自社に合った人材を探す手段として、「カジュアル面談」は非常に有用です。しかし、一般的な採用面接とは目的が異なるため「何を聞けば良いかわからない」と悩んでしまうこともあるでしょう。
そこで本記事では、今日からすぐに使えるカジュアル面談の質問例を、8種類に分けて紹介します。カジュアル面談を活用して人材を採用したいのであれば、ぜひご覧ください。
なお、以下の資料からもカジュアル面談の質問例をご確認いただけます。面談の流れに沿って質問例が整理されているので、本番に近い形でシミュレーションを行うことも可能です。
本記事と併せてご活用ください。

カジュアル面談とは
カジュアル面談とは、企業と転職希望者がフランクに質問し合い、お互いに理解を深めるための機会のことです。企業が人材に自社をアピールできる場となる一方で、転職希望者側にとっても、会社の雰囲気や仕事内容について臆せず質問できる良いチャンスとなります。
一般的な採用面接との違いは、「選考の一環として行われるかどうか」という点にあります。カジュアル面談の目的はあくまでも相互理解を深めることにあるため、面談の内容がその後の選考に影響することはありません。フリートーク形式で自由に進行し、企業と転職希望者が対等な立場で質問を交わします。
一方で、面接は採用の可否を決めるために行われるものです。
このように、カジュアル面談と面接はまったく目的が異なります。適切に使い分けて、自社の要件に合う人材を効率良く探せると理想的です。
(参照:『カジュアル面談とは?採用面接との違いや実施するメリット・当日の流れを解説』)
カジュアル面談を実施する目的
カジュアル面談は、主に以下の3点を目的として行われます。
採用のミスマッチを防ぐ
カジュアル面談の実施によって、採用のミスマッチを防げる可能性があります。
採用活動で多くの企業が直面する課題の一つが、採用のミスマッチです。採用のミスマッチが多発すると、選考を通過する転職希望者が減るだけではなく、採用した人材の早期離職にもつながるため、早急に対処しなくてはなりません。
そこで効果を発揮する施策が、カジュアル面談です。
カジュアル面談によって、転職希望者のスキル面や人となりを深掘りすれば、自社に適した人材を採用できる可能性が高まります。また、転職希望者に対しても実際のはたらき方や雰囲気、キャリアプランなどを詳細に伝えられるため、自社が合っているかどうかをしっかりと検討してもらえます。
このように、カジュアル面談では企業・転職希望者がお互いに認識を擦り合わせられるので、採用のミスマッチ防止に非常に有用なのです。
転職希望者の人柄を知る
転職希望者の人柄をより詳細に把握することも、カジュアル面談の目的の一つです。
先ほどお伝えした通り、カジュアル面談では疑問点をお互いに自由かつ率直に確かめられます。自然体に近い状態の転職希望者から話を聞けるので、人柄や物事に対する考え方、他者との関わり方などを詳細に把握できるでしょう。
また、カジュアル面談で関係性を構築しておけば、その後の採用面接で転職希望者の緊張を解きやすくなります。
自社の魅力をアピールする
カジュアル面談では、ホームページや求人情報では伝えきれない自社の情報を、口頭で具体的に共有できます。そのため、自社の魅力をアピールする場としても最適です。
一社員としての目線で社風やはたらき方を伝えられれば、「ここでなら自分に合ったはたらき方ができそうだ」と転職希望者にポジティブな印象を与えられます。また、カジュアル面談でていねいな対応を心がければ、会社の良い評判が広まり応募数をさらに増やせるかもしれません。つまり、質の高いカジュアル面談を実施することが、採用活動全体の成功につながるのです。
(参照:『スカウト、カジュアル面談経由だからこそ「選ばれる」面接を!応募者の“志望動機をつくる”面接官メソッド』)
カジュアル面談では何を質問すれば良い?
