柳裕也(31)は、2人いるのだろうか。オープン戦は3試合1勝1敗9.69。

公式戦は3試合1勝0敗0.86。(4月16日現在)

「きっと何かを大きく変えたに違いない」と思い、本人を直撃したが、返ってきた答えは「わずかな修正」だった。

3月1日。井上一樹監督は開幕投手に柳を指名した。「WBCとの絡みがあるが、開幕戦でも淡々と投げてくれる選手を探したときに柳だった」と理由を述べた。この時、この決断を不安に思ったファンは少なかったはずだ。しかし、日に日に雲行きが怪しくなった。

中日・柳裕也は2人いる?防御率9.69から0.86に 復活に...の画像はこちら >>

3月5日。横浜スタジアムのDeNA戦に先発した柳は、5回4失点と乱れた。

3月13日。バンテリンドームの楽天戦は5回9失点と大炎上。試合後、井上監督は「公言したてまえ、キャンセルというわけにはいかない。

原因は本人が一番分かっている」と話した。SNSでは不安が広がった。

中日・柳裕也は2人いる?防御率9.69から0.86に 復活に導いた“3塁側プレート”と左足の上げ方【若狭敬一ドラゴンズコラム】
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「全部が狂って、ストレートも変化球もダメになっていた」

4月9日。オープン戦大乱調の原因を柳に聞いた。

「一番はフォームです。僕の悪い癖は右足が折れること。そうなると、左足がインステップ気味になって、体が横ぶりになって、手首も寝る。持ち味は縦回転のストレートなのに右足が折れることで、全部が狂って、ストレートも変化球もダメになっていました」と説明した。

なぜフォームが狂ってしまったのか。

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去年12月、私は自主トレ中の柳にオフの取り組みを聞いていた。

「来年はバンテリンが狭くなるので、インコースが鍵になると思っています。来年は1塁側のプレートを踏んで、右バッターのインコースに角度の付いた球を投げたい」と意気込んでいた。「ここ数年、結果が出ていないので、フォームも色々試します」と進化のための変化を誓った。

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キャンプ序盤は「ビギナーズラックだった」

2月1日。私は北谷球場のブルペンで個別練習をしていた柳の姿を見て、フォームの変化に気付いた。

いつものセットポジションではなく、ノーワインドアップモーションを試していたのだ。「ストレートの勢いをつけるためです。合わなければ、戻します」と話した。

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柳はキャンプ序盤を「良かったですよ。ずっとやってきたことが実を結んで、ストレートも変化球も良い感覚がありました。ただ、今思えば、ビギナーズラックでしたね」と振り返った。「だんだん『あれ?』と思うことが出てきたんです」と打ち明けた。

アスリートは難しい。変化がそのまま進化にならない。長い時間をかけて研究し、練習し、最初は良い感覚を掴む。しかし、やがて停滞し、違和感を覚え、相手との戦いで結果が出ないと、「間違っていたかもしれない」と危機感が募る。

気付けば、フォームが狂っていた。

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“プレート位置”は3塁側に

柳は計画を中断し、再調整に乗り出した。まず、ノーワインドアップモーションを捨てた。次はプレートの位置だ。

「1塁側からだと、右の内角は投げやすいですが、カットやスライダーの曲がり球が決まらなくなったし、左バッターのインコースの真っ直ぐがボールになることが増えました。徐々にずらして、結局、3塁側を踏むようにしました」と明かした。

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左足の上げ方は“4種類” 微調整で掴んだ感覚

あとはセットポジションからどう投げるかだ。「僕は左足の上げ方が3つあるんですよ。一番右足が折れないのはどれか、試行錯誤しました」。器用な柳には左足の上げ方がクイックも含めると、4種類もあるという。

「これ、見てください」と柳がスマホを取り出し、投球動画を見せてくれた。あの楽天戦だった。「これが1回表です。左足を一旦小さく上げてから、高く上げているの、分かりますか?」。

分かった。それは二段モーションだった。

次の動画は5回表2死無走者。「この日、2発食らったマッカスカーです。初球、見てください。左足をポンと上げていますよね」。二段モーションではなかった。しかし、言われなければ、気付かなかったと思う。

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「この時、変えたんですよ。でも、3球目。また、左足を小さく上げる二段モーションに戻していますよね?でも、このカーブが全然ダメで、もう左足を一気に上げるフォームで行こうと決めたんです。この上げ方をすると、一番右足が折れませんでした」と解説した。

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紆余曲折を経てたどり着いた投球フォーム

3月20日。ロッテ戦は3回2失点。「みんな『柳で大丈夫か』と思ったでしょうけど、僕は勝負になると思いました。おそらく世界で僕だけです」と笑った。「開幕前日にマツダスタジアムのマウンドから10球ほど投げましたが、その日も『よし、勝負になる』と思いました」と手応えを掴んでいた。

開幕の広島戦は6回1失点。4月3日のヤクルト戦では4年ぶりの完封勝利。「あと、僕はざっくり投げて結果が出るタイプではないことがよく分りました。オープン戦は自分中心で、真っ直ぐを多めとか、やりたいことを優先しますが、公式戦は相手重視で、データを頭に入れて、反応を見て、組み立てながら、投げる。僕はその方が良い」と自己分析した。

中日・柳裕也は2人いる?防御率9.69から0.86に 復活に導いた“3塁側プレート”と左足の上げ方【若狭敬一ドラゴンズコラム】
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プレートを踏む位置は1塁側から3塁側へ数十センチ。左足の上げ方は言われなければ、気付かないレベル。

このわずかな修正が開幕後の結果に繋がった。紆余曲折の末に辿り着いた2026年型フォームで、柳は今後も相手の反応を見ながら、頭をフル回転して投げる。

中日・柳裕也は2人いる?防御率9.69から0.86に 復活に導いた“3塁側プレート”と左足の上げ方【若狭敬一ドラゴンズコラム】
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【CBCテレビ アナウンサー 若狭敬一】

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