能登半島地震の発生から約2年。能登の被災者を対象にした石川県保険医協会の調査で、医療費の窓口負担(自己負担)の免除終了後、7割近くの人が通院や診療内容に影響を受けたことがわかった。

能登半島地震の被災者を対象とした医療費窓口負担の免除措置は、石川県内の国民健康保険(国保)と後期高齢者医療(高齢者向けの医療制度)で2025年6月末に終了した。これを受けて石川県保険医協会は、免除終了後の受診状況を把握するためのアンケート調査を行い、同年12月24日に最終報告を公表。
調査は2025年9月1日から11月30日まで実施され、国保および後期高齢者医療の加入者を対象に、はがきまたはオンラインで回答を募り、合計2355件(はがき2296件、オンライン59件)の回答が寄せられた。
このうち、免除の対象であった2233人に対し、免除終了後の通院や診療内容への影響を質問したところ、「影響があった」との回答は1549件(69.4%)にのぼった。

「通院回数を減らした」が最多

影響の具体的な内容(複数回答可)では、「通院回数を減らした」が891件と最も多く、免除終了後に影響があったと回答した人の57.5%を占めた。
続いて「検査を断った」(373件、24.0%)、「薬を減らした」(340件、21.9%)が多く、「通院をやめた」という深刻な回答も169件(10.9%)あった。
影響が出た理由としては、88.3%(1367件)が「一部負担金(窓口で支払う自己負担分)がかかるから」を選択しており、石川県保険医協会は「患者に必要な医療が届きにくくなっていることが明らかとなった」と指摘している。
一方、免除終了後の通院や診療内容に「影響はない」と回答したのが638件(28.6%)だったのに対し、窓口負担を支払うために生活に影響があったかという質問には37.3%(238件)が「ある」と回答。
受診抑制に関する自由記述欄には、「受診や薬を我慢した」「治療を中止した」という意見が計71件にのぼったほか、既に病状・体調の悪化が生じているという訴えも47件あり、次のような回答が寄せられたという。
「被災後、なかなか再建が進まない状況が続き約1年9か月が経ち、心身の不調が出てきています。しかし生活の余裕がなく、病院を受診できずにおり、疲労やストレスが重なっていきます」
「病院の通院回数を減らし、回数を減らしたことにより、病気が悪化し、とてもつらい状況です」

免除再開求める声

医療費免除に関する自由記述は、免除再開を望む声が169件と最も多く、これに対し「再開しなくてもよい」という意見は4件にとどまった。
また、富山県福井県の国保と後期高齢者医療が2025年9月末まで免除を延長した一方、石川県が6月末で終了したことに対する不満や疑問も85件寄せられ「被害が大きかった石川県で免除終了はなぜか」といった声も上がっている。

免除終了後「患者が来院しなくなった」

石川県保険医協会では、患者側だけでなく会員医療機関を対象としたアンケート調査も10月24日から11月20日まで実施しており、205件(回答率20.9%)の有効回答を得ている。
調査結果によると、免除終了後に「来院しなくなった」「来院頻度が減った」など患者の受診行動の変化を経験した医療機関は全体の17.6%(36件)で「(患者の)認知症の症状が進んだ」「確実に悪くなっていると考えるが、来院していないのでわからない」などの回答が寄せられた。

「被災者は震災前の日常を取り戻したとは言い難く、未だ困難な状況にある。
経済的負担の心配なく受診できる環境を整えることは、被災者の心身の健康を守るために非常に重要であり、医療費免除の再開を強く求めたい」(石川県保険医協会)


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