
シャッター業界2位の文化シヤッター<5930>は、海外事業とビルリニューアル事業でM&Aを活用する。
成長が続く海外での事業領域の拡大と、需要が見込める設備の取り換えや間取りの変更などのビルリニューアル工事に対応できる体制整備が狙い。
海外事業についてはすでに2022年と2023年にオーストラリアとニュージーランドで4件のM&Aを実施しており、引き続き企業買収に力を入れるとともに、新たにビルリニューアル事業でも一気に体制を構築できるM&Aの手法を取り入れることにした。
こうしたM&Aをはじめ研究開発投資を含めた戦略投資に今後3年ほどの間に100億~150億円を投じることにしており、2027年3月期には海外事業で2024年3月期比29.2%の増収を、ビルリニューアルやリフォームなどからなるリノベーション事業で同18.3%の増収をそれぞれ目指す計画(全事業では同13.1%の増収)だ。
オセアニア、ASEANでM&Aを実施
文化シヤッターの近年のM&Aは、2022年7月の豪州のシャッターメーカーMAX DOOR SOLUTIONSの子会社化をはじめ、同じく豪州のシャッターメーカーであるDOORWORKS AUSTRALIAとSPRINT ROLLER SHUTTERSを子会社化したほか、ニュージーランドのガレージドアメーカーのWindsorグループ4社を傘下に収めた。
2021年以降の3年間に、事業拡大やシナジー効果を見込める成長分野で、M&Aに150億円を投じるとの計画に沿った取り組みで、実際の投資額は140億円に達した。
また同社では遅れている海外展開を加速するために、海外でのM&Aを積極化した結果、当初200億円を見込んでいた2024年3月期の海外事業の売上は計画を40%ほど上回る279億円に達しており、2021年3月期6.5%だった海外比率は2024年3月期には11%ほどにまで高まっている。
今後もオセアニア地域では住宅着工戸数は伸び、拠点のあるベトナムやASEAN(東南アジア諸国連合)諸国でも経済が堅調に推移すると見て、継続してM&Aを推進することにした。
これによって海外事業で2027年3月期には2024年3月期より70億ほど多い314億円の売り上げを目指し、海外売上高比率も12.6%ほどに高める。
一方、ビルリニューアル事業についても、リフォーム市場が緩やかに成長を続けるとの予想のもと、体制の整備を急ぐことにした。
発注者から直接請け負う改修案件が増加傾向にあり、ビルリニューアルでは大手顧客の現場工事などに対応する体制を整備するために、M&Aなどによる組織の再構築に取り組む。
こちらは2024年3月期に62億円だった売上高を71億円に引き上げる。営業損益は2024年3月期は赤字だが、2027年3月期には営業利益率2.0%を目指す。

売り上げ、利益が過去最高を更新
文化シヤッターが関わる建設、住宅業界は、建設需要が底堅さを維持しているものの、建設コストの高騰などにより、新設住宅着工戸数が減少傾向にあるなど、先行き不透明な状況にある。
こうした中、主力のシャッターやスチールドアなどが堅調に推移したほかM&Aなどの効果もあり、同社の2024年3月期は売上高が3期連続の増収となり、過去最高を更新したほか、営業利益も2期連続の増益で過去最高となった。
2025年3月期も売上高2300億円(前年度比4.0%増)、営業利益150億円(同3.6%増)の増収営業増益、過去最高更新を見込む。
財務面でM&Aにブレーキがかかることはなさそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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