オープンハウス、3500億円のM&A投資枠で米国進出の可能性も

オープンハウスグループ<3288>はM&Aを積極活用し、成長を遂げる不動産デベロッパーだ。2026年9月期までの3カ年で計3500億円のM&A投資枠が設定され、2025年にマンションデベロッパーで子会社のプレサンスコーポレーションをTOBで完全子会社化、子会社を通じて戸建住宅メーカーの永大ホールディングスを取得するなど動きを活発化させている。

M&Aで製販一体

オープンハウスグループは1996年に創業。当初はセンチュリー21のFC店として不動産仲介業で成長し、2001年から自社で新築戸建住宅の販売を開始した。

コンパクトな3階建ての戸建を基本とし、大手が進出しない狭い土地を開発することで成長してきた。大手より比較的安く住宅を提供し、都心部で家を持ちたい会社員世帯をターゲットとしている。

このターゲットに向けた販売を強化するために、M&Aが活用されてきた。2001年に子会社化した創建ビルドは、社名を変え、戸建住宅やマンションの土地の仕入れ、企画・開発、販売を手がけるオープンハウス・ディベロップメントとして活動。2015年に子会社化したアサカワホームは、戸建住宅やマンションの建築を請け負うオープンハウス・アーキテクトとなり、M&Aで製販一体の体制を築いてきた。

過去10年はエリア拡大と事業の補完

以降はエリア拡大、事業補完を目的にしたM&Aが目立つ。2018年に首都圏、名古屋の準都心部のベッドタウンを中心に、リーズナブルな価格帯の戸建住宅の施工・販売を手がけるホーク・ワンを完全子会社化し、都心部のみならず、準都心部もカバー。

2020年には、マンションデベロッパーのプレサンスコーポレーションを子会社化し、関西、東海の都心部でのマンション事業を強化。さらに2023年には東証プライム市場に上場していた三栄建築設計(現メルディア)をTOBで子会社化し、戸建事業全体の底上げや、購買力を強化によるコスト競争力の向上を図った。

2025年2月には、メルディアを通じて埼玉県南部、東京都北部を中心に展開する戸建住宅メーカー、永大ホールディングスの子会社化を発表。首都圏で強みを持つメルディアと同エリア内を中心に戸建住宅事業を展開する永大グループが築いてきた顧客及び取引先との関係性や、良質な商品不動産を仕入れるためのネットワーク等をメルディアが活用できるメリットをあげている。

今では戸建関連事業をコアとしつつ、マンション事業、収益不動産事業へと拡大している。

オープンハウス、3500億円のM&A投資枠で米国進出の可能性も
過去10年のM&A案件(適時開示)
過去10年のM&A案件(適時開示)

今後も中堅企業を買収か

オープンハウスは現中計で国内3000億円、アメリカ500億円のM&A投資枠を設定している。この3000億円には、三栄建築設計の1000億円(有利子負債含む)が含まれているが、十分な余力が残されたままだ。今後のM&Aについて、2024年9月期の決算カンファレンスコールで「事業シナジー・バリュエーションを見て取捨選択している」と説明しており、エリア拡大と事業補完を目的にしたM&Aが続きそうだ。

他方、国内は先行き人口減少もあり、海外進出も重要になりそうだ。同社は現在、日本国内の富裕層向けに米国の収益不動産の紹介や販売も行っており、この事業とのシナジーを重視しつつ、「米国の戸建ビルダー買収も検討している」とコメントしている。米国でのビジネス拡大にM&Aが活用されることもありそうだ。

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