この記事をまとめると
■日本では「FR+MT」の組み合わせのスポーツカーが新車で登場すると話題になる



■一方、海外では一部車種を除いてMTの存在感はまったくない



■EV普及とSUVシフトで、今後は「FR+MT」という発想がなくなるかもしれない



クルマ好きの憧れといえば「FR+MT」!

FR(フロントエンジン・リヤ駆動)こそ、スポーツカーの本筋。となれば当然、ミッションはマニュアル。「フェアレディZ」、「スープラ」、「ロードスター」、「GR86」、「BRZ」など愛する人にとっては、ごく自然にFR+MTと触れ合っているのだと思う。



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では、こうした感覚は海外でも共通なのだろうか?



まずは、スポーツカーの販売台数が多い、アメリカから見ていこう。



日系スポーツカー好きの場合、MT派は当然いるのだが、アメリカではオープンカーを含めて女性のスポーツカーオーナーも少なくない。彼女たちは気軽に乗れるATを選ぶことが多い。



「FR+MT」の黄金コンビが賞賛されるのは日本だけ!? 海外では「一部マニア」にウケるのみだった



アメ車となれば、マッスルカー御三家の「マスタング」、「カマロ」、「チャレンジャー」、そして独自の世界感を持つ「コルベット」がFRスポーツカーの代表格だ。ただし、MT設定がないグレードも多く、アメリカの場合はディーラーがメーカーからまとめて新車を仕入れて小売りする販売スタイルなので、希少なMT車の在庫はあまり持たない。



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EV化とSUVシフトにより「FR+MT」の生存確率は低い

次に欧州だが、そもそも欧州ではMT比率が高い傾向にあったが、時代とともにATを好む人も増えていったと思う。さらに、ハイブリッド車、そして欧州グリーンディール政策による急激なEVシフトの波が押し寄せているなかで、MT車の存在感は今後さらに薄れていくだろう。



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では、世界最大の自動車製造・販売国である中国はどうか?



中国にも熱狂的なクルマ好きは多く、そうした人たちのなかでは当然、FR+MTに対する憧れは強く残っていると思う。ただし、一般的なユーザーにとっては、そうした意識は高くない印象がある。



そもそも、中国は2000年代中頃から中国政府の経済政策によって乗用車が普及し始めたが、最初はアメリカンライフへの憧れから、アメ車はもとより、アメリカで人気の高い「カムリ」などに注目が集まった。さらに、富裕層は政府官僚が使うメルセデス・ベンツBMWアウディのリムジンに憧れた。



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2010年代になると、生涯で2台目、または3台目の乗用車を購入する人たちが増え始め、世界的なSUVシフトが中国でも広まっていく。

そうなると、FRとかFFという観点でのクルマ選びは薄れていく。



そのほか、東南アジア、中近東、南米など、世界の国や地域で、クルマ好きにとってはFR+MTに対する憧れがあるのは確かだ。



しかし、アメリカや中国と同じように、SUVシフトが進み、そしてEVの本格的な到来を予見しながら、FRやMTという発想自体がなくなってくるのではないだろうか。



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そうしたなか、アメリカの25年ルールに見られるように、旧車に対する需要の高まりから、FR+MTの良さを再確認する海外の人たちも一定数いる。

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