リユースの「オークネット」30億円規模のM&Aを3年以内に2件実施へ

BtoB(企業間取引)オークションを軸としたリユース事業を手がけるオークネット<3964>は、今後3年間で買収金額が30億円規模のM&Aを2件実施する計画を策定した。

リユース市場が今後も大きく伸びると見ており、この流れに乗った事業拡大のための取り組みで、ブランド品やデジタル機器、中古車などを手がける既存事業とのシナジーが見込める企業やその周辺領域の企業をターゲットにする。

既存事業の成長に、M&Aによる新たな企業が加わることで、2024年に80億円だったEBITDA(税引き前利益に、特別損益、支払利息、減価償却費を加えた額)を2027年に100億円に引き上げる方針だ。

2件のM&AでEBITDA 7億円を創出

M&Aは2026年と2027年にそれぞれ1件ずつ予定しており、合計で50億~70億円の買収費用を見込む。

社長直轄組織である事業開発企画部門で案件を検討し、買収後は早期に既存事業とのシナジーが創出できるよう事業部との連携を強化し、PMI(M&A後の統合作業)を実行することで、2027年に実現を目指すEBITDA100億円のうち、この2件のM&Aで7億円分の創出を目指す。

同社は、バッグ、時計、貴金属、衣類などのブランド品や、中古スマートフォン、中古パソコンなどの中古デジタル機器などからなる「ライフスタイルプロダクツ」事業と、中古車オークションや中古バイクオークションなどからなる「モビリティ&エネルギー」事業を展開している。

これら事業と関わりの深い分野と、その周辺領域を含めてM&Aの候補を探索する。

海外企業のM&Aの可能性も

オークネットは2024年にブランド品買い取りサイト「ブランディア」を運営するデファクトスタンダード(東京都大田区)と、酒類買い取り販売のJOYLAB(大阪市)を子会社化した。

デファクトスタンダード、JOYLABはともに消費者との接点があり、流通ネットワークの拡大につながると判断した。今後実施するM&AでもBtoBだけでなく、BtoC(消費者向けビジネス)も有力な候補になりそうだ。

また、同社では世界の中古ラグジュアリー(高級品)市場は、2032年に約700億ドル(約10兆円)に達するとの予測の中、世界中でリユース市場の拡大が見込まれることから、今後は海外での取扱高を増やす取り組みを推進していくとしており、海外企業のM&Aの可能性もある。

このほか中古デジタル機器を扱う事業では、2020年度からのGIGAスクール構想(児童、生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する取り組み)で配備された1200万台の端末の更新需要が見込めることから、下取りを重要なマーケットと位置づけ、パートナーシップを強化する。

中古車や中古バイクの事業でも、今後拡大が予想される中古EV(電気自動車)の二次流通市場で業界スタンダードとなる適正評価基準を確立するほか、EVバッテリーのリユースや、リパーパス(使用を終えた製品の再活用)の仕組みを構築するとしている。

このためこうした分野でも、時間の短縮、新しい技術やサービスの取得を目的としたM&Aの可能性はありそうだ。

2025年12月期は6年ぶりの営業減益に

オークネットは2025年12月期に、売上高590億円(前年度比5.5%増)、営業利益60億円(同14.3%減)の増収営業減益を見込む。

売上高は2018年12月期以来8期連続の増加となるものの、営業利益は子会社化したデファクトスタンダードなどが手がける消費者向け事業で実施する構造改革やシステムの統合などにかかる経費や、今後のM&Aの検討や推進などに伴う経費が増加するため、2019年12月期以来6年ぶりの減少となる。

ただ、その後は新たなM&Aなどが寄与し、回復すると見ており、EBITDAでは2025年12月期に前年度比8億円減の72億円に低下したあと、2026年12月期に87億円、2027年12月期に100億円を見込む。

リユース業界では市場の伸びを背景に、コメ兵ホールディングス<2780>や、BuySell Technologies<7685>などの同業者がM&Aを活発化させており、業界の再編が進みつつある。

既存事業での競争激化に加え、今後はM&Aでも競争が激しくなりそうだ。

リユースの「オークネット」30億円規模のM&Aを3年以内に2件実施へ
オークネットの業績推移
2025/12は予想

文:M&A Online記者 松本亮一

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