この記事をまとめると
■後席が充実している高級車を紹介■シャンパングラスやマッサージ機能、大画面モニターなどを備えるクルマが多い
■軽自動車界にも1台「プレミアム感」を味わえるクルマがある
「凄すぎる」の一言に尽きる後席が充実しすぎているクルマ
クルマの装備は電動化、デジタル化とともにますます高度、高級なものになっているが、装備の充実度は、多くの場合、前席に限られる。その好例が、レクサスLSの5代目、2017年10月に登場したXF50型のエクスクルーシブグレードにレクサス初として用意されたフロントリフレッシュシート(つまりマッサージ機能)。
眠気を誘わないように、後席用よりマッサージ機能に配慮しているというものの、指圧師がマッサージしてくれるような、親指サイズの2×3cmの空気袋を座面に10カ所、背もたれに10カ所備え、運転中でもリフレッシュが可能。

しかし、主にセダン系の高級車、VIPカー、ショーファードリブンカーにおいては、やはり後席に豪華装備が奢られ、前席よりも後席の充実度がより高いクルマが存在する。そう、後席に乗る人のためにあるような高級車である。
その世界最高峰の1台と言えるのが、ロールス・ロイス ファントム。ラグジュアリーを極めた豪華すぎる後席には、なんとシューティング・スター・ヘッドライナーと呼ばれる、何百もの光ファイバー・ライトが本革ルーフライニングに繊細にはめ込まれ、独自の色や星座でカスタマイズし、オリジナルの星空を作れるプラネタリウムのような世界を楽しめる装備が施されている。

43.5度のリクライニング機構、シャンパンクーラーなどはもはや当たり前として、そうしたオーナーを喜ばせる飛びぬけた装備に行きついているのである。

英国のロールス・ロイスが出てくれば、ドイツのメルセデスベンツも黙ってはいない。メルセデス・マイバッハ Sクラスの後席エグゼクティブシートには、レッグレスト、ふくらはぎのリラクゼーション機能(マッサージ機能)を備えるほか、4人乗り仕様となるファーストクラスパッケージになれば、クーリングボックス(冷蔵庫)、格納式テーブル、そしてシャンパングラスまで装備される。

さらに、後席のベルトフィーダーが自動でシートベルトを手の届きやすい位置まで送り出し、シートベルトの着用を自然な形で促してくれるシートベルトフィーダー、リヤドアの電動開閉機能まで装備しているほどだ。

装備が豪華すぎてクルマから降りれない!?
最先端デジタルサルーンと呼ぶべきBMW i7、BMW7シリーズの後席もすごい。

リヤドア内側に5.5インチスマホサイズのタッチスクリーンを備え、各種機能を手元で操作できるほか、後席専用のアマゾンFire TV搭載31.3インチ8Kパノラマディスプレイ!! マッサージ機能まで用意。

とはいえ、上記の3車はいかに後席が豪華で快適であっても、一般の人がおいそれと手が出せる(似合う)クルマではないとも言える。で、800万円以下で、そうしたラグジュアリーを極めた後席を持つクルマはないかと調べたところ、DS9を見つけた。

価格は714~804万円で、DSラウンジシートと呼ばれる後席は、機能装備、贅沢装備こそ左右シートヒーター、ベンチレーション、ランバーサポート程度にとどまるものの、凝ったナッパレザーのデザイン性あるシート、多機能アームレストなど、パリが香るラグジュアリー感に満ちた世界を堪能させてくれるのだ。

もう1台、セダンではないものの、前後席4座のSUVで後席の豪華装備極まるのが、2020年にすでに生産を終えている、新車価格1359万円!! のボルボXC90 T8ツインエンジンAWDエクセレンス。じつは、中古車が原稿執筆時点で全国に2台しかないのだが、中古車価格は約650~800万円。もちろん即納可能なクルマである(はず)。年式は2016~2017年だが、走行距離は少なく、まだまだ乗り続けられる中古車のようだ。

そんなボルボXC90 T8ツインエンジンAWDエクセレンスは、もちろん3列シートラグジュアリーハイエンドSUVのXC90がベースだが、3列目席を取り払い、独立4座、つまり後席独立2座とし、広大かつラグジュアリー感極まる後席を作り出したスペシャルモデルなのである。そして肝心の後席の装備は、後席センターコンソール内にある液晶画面で操作するシートリクライニング、ベンチレーション、マッサージ機能を備え、フットレストも用意。

さらに、ウッドパネルの質感の高さもたまらない折り畳み式テーブル、シャンパンのボトルが2本入るクーリングボックス、そしてボルボではおなじみの、スウェーデンを代表するクリスタルブランドであるオレフォス製ハンドメイドシャンパングラス(台座のないスティックタイプでホルダーの穴に刺して固定する)まで標準装備されるのである(中古車にそれが残っているかは分からないが……)。当時を振り返れば、本革シートの柔らかくしなやかなかけ心地も超一流、ラグジュアリーそのものだった。

いやいや、それでも650~800万円はするでしょ……とお嘆きなら、100万円台でも後席がとびっきり充実した新車がある。
それが三菱ekクロススペースだ。

後席の乗降はパワースライドドア。スーパーハイト系軽自動車だけに全高が高く、フロアが低いため、セダンより乗降は楽々快適。後席居住空間の広さも圧巻で、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で頭上に250mm、膝まわりに最大400mmもの(後席スライド位置による)、スペースがあるのだから、ゆったり。グレードによってはラグジュアリー感たっぷりのインテリアカラー、シートマテリアルとなり、オプションでプラズマクラスター搭載のリヤサーキュレーターまで用意。後席の充実度は軽自動車のレベルを遥かに超えたものになるはずだ。
