2024年度を締めくくる日経平均株価の3月末終値は前営業日比1502円安の3万5617円と急落した。終値として昨年8月以来の安値水準で、年度ベースでも4万円台だった前年3月末と比べて約12%下落した。
旧村上系、フェローテックとスタンレーに照準
3月も旧村上ファンド系の投資会社の動きが引き続き活発だった。半導体装置向け部品製造のフェローテックホールディングス(HD)と、自動車用ランプ大手のスタンレー電気の両銘柄について、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)による5%を超える株式の新規取得が明らかになった。
シティは、いずれも保有目的を「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。
シティは3月14日に、フェローテックHDの株式を5.32%新規取得したとする大量保有報告書を提出。その後、保有割合は株式の買い増しで8.17%まで高まったものの、月末にかけて4.84%まで低下した。一方、スタンレー電気の株式については5.1%を新規取得が3月19日に判明後、株式を買い増して6.05%まで保有割合を高めた。
この間、フェローテックHD、スタンレー電気の株価は3月21日、そろって年初来最高値をつけた。
シティは既保有銘柄も買い増した。2月に5%超の新規取得が判明した京浜急行電鉄株式の保有割合を6.02%まで高めた。同じく1月に5%超を新規取得した王子ホールディングスについても5.58%に保有割合を高めた。
旧村上系の別の投資会社であるエスグラントコーポレーション(東京都渋谷区)はクレハの株式を16.12%、アルプスアルアインの株式を15.48%まで保有割合を高めた。南青山不動産(同)は三井住友建設の株式を買い増して保有割合を26.97%とした。
シンクロ・フード、今度は英AVIが新規取得
スタンレー電気、フェローテックHDのほか、3月中に明らかになったアクティビストによる主な新規保有銘柄は日産東京販売ホールディングス、シュッピン、インターアクション、シンクロ・フード。いずれも取得したのは海外投資ファンドだ。
このうち、光源装置製造のインターアクションについてはシンガポールのシルバーケイプ・インベストメンツが5.02%を新規取得した。シルバーケイプは2月もネット広告代理店のデジタルホールディングスの株式を新規取得しており、日本株投資にアクセルを踏み込む形だ。
また、飲食店向け情報サイトを運営するシンクロ・フードをめぐっては2月に香港リム・アドバイザーズによる8.1%の新規取得(3月末時点の保有比率は12.12%)が判明したが、3月は新たに英国アセット・バリー・インベスターズ(AVI)が5.18%を取得した。AVIは保有目的を「純投資及び重要提案行為等を行うこと」としている。
英ファンド、資生堂株式を買い増し
経営立て直しが急務となっている資生堂。同社をめぐっては2月、英国投資ファンドのインディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ(IFP)による新規保有が注目を集めたが、IFPは3月31日、1.05%を買い増して保有割合を6.25%に高めたとする変更報告書を提出した。
米投資ファンドのフォラロン・キャピタル・マネジメントは3月中、物流企業のニッコンホールディングスについて4度、買い増しの報告書を提出。1月に新規取得が判明していたが、保有割合を19.72%まで高めた。
香港投資ファンドのオアシス・マネジメントは製紙大手、北越コーポレーションに対する株式の保有割合を14.08%から9.92%に下げた。オアシスは昨年6月に開かれた北越コーポの定時株主総会で岸本晢夫社長の代表取締役解任を求める株主提案を行うなど、会社側とかねて対立関係にある。
そのオアシスが10%超の株式を保有する大株主となっているトプコンは3月末、米投資ファンドのKKRなどを組んでMBO(経営陣による買収)を実施し、株式を非公開化する方針を発表した。
◎3月:アクティビストによる主な保有状況(直近に提出の大量保有報告書に基づく。共同保有分を含む。赤字は新規保有。※保有割合が低下)

文:M&A Online
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