「カジュアル面談の重要性は理解したが、一体どんな質問をすれば良いのか…」とお悩みの人事・採用担当者もいるでしょう。そこでここからは、カジュアル面談で使える質問を、いくつかの種類に分けて紹介します。
なお、カジュアル面談の質問例は以下のテンプレートからも確認可能です。面談を実施する際の注意事項なども記載しているので、ぜひ併せてご活用ください。

これまでの経歴
募集しているポジションに対する適性を図るためにも、まずは以下の質問で転職希望者の経歴を確認します。自己紹介のあとに自然な流れで聞けると理想的です。
これまでの経歴に関する質問例
●現在は○○社にお勤めとのことですが、どのような役割を担当されていますか?
●○○に関する業務にも携わっていたんですね。
●これまでのキャリアの中で印象に残っているプロジェクトがあれば、お聞かせください。
なお、これらの質問を問いかける際は、面接のような堅い雰囲気にならないように注意しましょう。カジュアル面談の目的は「プレッシャーのない環境で話し、お互いに理解を深めること」にあります。この点を見失わないように、フランクな態度で接することを意識してください。
保有しているスキル
経歴とともに重要となる要素が、転職希望者の保有しているスキルです。募集中のポジションに必須なスキル、あるいはプラスアルファとなるスキルの有無は、適性を判断する上で非常に重要なポイントとなります。本選考をより効率良く進めるためにも、カジュアル面談で以下の質問を活用してスキル面をチェックしておきましょう。
保有しているスキルに関する質問例
●弊社では○○の領域に力を入れているのですが、何か関連する資格などお持ちでしょうか?
●前職や過去のプロジェクトではどのようなツールを利用されていましたか?
●もし最近新しく学んだことがあれば、ぜひお聞かせください。
スキルに関する質問も、面接に近い雰囲気にならないように注意する必要があります。募集中のポジションに関して説明するタイミングに合わせて、さりげなく確認しておきたいところです。
これからのキャリア
採用のミスマッチを防止する上では、入社後のキャリアに対する考えを確認しておくことも大切です。キャリアに関する質問の例は以下の通りです。
これからのキャリアに関する質問例
●実際に入社したら、どのようにキャリアアップしていきたいでしょうか?
●入社してから5年後には、どのようなポジションについていたいですか?
ここでの回答に合わせてアピールする内容を柔軟に変えられれば、転職希望者の入社意欲をより効果的に高められます。「この会社に入ったら、どのようにキャリアアップできるだろうか」というイメージが具体的になれば、前向きな気持ちで選考へと進んでくれるはずです。
また、もし転職希望者が答えにくそうにしているのであれば、「具体的でなくても大丈夫ですよ」とフォローしてあげましょう。
仕事への興味
興味を抱いている分野や業務を把握することは、自社への適性を見極める上で必要不可欠な対応です。自社が注力する領域や業務に強い興味を示す転職希望者は、入社後に長く活躍してくれる可能性があるためです。
仕事への興味に関する質問例
●今、一番興味のある分野や業務は何でしょうか?
●弊社の業務や事業の中では、何に一番興味を引かれますか?
●将来的に携わりたいプロジェクトや業務があれば、ぜひお聞かせください。
なおこれらの質問は、前項で紹介した「これからのキャリア」に関する質問と一部共通する部分もあります。そのため、キャリアの話と合わせて確認しても良いでしょう。
転職活動の状況
採用の売り手市場が続く昨今では、転職希望者の他社あるいは他業界への応募状況も重要な情報となり得ます。よって、カジュアル面談でも転職活動の現状については確認しておくべきでしょう。
転職活動の状況に関する質問例
●他社の求人にも応募されているのでしょうか?
●他社の選考がどこまで進んでいるか、可能な範囲で構わないので教えていただけますか?
