「キティちゃん」が教育の現場に サンリオ、やる気スイッチに資本参加

「ハローキティ」などのキャラクターの販売やライセンス事業などを手がけるサンリオ<8136>は、学習塾や幼児教室、英会話スクール、スポーツ教室などを運営する、やる気スイッチグループホールディングス(東京都中央区)に資本参加した。

すでに30億円を投じて、やる気スイッチ株式の10%を取得しており、今後やる気スイッチによるサンリオキャラクターの活用や、サンリオ店舗でのやる気スイッチの知育玩具の販売などに取り組む。

サンリオは2021年に策定した2024年3月期を最終年度とする中期経営計画の中で教育事業強化の方針を打ち出しており、新たに立ち上げた「エデュテイメント事業室」を軸に教育事業を拡大していく計画だ。キティちゃんが教壇に立つ日は近そうだ。

ピューロランドで、教育イベントを開催

資本参加を機に、サンリオキャラクターの活用や、知育玩具の販売のほかにも、サンリオが運営するテーマパークの「ピューロランド」や「ハーモニーランド」で、やる気スイッチグループの教育ブランドサービス関連のイベントの開催などに取り組む。

またサンリオが新規事業として開発している学習教材を、やる気スイッチグループの教室で活用するほか、サンリオが強い事業基盤を持つ東南アジアや台湾への、やる気スイッチグループの進出なども進める。

サンリオの辻朋邦社長は「国内外の教育サービスで、新たな提供価値を生み出していく」としており、やる気スイッチグル―プホールディングスの高橋直司社長も「子どもの成長をサポートする教育サービスの開発と発展に大きな可能性を感じる」とし、新しい教育サービスへの期待をあらわにしている。

「キティちゃん」が教育の現場に サンリオ、やる気スイッチに資本参加
高橋直司やる気スイッチグループホールディングス社長(左)と辻朋邦サンリオ社長(ニュースリリースより)

業績予想を上方修正

サンリオは2022年2月10日に、2022年3月期の売上高を513億円(前年度比25.0%増)、営業利益を12億円(前年度は32億8000万円の赤字)に、経常利益を19億円(同17億3100万円の赤字)に、当期利益を25億円(同39億6000万円の赤字)に上方修正した。

業績の上方修正は2021年11月2日に次ぐ2回目で、当初赤字予想だった営業損益、経常損益は黒字化する。同社は中期経営計画最終年の2024年3月期に30億円の営業利益を目指しており、初年度に黒字化できたことで、目標達成の可能性が高まった。

【サンリオ業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想

「キティちゃん」が教育の現場に サンリオ、やる気スイッチに資本参加

やる気スイッチは1989年に完全個別指導塾「スクールIE」を開設。1997年に教室のフランチャイズ展開を始め、2013年には教室数が1000を超えた。2020年にやる気スイッチグループホールディングスを設立し、現在は国内外で2000以上の教室を展開し、11万人以上の子どもが教室に通っている。

年やる気スイッチグループホールディングスの沿革 1989 千葉県で拓人を設立し、完全個別指導塾「スクールIE」を開設 1997 フランチャイズ教室の展開を開始 2011 拓人ホールディングスを設立 2013 国内・海外の合計教室数が1000校に到達 2014 拓人ホールディングスからやる気スイッチグループホールディングスに社名を変更 2019 やる気スイッチグループホールディングスが拓人、拓人こども未来を吸収合併し、やる気スイッチグループに社名を変更 2020 やる気スイッチグループホールディングスを設立 2021 学研塾ホールディングスと、次世代型学習モデルの開発、展開に向けてYGCを設立

文:M&A Online編集部

編集部おすすめ