンのハイパーカー戦略は今、もっとも面白く刺激的な時代を迎えているのかもしれない。

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