●もしほかに検討中の業界があれば、ぜひお聞かせください。
これらの質問に対する回答内容から、自社への入社意欲の高さを推し量れます。自社に対する強い思いがあり、かつこちらの要件も満たしている人材に対しては、以降の選考を優先的に進めるなどの対応を検討しましょう。
また、検討中の競合他社あるいは業界を把握すれば、それらにはない自社の魅力をピックアップして伝える、という戦略も取れます。回答内容に合わせてアピールポイントを臨機応変に変えることが、カジュアル面談を成功に導く秘訣です。
転職先に求めること
転職活動の状況とともに、転職先の企業に求める条件も聞いておきましょう。選考ではないカジュアル面談だからこそ、転職希望者の本音に近い要望を確かめられます。
転職先に求めることに関する質問例
●給与面や業務内容など、転職先を選ぶ際は何を重視されていますか?
●「こういう職場ではたらきたい」という理想像などがあれば、ぜひお聞かせください。
福利厚生や給与、業務内容など、転職希望者が何を軸に転職を行っているのかがわかれば、アピールすべき自社の魅力も定まります。加えて、転職希望者が自社の雰囲気に合うかどうかも判断できるため、重要度の高い質問だといえるでしょう。
現職での悩み
「そもそもなぜ転職活動を始めたのか?」を確認するためにも、現職での悩みや不満もヒアリングしておきたいところです。その上で「弊社ならその点は問題ない」と適切にフォローできれば、転職希望者の入社意欲をさらに高められます。
現職での悩みに関する質問例
●今の職場に対して「ここを改善してほしい」と思う部分はありますか?
●現職で苦労されていることや、大変だと思うことがあれば教えてください。
●転職されようと思ったきっかけは何でしょうか?
現職に対する改善要望や不満点には、転職希望者の本音が強く反映される傾向があるため、優先的に確認することをお勧めします。ただし、場合によってはプライベートな話題になる可能性もあるので、必要以上に内容を掘り下げないように注意してください。
自社に対する疑問
自社に対する懸念点の払拭も、カジュアル面談の大切な目的です。自社で実際にはたらくことになったと想像してもらった上で、気になる点や不安な点があるかどうかを確認します。
自社に対する疑問に関する質問例
●弊社で実際にはたらくにあたって、何か気になる点や懸念点などはありますか?
●今回の面談の内容を踏まえて、何か確認しておきたいことはありますか?
●本音で構いませんので、弊社に対する興味・関心の有無をお聞かせください。
上記を受けて転職希望者から逆質問が出てきた場合には、可能な限り具体的なエピソードを交えて回答しましょう。疑問点を詳細なイメージとともに解消できれば、以降の選考に対する転職希望者のモチベーションをさらに高められる可能性があります。
カジュアル面談で避けておきたい質問
カジュアル面談を成功させるためにも、質問例だけではなく、質問すべきではない内容も把握しておきましょう。
まず通常の採用面接と同様に、プライベートに深く踏み込む質問は避ける必要があります。
また、趣味や休日の過ごし方に関しても、単刀直入に尋ねられると人によっては不快に感じてしまうかもしれません。「休日は何をしていますか?」と直接的に聞くのではなく、「気分をリフレッシュしたいときはどうしていますか?」など、間接的に質問できると理想的です。
上記のほか、「弊社を志望する理由は何ですか?」や「ご自身の長所・短所をお聞かせください」などの、採用面接と変わらない質問も聞くべきではないでしょう。カジュアル面談の目的は企業と転職希望者が理解を深め合うことであり、選考の合否には関係がないはずであるためです。「やっぱり選考の一環なのではないか?」と転職希望者に不安を抱かせないためにも、志望動機や長所・短所などに関する質問も避けることをお勧めします。
(参照:厚生労働省『公正な採用選考の基本』)
覚えておきたい!カジュアル面談での逆質問の例
