この記事をまとめると
■SUVブームになったことでシティユースやデザイン性などを重視したモデルも登場している■最低地上高が高ければ高いほど悪路走破性は高まるが操縦安定性は悪くなる
■SUVブームをブームで終わらせないためにも走行性能を試す場所があるのが望ましい
SUVブームがさまざまな個性を持ったモデルたちを産んだ
世界中でSUVブームはとどまるところを知らない。トヨタの高級ブランド「クラウン」にも次期モデルにはSUVがラインアップされるとアナウンスされ、「クラウンよ、お前もか!」と心で唸ったユーザーも多いだろう。
しかし、SUVとひとことにいっても、各車の個性はさまざまで、デザイン優先モデルやオフロードに特化したクロカンモデルなど多用だ。
そもそもSUVブームはどこから来ているのか。車高が高く、グランドクリアランスが大きいことから悪路走破性が高いことが一番の特徴といえる。だが、シティユースや高速クルージングを重要視するユーザーは、実用性、利便性、快適性を高度に求め、またスポーツカーを好む層はデザイン性も重要視する。こうしたさまざまな性能要求が多くのユーザーから求められ、現在の多種多様なSUVラインアップが生み出されたといえるだろう。
数あるSUVに共通しているのは、車高が高い=グランドクリアランスが大きい、ということだ。普通乗用車の最低地上高が130ミリ(例:カローラセダン)とすれば、SUVだと160ミリ(例:カローラクロス)といった具合だ。これが専用プラットフォームを持つSUVだと200ミリ前後(例:RAV4等)、SUV特化車だと225ミリ(例:ランドクルーザー)といった具合だ。
最低地上高が高ければ高いほど悪路走破性は高まり、近年の異常気象による災害下においても「命を守る選択」となり得るわけだ。
だが、最低地上高を大きくして車高が高くなると、重心位置も高くなり操縦安定性に影響を及ぼす。重心が高くなれば発進、停止、加減速、旋回時などあらゆるG(加速度)変化下において重心位置を中心に回転モーメントが大きく発生して、ピッチング変化やロール変化を拡大し、操縦安定性に大きく影響を与えてしまう。
コーナリング中の車体の傾き(ロール)を抑えるためにスタビライザー(アンチロールバー)を装備させるとロール自体は収えられるが、サスペンションのストローク量も規制してしまうため、岩場などの本格的な悪路を走破し辛くなってしまう。
こうした悪路走破性を維持するためには、もちろん4WDであることが必須で、FF前輪2輪駆動のSUVはあまり認められない。
重心が高く、ピッチングモーメントが大きくかかるので、急な坂道発進などでは前輪の荷重が減少し駆動力が伝わりにくくなる。軽自動車の4WDがラクラクと発進できる雪道の登り坂で立派なSUVが立ち往生していたらみっともないだろう。シトロエンやプジョーなど仏車のSUVは電子制御で発進性を確保しているというが、現実的には低ミューの急な登坂路は得意ではなく、万能性が低い。
ただのブームで終わらせないために必要なもの
また、渡河性能と呼ばれる水深の深い川を走破できる性能は頼もしいものだ。メルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラー、ランドローバーなどは70センチ以上の水深でも走れる渡河性能を与えられている。ジープ・ラングラーでは70センチを確実とするために、地上から70センチ以下の高さには電気のコネクターや接点を配置しないなど工夫している。
もちろんエンジンへの吸気口高さも重要で、70センチより高くなければならないし、シュノーケルをオプションで持つ車両は1メートル以上の渡河性能が発揮できる。
現実的に一般道でそんな場面に出くわすことはあり得ないが、一生に一度でも、そうした危険な場面に直面したときに、その性能で救われれば価値がある。
SUVブームをただのブームで終わらせないためにも、ユーザーが正しく走行性能を知り、試す機会にも恵まれることが今後のSUVブームを牽引するうえで重要な施策となるのではなかろうか。
国内にはSUVの悪路性能を試せる特設コースが何箇所かあるがまだまだ少ない。
ドリフトブームでドリフトコースが各地に広がったように、SUVランドが全国展開されることを期待している。

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