2025年は18万9122票が投じられ、「熊」はそのうちの2万2346票を獲得し、トップとなった。1位の争いは大接戦となり、2位の「米」(2万3166票)とは180票差だった。
「熊」は過去10年、20位にもランクインしておらず、注目される対象ではなかった。逆にいえば、2025年のクマの猛威は特異的であり、それだけすさまじかったということだ。
2年前も大量出没だったがなぜ今年は注目?
その大きな爪跡は、環境省が公表しているデータをみれば明白だ。まずクマによる被害者数。2025年度は217件で、ここ10年で最多となっている。
2023年も213件で大量出没と騒がれたが、死者数が2023年の6人に対し、2025年は13件と倍以上。さらに生活圏での被害がセンセーショナルに報じられたことなどから、世間に大きなインパクトを与えた。
クマ被害による死者数は過去最多となった(出典:環境省ホームページ)
このことからわかるように、2023年はクマ出没こそ多かったが、エリアは主に山間部だった。一方、2025年は死者数が過去最大となり、住宅地での被害も目立った。その結果、報道も、ローカルから全国ニュース扱いとなり、より多くの人がクマ被害の実情を知ることになった。
クマの活動範囲が人の生活圏を侵食する。
脅威は迫っていたがなぜ手遅れに…
脅威は忍び寄っていたはずだが、なぜこれほどまでに手遅れになったのか…。背景には、複数の要因が重なっているとみられる。たとえば、クマの個体数増加や分布の拡大、社会構造の変化に伴う環境の変質、そしてクマの学習による行動の変化といったことだ。
〈人口縮小社会の中で、野生鳥獣たちとどう向き合っていくか〉をテーマに長年研究を続けている岐阜大学の鈴木正嗣教授は、その原因を次のように考察する。
「イノシシやシカなどによる被害が増えた理由として、しばしば挙げられるのが森林破壊です。しかし、実際には、国内の森林面積はほぼ横ばいとされています。人工林と天然林の比率も過去40年あまり大きく変化はしていないんです。
むしろ、人口縮小による耕作放棄地の増加や山林の管理放棄などの問題に注目する必要があります。これにより、クマ類をはじめ、シカやイノシシなどの生息環境が好転し、生息数が増え、人との距離も物理的に縮まっているのです」
野生鳥獣の側の事情よりも、人口や人間活動の縮小がそのトリガーになっている。シンプルだが本質をついたそのロジックは次の通りだ。
(1)人口が減少し、林業や農業など農山村の産業や生活スタイルが激変
(2)高齢化や耕作放棄などにより、人の立ち入りが途絶え、管理が行き届かない場所が、人の生活圏近くでも拡大
(3)人里近くで、収穫されることのない栗や柿の木が放置果樹として多く残存
(4)人の生活圏と野生鳥獣の行動圏とが接近もしくは重複
人口減少がトリガーだとするなら、変化や脅威に気づきづらく、気がついたときには手遅れになるという状況も合点がいく。
併せて、クマの個体数増加に対する認識のズレも被害を不用意に増大させた可能性がある。
長年、クマは「繁殖力が弱く増えにくい」と考えられてきた。ところが、実際には特定の条件下で年平均16.0%もの推定増加率を示す地域があり、約5年で生息数が倍増するほどの強い繁殖力を持つケースも確認されている。
クマの学習と「人慣れ」
想定以上の繁殖力に加え、クマの高い学習能力が人間やその生活圏に対する認識を変化させていることも、被害増大の推進力と考えられる。放棄された果樹(栗、柿など)や生ゴミ、農作物の味を覚えた個体は、それらを求めて繰り返し人里に現れるようになる。そこで、徐々に「ヒトや街は恐れるものではない」と学習。その瞬間から人の生活圏はクマにとって良質なエサ場へとスイッチする。
対策現場の限界と社会的圧力
本来なら、被害が目立ち始めた段階で食い止める必要があるが、現場の対応能力が限界を迎えていることも、問題を深刻化させている。駆除を担うハンターが不足し、高齢化も進行。クマ増大により、出没が同時多発的になり、箱わなの見回りや駆除後の対応が市町村の対応能力を超越している現実もある。秋田県ではこの「切迫事情」により、自衛隊への派遣要請が行われる事態となった。
自衛隊派遣を要請した経緯を語る鈴木知事(弁護士JPニュース編集部)
自治体の駆除を消極的にする、外部からの「かわいそう」といった抗議やクレームの殺到も、対策を後手に回らせた。
警察官によるライフル銃を用いたクマ駆除を可能とした背景には、クマ被害の大きさが、駆除への抗議を抑え込む形になったこともある。逆説的だが、被害の深刻さが「災害級」であることが広く知られた結果、‟壁”が取り払われた格好だ。
全国の自治体のなかでもクマ被害が深刻で、自衛隊の派遣を要請した秋田県の鈴木健太知事は、「今回は特別な事態だった」としたうえで、「獣害に対しては、自治体・警察での対応力を高めていくのが本来の筋だ」と力を込めた。
長らく人と野生動物の共存はバランスが保たれていたが、2025年、それがいかにもろいものだったのかが明らかになった。クマの出没頻度は、山間部でのエサの状況により増減するとみられてきたが、もはやその考えも改める必要があるのかもしれない。
前出の岐阜大学・鈴木教授は、ひとつの案として、特に過疎地において、人の生活圏と野生動物の行動範囲のゾーニング再構築を提言する。個体数管理も徹底し、駆除を担う、プロ捕獲者の国による育成も不可欠だとも訴える。
「人口減少だから仕方がない」と受け身で対処療法的な対応でやり過ごしていては、人類は生活圏を野生動物に奪われ続けることになる…。

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