転職希望者の不安を解消することもカジュアル面談の大事な要素です。こちらからの質問を考えるだけではなく、逆質問への回答を準備しておくことも、カジュアル面談の準備として非常に大切です。転職希望者の求める回答ができるかどうかで、自社への志望度も大きく変わる可能性があります。
以下に、カジュアル面談で想定される逆質問とそれに対する回答例を用意したので、ぜひご活用ください。
社内の雰囲気
「社内の雰囲気はどのような感じでしょうか?」といった質問は、カジュアル面談で頻出の逆質問の一つです。この質問には、ストレスの多い職場ではないか、あるいは厳し過ぎる上司や先輩がいないかなどを確かめる意図があると考えられます。
良い雰囲気ではたらける環境であるとアピールするためにも、こうした質問に対しては以下のように回答することが望ましいでしょう。
回答例
●非常に風通しの良い職場ですね。上司・部下もフラットにコミュニケーションを取り合っているので、積極的に意見を出していけると思います。
●業務で必要なことは指摘しますが、そこで感情的になる人はいませんね。それに、わからないことがあっても積極的にフォローしてくれるメンバーばかりです。
上記をベースに回答する際は、具体的なエピソードも交えられるとより効果的です。特に、面談担当者の実体験を共有できれば、説得力が増して「ここなら安心してはたらけそうだ」と転職希望者に思ってもらえる可能性が高まります。
(参照:『求人票で「アットホームな社風」はNG?求職者が知りたい社風を伝えるコツとは』)
自社でのはたらき方
ワークライフバランスを重視する転職希望者からは「リモートワークは可能でしょうか?」「月の残業時間はどの程度でしょうか?」といった質問が来ると思われます。こうした質問に対しては、自社の実態を正直に伝えた上で、要望がかなえられる部分を押し出す形で回答できると理想的です。
回答例
●リモートワークは導入していないのですが、フレックスタイム制での出勤は可能です。ご自身やご家庭の都合に合わせて自由に出勤時間を決めていただけますよ。
●弊社ははたらき方改革に取り組んでおりまして、残業時間は月平均で〇時間ほどです。また、有給休暇の取得率も〇%以上となっています。
現状は転職希望者の希望に沿えないのであれば「将来的にはリモートワークも導入する想定です」といったふうに、制度を改善する計画があるとだけ伝えても良いでしょう。また、部門ごとではたらき方に差がある場合は、入社後のミスマッチを防ぐためにも明確に伝えておく必要があります。
活躍している社員の特徴
自身が活躍できるかどうかを考えるために「御社ではどのような方が活躍されていますか?」と質問する転職希望者も多く存在します。自社が求める人材像を明確に伝えられる機会でもあるため、この質問に対しては可能な限り具体的に回答することが大切です。
回答例
●弊社では、特に積極性の高い社員が活躍しています。やるべきことを整理し自分から動ける人は、年次にかかわらず成果を出していますよ。
●今回募集中のポジションで活躍している社員は、課題発見力に優れている傾向があります。クライアントの抱える潜在的な課題を洗い出して、効果的な解決策を提案できる、という感じです。
もし転職希望者が未経験者の場合には、活躍している人材がそこに至るまでにどのような成長を遂げたのか、まで伝えられると効果的です。「自分でも同じように成長できるかもしれない」と、前向きな感情を想起させることで、入社意欲をさらに高められます。
入社までに身に付けておくべきスキル
入社までに何を学んでおくべきか、または取るべき資格があるか、といった類いの質問をする転職希望者は、自社への志望度が比較的高いと考えられます。その意欲の高さをキープするためにも、求めるスキルとそのレベルは詳細に伝えましょう。
回答例
●弊社では海外の顧客ともやりとりする機会が多いので、英語力があるとすぐに活躍できると考えています。TOEICで750点以上取っておいてもらえると理想的ですね。
●各クラウドサービスの認定試験のほか、データ分析に関する資格などの取得を推奨しています。ただ、入社後に資格取得のサポートが受けられるので、選考の時点で必須というわけではありません。
