Web施策改善ツール「CODE Marketing Cloud」をはじめとするマーケティングSaaSと、DX・AIテクノロジー領域の支援を手がけるエフ・コード。2021年12月の東証グロース市場への上場直後から、積極的にM&Aを展開し、事業領域を多方面に拡大してきた。
M&Aの狙いは「成長加速に必要な機能・人材の獲得」
──なぜ、上場前からM&Aに注目されたのでしょうか。
弊社代表の工藤は、上場を目指す段階からすでに「上場の次はM&A」という考え方を持っていました。弊社が上場前からM&Aに注目した最大の理由は、「自分たちが元気に経営できる賞味期限内」に事業の成長角度を劇的に上げるためには、自力での成長(オーガニックグロース)だけでなくM&Aの活用が不可欠であるという結論に至ったためです。
弊社は2013年に自社SaaSプロダクトをリリースして以降、赤字を掘って急成長を目指すのではなく、営業キャッシュフローをしっかり出しながら着実に成長する手堅い経営を行っていました。
自己資金の範囲内で海外展開(タイ、インドネシア等)を進め、各国での黒字化も達成していましたが、現地でゼロから立ち上げていくには膨大な時間がかかります。国内も海外も粛々と伸びてはいたものの、「果たして200カ国への展開が自分たちの人生の中で間に合うのか」という深い問いに直面しました。
その結果、経営陣が元気なうちに現状の成長ペースを1段、2段、3段と一気に引き上げるための手段として、M&Aに注目しました。
M&Aを強力に推進するためには、金融機関からかつてない規模の多額の資金を借り入れる必要があり、そのためには圧倒的な「社会的信用」が不可欠でした。この「M&Aに必要な信用と資金調達力」を獲得する目的で、それまで全く意識していなかった上場(IPO)を目指す方針へと2018年に180度転換しました。
──M&Aを展開するにあたり、人材やチームの体制はどのように構築したのでしょう。
私自身、上場後のM&Aを見据えて2021年12月に参画しました。エフ・コードにおけるM&A専任担当者としては第一号で、当初は工藤と二人三脚でM&Aに取り組んでいました。
──年間ではどれくらいの案件を検討しているのでしょうか。
だいたい、年間500件から600件程度をIM(企業概要書)ベースで検討しています。基準としては、EBITDAで1億円以上を基本線として、EV/EBITDA倍率で5倍以内の水準で検討しています。ただし、5000万円前後のEBITDAだとしても内容によっては検討することもあります。
年間を通じて多数の案件情報に接していますが、その中から弊社戦略との親和性、成長性、顧客分散性、継続性、経営陣の継続参画可能性、グループ内でのシナジー創出余地などを総合的に見て選別しています。とりわけ、すでに黒字化しており、高い成長率を維持している企業を重視しています。
認知度向上のM&Aから、事業領域を拡大するM&Aへ移行
──最初はCX(Customer Experience:顧客体験)系のデジタルマーケティング事業を軸にM&Aを進めていましたが、現在はAIテクノロジーやスクールなど方向性が少し異なってきた印象です。
おっしゃるとおり、最初の頃と今ではM&Aの対象領域やスキームが異なってきています。まず、最初の5件は競合のツールや近い領域のSaaSを事業譲渡で受け入れていきました。
ただ、単一のSaaS(道具)を顧客に使ってもらうだけで、顧客の課題をすべて解決できるというのは「ベンチャーの理想論であり、限界がある」ということを痛感したため、以降の譲受においてはSaaSの周辺領域であるシステム開発、クリエイティブ、SNSマーケティングなどのケイパビリティ(capability:企業や組織が持つ総合的な実行能力や組織的能力)をM&Aで継続的に獲得することにしました。
これにより、「道具を渡すだけでなく、それを使って問題解決をしてくれる『人』ごと提供する」体制へとシフトし、現在はそこにAIを掛け合わせた「SaaS+人+AI」を統合的に提供するビジネスモデルへと進化しています。また直近では日本の大きな社会課題である「IT・DX人材の不足」を解決するために、スクール領域への展開も開始しました。
──6件目はどのような会社ですか。
Instagramを中心としたSNSマーケティング支援を行っているSAKIYOMIという会社です。従前は検索エンジンや広告が商品認知の主流でしたが、現在ではSNS(InstagramやTikTokなど)がかつてのテレビCMのような役割を担うほど、SNSマーケティング市場が急速に拡大してきていると認識しており、その中でSAKIYOMIはSNS運用代行から始まったビジネスでありながら、「テクノロジー」「強い組織」「マーケティング力」を兼ね備えていたことから組織ごとグループインしていただくかたちとなりました。
──その後、CRAFT、マイクロウェーブクリエイティブ、JITTを子会社化しました。どのような狙いがあったのでしょう。
