元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説
元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説

不動産投資を始める際に、多くの人が不動産投資ローンを利用します。不動産投資ローンの返済方法は、基本的に「元利均等返済」と「元金均等返済」に分かれます。

そこで本コラムでは、元利均等返済と元金均等返済の違いや特徴について、シミュレーションも交えて詳しく解説します。

それぞれの返済方法のメリット・デメリット、それぞれに向いているタイプについてもご紹介しますので、不動産投資ローンの借り入れを検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

■元利均等返済と元金均等返済とは?

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(画像:PIXTA)

住宅ローンや不動産投資ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」があり、借入時に設定します。この2つは、借り入れたお金である「元金」と元金に対して発生する「利息」を支払うという点では同じですが、毎月の返済額と総返済額が変わってきます。

まず、「元利均等返済」は、元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定になるという点が大きな特徴です。返済開始初期は利息の割合が多く元金の割合は少ないですが、金利が一定であれば返済が進むにつれて元金の割合は増えていきます。

元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説
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もう一方の「元金均等返済」は、毎月の返済額のうち元金部分が一定で、毎月の返済額が利息に応じて変動する点が特徴です。返済開始初期は月々の返済額が多くなりますが、返済が進むにつれて利息が減少するため月々の返済額が減少していきます。

元金均等返済の方が元金の減少が早く利息の支払総額が少なくなるため、借入期間が同じ場合は元利均等返済よりも元金均等返済の方が総返済額は少なくなります。

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■元利均等返済と元金均等返済の返済シミュレーション

元利均等返済と元金均等返済では実際どのくらい金額に違いがあるのか、シミュレーションしたものを見てみましょう。ここでは「借入金額2,000万円、金利2%、ボーナス払いなし、35年返済」で計算し、その結果を下の表にまとめました。

返済方法総額月々の返済額元利均等返済総返済額:2,782万5,861円
利息総額:782万5,861円6万6,252円元金均等返済総返済額:2,701万6,463円
利息総額:701万6,463円(初回) 8万952円
(最後) 4万7,718円

この例では、総返済額は元金均等返済の方が元利均等返済よりも約80万円少なくなりました。

また、以下の図を見てもわかるとおり、元金均等返済の方が元金の返済スピードが早く、利息総額は少なくなります。

元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説
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また、月々の返済額は元金均等返済の方が当初は1万4,700円多くなりますが、15年7ヵ月目で逆転し、最終的には1万8,534円少なくなります。以下のグラフを見ると逆転していることがわかります。

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■元利均等返済のメリット・デメリット

元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説
元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説

(画像:PIXTA)

元利均等返済と元金均等返済にはそれぞれメリット・デメリットがあります。まずは、元利均等返済のメリット・デメリットを解説します。

元利均等返済のメリット
・返済計画を立てやすい
・返済開始時の返済額を少なくできる

元利均等返済のデメリット
・総返済額が大きくなる
・借入金残高の減り方が遅い
・金利上昇の影響を受けやすくなる

●元利均等返済のメリット

元利均等返済のメリットの1つ目は、返済計画を立てやすいことです。元利均等返済では毎月の返済額が一定のため、支出の予測がしやすいです。そのため、収入と支出のバランスを考えやすく、また長期的な返済計画も立てやすくなります。転職や結婚等でのライフスタイルの変化や入居者不在による収入減少、急な支出などにも対応しやすいといった利点があります。

次に、返済開始時の返済額を少なくできることも大きなメリットです。元利均等返済では、前述のシミュレーションのように元金均等返済と比べてローン返済を開始した後の月々の負担が少なくなります。そのため、収入が安定しないこともある不動産投資の初期段階でも返済を続けやすく、経済的なプレッシャーを軽減することができます。

●元利均等返済のデメリット

元利均等返済のデメリットの1つ目は、総返済額が大きくなる点です。元利均等返済では返済金額は一定ですが、月々の返済額に占める元金と利息の割合が変化します。ローンの返済を開始したばかりの時は借入残高が多いため、利息として支払う金額の割合が大きく元金の返済割合が小さくなります。そのため、元金部分の減り方が遅く総返済額は大きくなり、特に長期間のローンでは影響が顕著に出てきます。

次に、借入残高の減り方が遅い点もデメリットとして挙げられます。特に不動産投資の観点で考えると、すぐに売却して利益を得たい場合には売却時のローン返済額が多く残ってしまうことがマイナスに働きます。

さらに、金利上昇の影響を受けやすくなるという問題もあります。変動金利を選択している場合、元利均等返済では元金の減り方が遅いために、返済期間中に金利が上昇すると返済額への影響も出やすく、返済額の中での元金と利息の割合が変動したり、返済額の見直しによって返済額が増加したりする可能性もあります。そのため、長期的な視点でのコストや変動リスクを借入前にあらかじめ考慮することが重要です。