資格取得の支援制度があるなら、2つ目の回答例のようにその旨をアピールすることをお勧めします。
採用ポジションの募集背景
時には「なぜこのポジションで採用を募集しているのですか?」という、採用活動の背景に関わる質問が来るかもしれません。採用の目的を知ることで、新しい人材に期待している役割を把握する、あるいは会社の事情を探る、という狙いがあると考えられます。
この質問が来た場合には、答えられる範囲で社内の事情を共有しましょう。
回答例
●弊社では新しく○○の領域に進出しようと考えており、そこでの即戦力を採用するために募集をかけています。
●直近で数人の退職者が出てしまったため、その分の戦力を補強するために採用活動を行っています。
回答にネガティブな内容が含まれるとしても、正直に伝えるほうが良い印象を与えられます。その際は、フォローとなる情報も併せて伝えて、あくまでも前向きに採用活動に臨んでいる、と念押しできると理想的です。
カジュアル面談の流れ
続いて、カジュアル面談の流れも把握しておきましょう。企業と転職希望者の双方にとって実りのある時間とするためにも、以下の流れに沿ってスムーズに面談を進行したいところです。
ステップ①自己紹介とアイスブレイクを行う
まずはお互いに自己紹介を行った上で、転職希望者の緊張をほぐすためのアイスブレイクを行います。
カジュアル面談とは言え、この時点で転職希望者はそれなりに緊張しているものと考えられます。本音ベースで会話を進めるためにも、最初に当たり障りのない話題を振って話しやすい雰囲気をつくることが大切です。転職希望者の緊張が解けてきたと感じたら、会話の流れで自然と質問し始めても良いでしょう。
ステップ②転職希望者に声をかけた理由を伝える
自己紹介が済んだら、「今回○○さんにお声がけしたのは、△△という点が非常に魅力的だと感じたからです」と、カジュアル面談を設けた理由を伝えます。自身が評価されていることを実感できれば、転職希望者が自信を持って面談に臨めるようになるはずです。
ステップ③面談の目的を説明する
転職希望者の現状を本格的にヒアリングする前に、この面談が相互理解を深めるためのカジュアル面談であり、選考とは関係ないとの旨を伝えておきましょう。口頭で改めて目的を明確化することで、転職希望者が話しやすい雰囲気をつくれます。
このような雰囲気づくりができていれば、多少踏み込んだ質問をしても過度なプレッシャーを与えずに済むでしょう。
ステップ④転職希望者の現状を確かめる
カジュアル面談の目的を再確認したあとのステップが、現状のヒアリングです。このヒアリングでは、「転職活動への本気度」と「転職によって改善したいこと」の2点を優先的に確認します。
カジュアル面談には、その性質上、本格的な転職活動を考えていない人材が参加することも珍しくありません。そのため、本当に転職したいのか、そして自社に入社する気があるのかを、面談で確認する必要があります。
その上で、転職意欲が高い人材に対しては、現職に対する不満や転職活動で重視しているポイントをヒアリングしましょう。転職希望者が重きを置いているポイントがわかれば、アピールすべき内容も自然と定まります。先ほど紹介した「転職先に求めること」や「現職での悩み」に関する質問は、ここで有効活用したいところです。
ステップ⑤自社の魅力をアピールする
ここまでのやりとりで転職希望者の要望を把握できたら、その内容に合った自社の魅力をアピールしましょう。転職希望者が魅力的だと感じる強みを、的確にピックアップすることが大切です。
ただし、自社の強みばかりを伝えてしまうと認識の擦り合わせが不十分となり、採用のミスマッチが発生してしまうかもしれません。早期離職という双方にとって不幸な結末を避けるためにも、希望に沿えない部分がある場合は、その旨を正直に伝えることを心がけてください。
カジュアル面談を成功させるためにできること
カジュアル面談を行う際は、以下の5つのポイントを意識しましょう。それぞれの詳細を順に解説します。
事前準備を進めておく
