博多ラーメンの「一風堂」が北海道ラーメンを傘下に 今後M&Aを積極化

博多ラーメン「一風堂」を展開する力の源ホールディングス<3561>が、M&Aに踏み切った。

経営計画の「2028年3月期へのVision」の中で掲げている、2028年3月期に売上高500億円、営業利益50 億円以上という目標の達成に向けた取り組みだ。

同Visionでは、国内外での新規出店による店舗拡大と、一風堂関連商品の販売拡大などで目標を達成するとしており、M&Aに関する方針は明記していなかったが、今回、同社では「持続的な成長に向けて、M&Aによる事業拡大を検討」するとし、M&Aを積極化する姿勢を見せている。

目標の売上高500億円は、2024年3月期比1.57倍だが、海外については2倍近い伸びを見込んでおり、国内の伸び率1.21倍を大きく上回る。

今回のM&Aは国内企業を対象としたもので、今後は急成長を計画している海外事業での案件にスポットが当たりそうだ。

関連記事はこちら
2025年はラーメン業界でM&Aが増加か 「町田商店」「ラーメン山岡家」が方針を明記

北海道産にこだわったスープや麺を使用

子会社化するのは北海道味噌ラーメン店を運営するライズ(東京都大田区)で、「楓」と「奏」の二つのブランドを東京都と神奈川県で合計8 店舗を展開している。メニューが豊富で、北海道産にこだわったスープや麺を使用しているのが特徴だ。

一風堂は豚骨ラーメンがメインであり、味噌ラーメンが加わることで、幅広い消費者ニーズに対応できるようになる。

今後、力の源ホールディングスが保有する経営資源や、ネットワークなどを活用し、ライズの成長を加速するとしている。

M&Aが成長戦略の一つに

2028年3月期へのVisionでは、国内店舗については、年間7、8店舗の純増を計画しており、都市部や大型商業施設のほか、ロードサイト店や地方都市での出店に力を入れる計画で、2028年3月期には170億円(2024年3月期は139億8200万円)の売上高を見込む。

海外店舗では年間20~30店舗の純増を見込んでおり、既存のエリアと並行して未進出国への出店を進める方針で、2028年3月期には280億円(同143億2200万円)の売り上げを目指す。

商品販売は、カップ麺や乾麺などの一風堂関連商品の販売を国内外で拡大することにしており、2028年3月期の売上高は50億円(同34億7100万円)の見込み。

博多ラーメンの「一風堂」が北海道ラーメンを傘下に 今後M&Aを積極化
力の源ホールディングスの2028年3月期へのVision

力の源ホールディングスが、2017年の上場後に適時開示したM&Aは「インドネシアの飲食店運営会社の買収(2017年)」「台湾一風堂の子会社化(2018年)」「中華レストランPANDA EXPRESS運営の子会社を合弁パートナーの米PRGに譲渡(2022年)」の3件で、今回のライズは4件目となる。

適時開示のほかには、同社の沿革によると「製麺会社の渡辺製麺の子会社化(2009年)」「博多うどんの老舗店「因幡うどん」を運営する因幡うどんの子会社化(2016年)」などがある。近年はコロナ禍の影響などもあり、企業買収は影を潜めていた。

今後は成長戦略の選択肢の一つにM&Aが並ぶわけで、伸びの大きい海外を中心に、飲食店運営会社や、製造や販売などに関する企業などが対象になりそうだ。

博多ラーメンの「一風堂」が北海道ラーメンを傘下に 今後M&Aを積極化
力の源ホールディングスの業績推移
2025/3は予想、2028/3は計画

文:M&A Online記者 松本亮一

『ダイヤモンドMOOK M&A年鑑2025』を100名様にプレゼント
発売にあたり、2025年2月28日までにご応募いただいた方を対象に抽選で100名様に『ダイヤモンドMOOK M&A年鑑2025』をプレゼント。下記のバナーをクリックすると応募できます。SNSキャンペーンからも応募可能ですので、ぜひ皆様、ご参加ください!

博多ラーメンの「一風堂」が北海道ラーメンを傘下に 今後M&Aを積極化
編集部おすすめ