CRAFTはクリエイティブで制作したウェブサイト等に、実際に顧客を呼び込むための「デジタル広告」領域を担う会社で、マイクロウェーブクリエイティブは日本の名だたる大企業向けのウェブサイトやアプリケーション制作を行う会社、JITTは全国津々浦々の中小企業や店舗向けのウェブサイト制作やクリエイティブ支援を年間約3000件の規模で提供する役割を担っている会社です。
これらの会社をグループインさせた最大の狙いは、企業の売上向上に直結する「攻めのDX」を、上流から下流まで一気通貫で支援できる体制を構築し、強力な営業シナジーを生み出すことです。
──AIテクノロジー領域にも参入しました。
はい、おっしゃるとおりです。プロダクト開発や企業のDX化支援を担うラグナロク、600名以上のエンジニアを有するCiel Zero、生成AI活用のコンサルティングや教育研修事業を展開するSpinFlowにもグループインしていただきました。
背景にあるのは、先ほどお話ししたのと同じ事情です。お客様のニーズが多様化しており、単なるSaaS(ツール)の提供にとどまらず、システム開発や生成AIの利活用までを一気通貫で提供し、クライアントの「攻めのDX」という課題を丸ごと解決できる強力な体制を構築することが狙いでした。
──スクール事業への参入の経緯についても教えてください。
顧客のDX支援を行う中で、優れたテクノロジーを提供しても、「それを推進し使いこなすためのスキルを持ったデジタル人材が顧客企業内に決定的に不足している」という市場課題に直面していました。この人材不足を解消するためには、自らIT人材を育成するスクール事業を展開することが必要と考えたことが参入の背景になります。
シナジーを生み出すためのバリューアップチームの存在
──エフ・コードでは「連邦制」という経営手法を採用しているとお聞きしました。どのような手法なのでしょうか。
M&A後も、それぞれの子会社の社長に引き続き経営を一定担っていただくという考え方です。エフ・コードのカルチャーや流儀を押し付けることはせず、働き方も制度も、各企業の方針を尊重しています。
ただし、ガバナンスに関わる部分は統一しており、数字については定期的にミーティングを行って確認しています。上場会社グループとして、ガバナンスやコンプライアンス、モニタリングの基盤はしっかり整えたうえで、それぞれの強みを生かしてもらう考え方です。
──独立性の高い連邦制だと相互交流が生まれにくくなって、うまくいかなくなる印象があります。
そうならないように対策をとっています。たとえば、エフ・コード本体にバリューアップチームを組織し、グループ全体を横串で見ています。これにより、各社の技術やサービスを組み合わせた共同開発や共同提案が行えています。
もう一つは、四半期ごとのグループ代表会議や親睦会、グループ全体へのIRなどを通じて、各社の経営陣同士が定期的に顔を合わせる機会を設けています。これにより、単なる親会社・子会社という関係を超えて、経営、営業、採用、プロダクト開発に関する活発な情報交換や相互学習が日常的に行われています。このコミュニティの居心地の良さや刺激し合える環境が、新たなM&A案件の紹介(リファラル)が多数生まれる好循環にも繋がっています。
強みであるマーケティングを生かして実業への参入も検討
──御社の主力事業の一つがCX向上SaaS「CODE Marketing Cloud」ですが、生成AIの進化により「SaaS is Dead」という言葉も聞かれるようになりました。
弊社もAI活用は以前から行っていましたし、他社からSaaS案件の提案を受けても、「生成AIで十分できる」ということも少なくない状況でした。2022年や2023年の段階で、すでに社内でも多くのSaaS案件のマルチプルが高すぎるという話題は社内で出ていました。
弊社も以前からAI活用を進めており、生成AIの進展によって、従来SaaSで提供されていた機能の一部は再定義が進んでいると見ています。そのため、単にツールを提供するだけではなく、顧客課題に対してどのような付加価値を提供できるかをより重視するようになっています。
──今後のM&A戦略はどのような方向性で進めていくのでしょうか。
既存領域だけでなく、マーケティングを使って伸ばしていける実業領域にドメインを拡大していきたいと考えています。弊社はお客様のためにマーケティングを支援してきた実績と経験があるので、「実業」のほうに入っても失敗するリスクは低いと考えています。
今後も、弊社の強みであるマーケティングの知見を生かせる領域を中心に、積極的にM&Aを検討していきたいと考えています。検討の際には、グループ内でシナジーを効かせやすい領域かどうか、また経営陣・組織が継続的に成長できる体制かどうかという点を重視しています。既存グループの事業が着実に成長していることに加え、エフ・コード側のPMIやバリューアップ機能も整ってきているため、今後も規律ある形で成長を目指していきたいと考えます。
聞き手:大澤昌弘 文・構成・写真:山田井ユウキ
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