「キヤノンMJ」ITソリューション事業分野でのM&Aが一段と加速

キヤノン製品の販売やITソリューション事業(システム販売やアウトソーシングなど)を手がけるキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)<8060>が、M&Aや出資を加速させている。

同社は2022年12月期から2025年12月期までの4年間に成長投資(M&Aや出資のほかに人材やシステムへの投資を含む)として、2000億円以上の資金を投じる計画で、このうち2024年12月期までの3年間に約70%を実施し、3件のM&Aと11件の出資を行った。

こうした取り組みでITソリューション事業が大きく伸びた結果、同社の業績は好調に推移しており、2025年12月期の売上高目標を、当初の計画よりも300億円多い6800億円に引き上げた。

残る2025年12月期の1年間も投資方針に変更はなく、M&Aや出資がこれまで以上に活発化する可能性もありそうだ。

3件のM&Aと11件の出資を実行

キヤノンMJはITソリューションビジネス拡大のための重点領域としてDX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)ビジネス、Edge(データを送り出すポイント)ソリューション、 データセンター、セキュリティの4分野を挙げており、この方針に沿って2022年に人事や給与計算などの業務を受託するアウトソーシング事業を手がけるキュービーファイブ(東京都千代田区)を子会社化。

さらに2023年には情報システム関連事業を展開する東京日産コンピュータシステム(現TCS、東京都渋谷区)を、2024年に業務の自動化やDX化、アウトソーシング事業などを手がけるプリマジェスト(川崎市)を傘下に収めた。

また2022年から2024年までの間に、生命保険会社向けシステム開発などを主力とするキャピタル・アセット・プランニング<3965>や、IoT(モノのインターネット)重量計を使った在庫管理の自動化やDXソリューションを提供しているエスマット(東京都品川区)など11社に出資している。

仕上げの年となる2025年12月期も、こうしたDXビジネスやアウトソーシング、システム開発などの分野でM&Aや出資が見込まれる。

ITソリューション事業への投資を継続

キヤノンMJは、1968年にキヤノン製のカメラや事務機器を販売するキヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)としてスタートした。

その後、デジタル化やネットワーク技術が進化する中、1990年に国の認定を受け、システムインテグレーター企業への変革に着手。

さらに2012年には、西東京データセンターを竣工するなど、ITソリューションやセキュリティなどの独自事業に注力。

2020年以降はキヤノン製品の付加価値向上と高収益化を進めるとともに、ITソリューション事業を成長の中核とした変革を進めている。

こうした取り組みによって、ITソリューション事業の売上高はM&Aの寄与などもあり、前年度比17%アップの3146億円に達し、キヤノン製品販売事業の3393億円と並ぶところにまで成長している。

この結果、キヤノンMJの2024年12月期の売上高は前年度比7.3%増の6539億1900万円、営業利益は同1.2%増の531億2300万円と増収営業増益となった。

2025年12月期も、売上高は同4.0%増の6800億円、営業利益は同5.4%増の560億円と増収営業増益を予想する。

実現すれば5期連続の増収営業増益となる。

同社では「成長ドライバーであるITソリューション事業への投資を継続する」としており、今後も同分野でのM&Aや投資が続くのは間違いなさそうだ。

「キヤノンMJ」ITソリューション事業分野でのM&Aが一段と加速
キャノンマーケティングジャパンの業績推移
2025/12は予想

文:M&A Online記者 松本亮一

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