以下の記事で固定金利と変動金利のメリット・デメリットなどの違いを詳しく解説していますので、参考にしてください。

【関連記事】不動産投資ローンの金利相場や種類を解説!メリット・デメリットも

■元利均等返済が向いている人

上記で元利均等返済のメリット・デメリットを紹介しましたが、元利均等返済が向いている人は以下の通りです。

  • 購入時点でローン以外の出費が予想される人
  • 毎月の返済額を一定にして計画的に返済したい人

元利均等返済は基本的には毎月の返済額が一定なので月々の支出が予測しやすく、安定した計画を立てやすいことが一番のメリットです。

また、ローン返済初期の返済額が比較的低いため、他に大きな支出を予定している場合資金の確保もしやすいです。予期せぬ支出が多い場合や毎月の返済額を一定に保ちたいといった場合、元利均等返済を選ぶことで安定した返済計画を立てることができるでしょう。

また、不動産投資において毎月の家賃収入からローン返済を行っていくことを前提として考えれば、返済開始初期の返済額が大きくなる元金均等返済よりも、毎月の返済額が一定となる元利均等返済の方が返済はしやすいと言えます。

■元金均等返済のメリット・デメリット

続いて、元金均等返済のメリット、デメリットを解説します。

元金均等返済のメリット
・月々の返済額が徐々に減っていく
・総返済額が少なくなる
・金利変動の影響を受けにくい

元金均等返済のデメリット
・返済開始時の返済額が高くなる
・すべての金融機関で元金均等返済を利用できるわけではない

●元金均等返済のメリット

元金均等返済の一番のメリットは総返済額が少なくなることです。元金均等返済では返済開始初期の返済額が高めに設定されますが、元金の返済が早く進むため、総返済額に占める利息の割合が小さくなります。特に長期間のローンを組む際には元利均等返済に比べてトータルのコストを抑えることができます。

また、月々の返済額が徐々に減っていくため、転職の可能性や収入減の可能性がある場合などに、将来的な返済の不安を減らすことができるメリットもあります。元金均等返済では、返済額の中で元金部分が一定で利息部分は元金残高と金利に応じて変動します。返済が進むにつれて利息は少なくなり、月々の返済額が徐々に減っていきます。

さらに、金利変動の影響を受けにくいという点も重要です。特に変動金利でローンを組んでいる場合、金利の変動は総返済額に影響を与えますが、元金均等返済の場合、元利均等返済と比較して元金の返済が早く進むため、返済額への影響はその分受けにくくなります。

固定金利のローンを選んでいる場合は金利の変動に影響されることはありませんが、変動金利よりも金利が高くなることが多いです。低い金利を希望しつつも金利変動リスクを避けたい場合、元金均等返済は有効な手段といえます。

●元金均等返済のデメリット

元金均等返済は、返済開始時の返済額が高くなるのが最大のデメリットです。繰り返しになりますが、元金均等返済では毎月の返済額のうち元金部分が一定で利息部分が減少するため、返済開始初期の負担が大きくなります。そのため、返済を開始して間もない時期と収入が不安定だったり他の支出が多い時期が重なったりすると、大きな負担となる可能性があります。

また、すべての金融機関で元金均等返済が利用できるわけではないという点も注意が必要です。多くの金融機関では元利均等返済を取り扱っているため、選択できる金融機関が少なくなってしまうということは、金利面などの条件選択の際に不利に働いてしまいます。また、取り扱いがあったとしても年収等の条件などが必要となることがあるため、利用の際には事前に詳細を確認することが重要です。

■元金均等返済が向いている人

上記で元金均等返済のメリット・デメリットを紹介しましたが、元金均等返済が向いている人は以下の通りです。

  • 総返済額を少なくしたい人
  • 金利変動の影響を受けたくない人
  • 返済開始から当面の間、資金に余裕のある人
  • 早期の物件売却を検討している人

返済開始初期の返済額は高めですが、長期的には利息の支払いが少なくなるため全体のコストを抑えることができます。また、元金均等返済よりもローン残高が早く減少するので、金利変動リスクを抑えることができるだけでなく、不動産を売却した際にも現金が多く残りやすいです。そのため、ローン返済開始当初に資金に余裕のある人は、元金均等返済を検討してみましょう。

■返済途中で返済方法を変更できる?

元利均等返済と元金均等返済はどっちがいい?それぞれの違いやおすすめの人を解説
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(画像:PIXTA)

同じローンのままで途中から返済方法を変更することは基本的にできませんが、ローンを借り換えることで条件を変更することは可能です。ローンの借り換えとは、新たなローンを借り入れし、既存のローンを返済することで返済条件を改善する方法です。より低い金利条件への変更や返済期間の見直し、変動金利から固定金利に変更するなど返済条件を見直すこともできます。

ただし、ローンの借り換えには手数料や手間がかかるため、借り換えを検討する際は総合的なコストを比較し長期的なメリットをよく考えることが重要です。以下の記事でローンの借り換え費用の相場や手順などを詳しく解説しています。

【関連記事】住宅・不動産投資ローンの借り換え費用はいくら?相場や手順を紹介

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