「シンデレラタイム」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。きれいな肌を保つには夜12時までに寝るべし、という説です。
パワーナップは15分程度が望ましい
夜の睡眠時間が足りない方は、パワーナップをして、足りない睡眠を補うのもおすすめです。
パワーナップとは、15~20分ほどの短い昼寝のことをいいます。
昼寝にはいいことがたくさんあります。
- 疲れがスッキリとれる
- 判断力・理解力・集中力が上がる
- やる気がアップする
- 自由な発想が生まれやすくなる
- 作業効率が上がる
など、枚挙にいとまがありません。
ただしあまり長く眠ると今度は夜、眠れなくなってしまいますから、15分程度がいいでしょう。
N1はそれほど深い眠りではないので、途中で起きてもそれほど不快ではありません。N2やN3に入ってから起こされると目覚めが悪く不快です。しばらくのあいだボーッとした気分を引きずってしまうでしょう。
もし15分以上寝たいのであれば、1時間半後にタイマーをセットすると、スッキリ起きられる可能性があります。1時間半ということは90分、つまりちょうど睡眠周期の1サイクルが終了したところだからです。
もっとも、平均時間が90分というだけであって、人によって1サイクルの長さにはばらつきがあります。
90分はあくまで目安ですので、スッキリ起きられる時間をご自身で調整してみてください。
「シンデレラタイム」はウソだった?
一時期「シンデレラタイム」といって、「きれいな肌のためには夜の12時までには寝なさい」といわれていたのをご存じでしょうか。
夜中の12時からはきれいな肌をつくる成長ホルモンが分泌される時間だから、その時間はベッドに入っていなければいけないと盛んにいわれていたのです。
しかしこの説は現在否定されています。
成長ホルモンがきれいな肌をつくるのはそのとおりですが、12時ちょうどから成長ホルモンが出るというのは少々怪しい話です。
ではなぜシンデレラタイムなどといわれるようになったのでしょうか。おそらく、成長ホルモンを調べる実験をおこなう時間帯が影響していたのだと思われます。
実験では、被験者はだいたい夜中の12時前に床に就き、ノンレム睡眠に入ったころに血液を採取して分析していたようです。すると血液内にはたしかに成長ホルモンが出ています。これを繰り返すうちに、どうも「12時すぎに成長ホルモンが出る」という説にすりかわっていってしまったようです。
最近の研究では、夜の12時になったから成長ホルモンが出るのではなく、最初の90分サイクルのN3のときに成長ホルモンが多く出るとわかっています。もし実験を夜の9時ごろから始めていたら、「夜9時すぎに成長ホルモンが出るから、とにかく早く寝よう」という話になっていたかもしれません。
片野秀樹
日本リカバリー協会代表理事
博士(医学)