「学研」がM&Aを活発化 教育、福祉の次のターゲットは

教育事業や介護福祉事業を手がける学研ホールディングス<9470>がM&Aを活発化させている。

2024年10月1日に、ひょうま(島根県益田市)から認知症高齢者グループホーム6事業所を、また講談社パル(東京都文京区)から「講談社こども教室」事業をそれぞれ譲り受けた。

これに先立つ2024年4月にはスマイル(新潟市)からグループホームなど4事業所を譲り受けており、同年9月には教育出版社の桐原書店(東京都北区)を傘下に収めた。

同社は2023年10月から2025年9月までの2年間に150億円を成長資金としてM&Aなどに振り向ける計画で、これに沿って主力の教育や介護福祉の分野への投資を進めている。

同計画では主力事業のほかにも、高成長やシナジー創出などの基準を満たせば、新領域企業のM&Aを検討する方針だ。次のターゲットはどこになるだろうか。

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グループホームなどの事業を譲受

学研は、子会社のメディカル・ケア・サービス(さいたま市)傘下のメディカル・ケア・サービス関西(大阪府泉大津市)を通じて「グループホームひなたぼっこ・牛田新町」など、広島市内のグループホーム6事業所を譲り受け、2024年10月1日に「愛の家」としてリニューアルオープンした。

学研は、介護福祉事業の新規エリアへの進出や事業拡大に取り組んでおり、認知症高齢者対応のグループホームを中心に全国350以上の事業所を展開している。今回の事業譲受で、広島県内の「愛の家」は10カ所になった。

介護福祉事業では2024年4月に、メディカル・ケア・サービス傘下のメディカル・ケア・サービス新潟(新潟市)が、「グループホーム のぞみの家」など、新潟県柏崎市内のグループホーム3事業所と小規模多機能型居宅介護1事業所の合計4事業所の経営権を取得し、新潟県柏崎市では初となる「愛の家」としてリニューアルオープンしている。

こども教室や教育出版社を取得

一方の学習事業では、ひょうまからグループホーム事業を譲り受けた同じ2024年10月1日に、子会社の学研エデュケーショナル(東京都品川区)が、講談社(東京都文京区)の子会社である講談社パルが2024年10月1日に設立した分社型新設分割会社の全株式を取得し、学研Link(東京都品川区)として運営を始めた。

「講談社こども教室」は、ショッピングセンターなどの商業施設を中心に全国120カ所で幼児向け知育、英語教育を行っており、今回の子会社化で、学研グループが運営するショッピングセンター内の学習施設拠点数は業界第2位になったという。

また、高等学校向け英語、国語検定教科書や、学習参考書などの企画、出版のほか、デジタル教材や小論文事業などを展開している桐原書店は、学研ホールディングスの子会社であるGakken(東京都品川区)が傘下に収めた。

高校領域で豊富なコンテンツ開発ノウハウと広範なネットワークを持つ桐原書店をグループ内に取り込むことで、Gakkenと桐原書店の両社が持つ高校現場とのネットワークを融合させ提供サービスを拡充するほか、総合型選抜対策などの新たなニーズに対応した新事業の開発に取り組んでいく。

内部収益率7%以上も条件に

学研ではM&Aの可能性の高いターゲットとして、教育分野では塾やコンテンツ保有社を、介護福祉分野では自社施設のないエリアの事業所や介護周辺のサービスを上げており、このほかに東南アジア地域や、新しい領域を候補としている。

M&Aに踏み切る際の基準は、高成長やシナジー創出のほかに、IRR(内部収益率のことで、投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値と、投資額の現在価値とが釣り合うような割引率)が7%以上であることなどを条件としている。

「学研」がM&Aを活発化 教育、福祉の次のターゲットは
M&Aの可能性の高いターゲット
学研ホールディングスの発表資料より作成

文:M&A Online記者 松本亮一

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