司法の判断をないがしろにする対応に、日本弁護士連合会(日弁連)の元会長を含む約1300人の弁護士が1月15日、「最高裁判決に従い、全面的な補償措置をすみやかに実施することを求める」共同声明を発表。同日、呼びかけ人の弁護士らが都内で会見を開いた。(ライター・榎園哲哉)
最高裁の「違法」判断を無視する厚労省
生活保護基準の引き下げをめぐる裁判は、2012年末の衆院選が発端となった。当時野党だった自民党は、生活保護受給者に対するバッシングの声を背景に、「生活保護費10%削減」を公約に掲げた。自民党が政権に返り咲くと、厚労省は2013~15年にかけ、生活保護費のうち食費などに該当する「生活扶助費」を平均6.5%引き下げた。
これに対し、全国の受給者約1000人と支援する弁護士らは、「生存権」を定めた憲法25条、および生活保護法(8条等)に違反しているとして、2014年2月以降、全国29地裁で、引き下げられた保護基準に基づく保護変更(減額)決定処分の取り消しを求めて提訴した。
上告された愛知と大阪の両訴訟について最高裁第三小法廷は昨年6月27日、厚労省による引き下げ判断のプロセスは「合理性を欠く」と断じ、処分を取り消す判決を行った。
原告らは国に対し、全受給世帯への全額補償を求めており、必要な予算は総額4000億円を超えると試算されていた。
しかし、厚労省は昨年8月13日、原告らの頭越しに行政法の専門家らでつくる「専門委員会」を設置。
委員会は、最高裁が違法とした「デフレ調整(物価下落を理由とした削減)」を撤回する一方で、最高裁の個別意見等で妥当性が否定されていた「水準調整(一般の低所得者世帯との比較)」を持ち出すなど、減額自体は正当化。引き下げ前の基準から改めて減額する最終案をまとめ、同省に報告した。
それを受けて厚労省は、原告らが求める「全受給世帯への全額補償」には届かない1475億円を2025年度補正予算に盛り込んだ。受給世帯へ一律10万円程度給付し、約1000人の原告に対しては10万円程度の「特別給付」を上乗せするとした。
法学研究者や法曹界から抗議の声
こうした厚労省の対応には、法曹関係者から相次いで抗議の声が上がっている。原告と支援する弁護士らでつくる「いのちのとりで裁判全国アクション」は11月21日に「紛争の再燃が必至であり、早期全面解決が遠のく」として声明を発出。
11月28日には自由法曹団が「国の(中略)対応策は裁判所の違憲立法審査権を踏みにじるものであり、撤回を求める」として緊急声明を発表。
さらに12月8日には全国の大学教授・法学研究者ら123人が「最高裁判決に従わない厚労省の対応は、民主主義の根幹を揺るがす人権侵害行為であり、直ちにすべての生活保護利用者に生活保護基準引き下げ以前の保護費を支給するべきである」として緊急声明を出した。
そして今回、日弁連元会長ら11人を含む1254人の弁護士による共同声明が発表された。
声明は、厚労省の対応の問題点を、後述の通り4点に整理し指摘している。
その上で、「とりわけ、『デフレ調整』が違法であるとして保護費の切り下げ処分の取り消しを宣告されたにもかかわらず、改めて『デフレ調整に代わる新たな減額調整』を持ち出すことは、本訴訟で敗訴した厚労省が判決の要請に従わず、行政が司法の判断を黙殺するに等しいものである」と、法理論的な観点からの批判を行っている。
厚労省対応の四つの重大な問題点
会見に臨んだ中本和洋弁護士、村越進弁護士(以上、日弁連元会長)、新里宏二弁護士、土井裕明弁護士(以上、同元副会長)の4氏は、厚労省対応の問題を以下4点に整理し、厳しく指弾した。①原告らの具体的給付請求権に対する不当な侵害であること
②行政府が司法判断をないがしろにするものであること
③紛争の一回的解決の要請に反するものであること
④原告らに対してのみ「特別給付」を行うことは不平等であること
土井弁護士は「最高裁が処分を取り消した以上、原告らの保護費の額は処分前(2013年以前)の状態に戻っていると解するほかない」と説明し、こう続けた。
「国家の権限はあくまで法の下にあり、国家権力も法のルールに従わなければならない。最高裁で判決が示されたら行政機関は従う。これが民主国家の中心的な考え方だ。今回の対応は三権分立と法の支配の原理に抵触する」(土井弁護士)
村越弁護士も「世界には、国際法は不要だと言い、法の支配を無視する姿勢を明確にしている大統領もいるが、今回の対応は、本質的にはそうしたことにも通じる暴挙だ」と厚労省の対応を批判した。
賛同者らは連名で、上野賢一郎厚労相に対して要請書も提出。現行の対応策を撤回し、すべての生活保護利用者に対する全面的な補償措置を直ちに実施することを求めた。
■榎園哲哉
1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。

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