レストラン運営の「すかいらーく」と「サイゼリヤ」本業で稼ぐ力が復活 その要因は

「ガスト」や「バーミヤン」などを運営するファミリーレストラン首位のすかいらーくホールディングス<3197>が2023年11月10日に発表した2023年12月期第3四半期決算(2023年1-9月)で、営業利益が通期予想の99.51%に達し、3カ月前倒しでほぼ目標を達成した。

第4四半期のスタート月である10月の既存店の売上高が2ケタの伸びとなったことを考えると、営業利益が通期の目標を上回るのは確実といえる。

すでに税引き前利益と当期利益については第3四半期の時点で通期の目標数字を上回っており、この結果、2023年12月期は利益の全段階で当初予想よりも大きく伸び、前年度の赤字から一転、大幅な黒字化を達成できる見通しだ。

イタリアレストラン「サイゼリヤ」を運営する業界2位のサイゼリヤ<7581>も、2023年8月期の営業利益が前年度比17倍ほどに拡大し、2024年8月期も81.4%の増益を見込む。

ファミリーレストランはコロナ禍の中、苦しい状況に追い込まれており、行政からの補助金などで耐えてきたが、こうした支援がなくなった現在、本業で稼ぐ力(営業利益)が求められる。すかいらーくとサイゼリヤの営業増益は本物だろうか。その要因を見てみると。

来店客数が2ケタ近い伸びに

すかいらーくの2023年12月期第3四半期の営業利益は99億5100万円で、通期目標である100億円にあと4900万円のところまで迫った。

2023年10月の既存店の売上高は前年同月比111.6%(来店客数109.9%、客単価101.8%)となっており、11月、12月に大きく落ち込む要因が見当たらないため、通期で営業利益が100億円(前年度は55億7500万円の赤字)を突破することはほぼ間違いない。

2023年12月期第3四半期の税引き前利益は79億7600万円(通期目標は75億円)、当期利益は45億3300万円(同40億円)で、すでに通期目標は上回っており、前年度の赤字(税引き前損益は82億2500万円の赤字、当期損益は63億7100万円の赤字)からも大幅な増益となる。

期中に値上げを行ったものの来店客数が減少しなかったことや、食材ロスの低減をはじめ水道光熱費、食器費、消耗品費の削減に取り組んだことが損益の大幅な改善につながった。

第3四半期の売上高は18.8%の増加となっており、通期では16.9%増の3550億円を見込む。

レストラン運営の「すかいらーく」と「サイゼリヤ」本業で稼ぐ力が復活 その要因は
すかいらーくホールディングスの業績推移
2023/12は予想

補助金がなくなっても増益に

一方、サイゼリヤの2023年8月期の営業利益は72億2200万円で、前年度の4億2200万円から大きく伸びた。来店客数の回復などに伴う増収効果(前年度比27.0%増)に加え、食材ロスの削減やエネルギーの効率化による省エネなどに取り組んだ結果、大幅な営業増益を達成できた。

経常利益は26.2%、当期利益は8.9%それぞれ減少したが、補助金収入が前年度の98億6300万円から1億6400万円に減ったのが要因で、通常の姿に戻ったといえる。

2024年8月期も15.1%の増収に、店舗や工場での食材ロスの削減や作業の生産性の向上などが加わり、営業利益は131億円(前年度比81.4%増)を見込む。経常利益、当期利益はともに60%前後の増益となる。

2023年8月期通期の既存店の来店客数は116.3%と2ケタの伸びとなった。その後も2023年9月は121.0%、10月は116.3%と高い伸びが続いている。

すかいらーく、サイゼリヤともに来店客数の2ケタ増という消費者の支持をこのまま維持できれば、稼ぐ力の復活は本物といえそうだ。

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サイゼリヤの業績推移
2024/8は予想

文:M&A Online

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