質問事項や逆質問への回答、配布する資料などを事前に準備しておくことが、カジュアル面談を成功させるためのポイントです。面談がスムーズに進み、効率良く転職希望者の本音を引き出せます。
また、上記の準備とともに面談担当者の選定も進めましょう。場の雰囲気づくりに秀でており、初対面の人物とも難なくコミュニケーションを取れる社員が適任だといえます。専門職で募集をかけている場合は、その分野に関する豊富な知識を備えていることも、条件として含めるべきでしょう。
会話を意識して話しやすい雰囲気をつくる
企業の担当者ばかりが質問すると、転職希望者が萎縮して、本音を引き出せなくなってしまいます。一方的な「質疑応答」ではなく、対等な立場での「会話」を意識することが、カジュアル面談では欠かせません。
また会話の際も、企業と転職希望者のどちらかだけが話すことのないように注意しましょう。企業が6割、転職希望者が4割の比率を一つの目安として考えて、バランス良く話を進められると理想的です。お互いに適度なバランスで会話できれば、転職希望者も話しやすくなり、自然と本音を語ってくれるでしょう。
正確かつ具体的な回答を心がける
転職希望者からの逆質問に回答する際は、正確な情報を伝えることを徹底してください。回答内容が企業のホームページや求人サイト上の情報と異なっていると、転職希望者に不信感を抱かせてしまうためです。
また、情報の正誤が判断できないからといって、回答内容をあいまいにしてはなりません。転職希望者の疑問が解消されなければ、カジュアル面談を実施した意味がなくなってしまいます。
逆質問に対して正確かつ具体的に回答するためにも、想定される質問とそれに対する回答例をある程度準備しておきましょう。それでも回答に窮してしまった場合は、面談後にメールやチャットなどで正しい情報を共有することをお勧めします。
自社の弱みも隠さずに伝える
先ほどもお伝えした通り、自社の強みだけではなく弱みも率直に伝えることが、採用のミスマッチ防止の観点から欠かせません。
とは言え、ただネガティブな情報を伝えるだけでは、悪い印象を払拭できないでしょう。そのため、例えば「改善に向けて施策に取り組んでいるところです」といったふうに、今後の展望も伝えてフォローしたいところです。すでに何らかの形で結果が出ているなら、それも併せて提示しましょう。
次につながる情報を伝える
カジュアル面談の最後には、その後の選考についての情報を伝えることをお勧めします。自社への興味・関心が高まっているうちに案内すれば、転職希望者が選考に参加する可能性を高められます。
活躍が期待できると強く感じた人材に関しては、特別な選考フローを案内してもよいでしょう。書類選考や1次面接をスキップしスピーディーに選考を進めれば、他社よりも先に採用を決められる可能性が高まります。
カジュアル面談を実施する際の注意点
肩肘張らずに転職希望者と交流することがカジュアル面談の目的ではありますが、あまりにもラフな態度をとってはなりません。企業の代表であるという自覚を持ち、ビジネスパーソンとして恥ずかしくない言動を心がけてください。
また、自社の強みを過剰なまでにアピールすることも避けるべきでしょう。「この会社は都合の良いことしか話さない」と思われて、かえって不信感が増してしまうかもしれません。繰り返しにはなりますが、カジュアル面談では長所だけではなく短所も包み隠さず伝えましょう。
話しやすい雰囲気をつくり、具体的なエピソードを交えて会話を進めることがカジュアル面談では重要
今回は、カジュアル面談の質問例や逆質問に対する回答例、そして実施する際のポイントなどを解説しました。
お互いに話しやすい雰囲気をつくり、具体的なエピソードを交えながら会話を進めることが、カジュアル面談では非常に重要です。また、逆質問に適切に回答し疑問点を解消することも、必要不可欠な対応であるといえます。本記事で紹介した質問例や回答例を活用し、採用につながるカジュアル面談を実現しましょう。
(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)