ストライク<6196>は2月19日、日本初の大規模なベンチャーキャピタルの集積拠点である「Tokyo Venture Capital Hub」(東京都港区)で、スタートアップと事業会社の提携促進を目的としたイベント「第36回 Conference of S venture Lab.」を開いた。
当日は、創業から半年でM&Aを実行したPeopleX(東京都新宿区)の橘大地 代表取締役CEOが登壇。
創業から半年でM&Aを決断したPeopleXの戦略
PeopleXは、2024年4月創業のスタートアップで、AIを活用した採用面接システムを主軸に、企業向けHR(人的資源)プラットフォーム事業や転職エージェント事業を手がけている。
創業者の橘氏は、元弁護士ドットコム取締役で、クラウド契約サービス「クラウドサイン」の事業責任者だったことで知られ、設立間もなく、ベンチャーキャピタル(VC)などから約16億円を調達。人事領域を全てカバーする総合型のHR企業を目指し、M&Aを重要戦略の一つと位置付け、調達資金を元手に、外国籍エンジニアの人材紹介を手がけるアクティブ・コネクターの獲得に動いた。
M&A実施にあたり、VCともコミュニケーションをとり「同時にまとめて3、4社買収すればいいのではないか」(橘氏)という力強い後押しもあったという。
11年間培ってきた外国籍エンジニア人材紹介の実績
アクティブ・コネクターは、2013年に創業。延べ400社ほどの採用支援の実績を持ち、登録者のデータベースは1万5000人以上、LinkedInでのフォロワー数は3万人を超え、求職者と企業の信頼関係の構築に力を入れている。
PeopleXの買収提案を受け入れたのは、橘氏の熱意と誠実さに感銘を受けたからだという。M&Aの意義や今後の展望を丁寧に説明した100枚以上のプレゼンテーション資料は、松本氏の心を動かす大きな要因となった。
交渉に当たり松本氏が求めたのは、全従業員の雇用継続と、雇用条件、働き方の維持。松本氏は「全社員に残ってほしいと要望し、雇用継続を約束してくださり、従業員を重視する会社だということが、会話の端々からわかった」と振り返る。実際に、M&A後も従業員は1人も辞めることなく、高いモチベーションを維持しているという。
M&A成立から100日、PMIの舞台裏
M&A成立後、PeopleXは迅速にPMI(統合プロセス)に着手した。
同社Head of Agentの中川秋星氏は、仲間に加わる相手を尊重しつつ、「彼らがやりたかったこと、やれなかったことをしっかりと吸い上げて事業の方向性を決め、その後でこちらが望むものを合わせていった」と語る。アクティブコネクターを訪問した際には、外国籍が多いアクティブ・コネクターの従業員に合わせて英語でスピーチを行うなど、相手に合わせてコミュニケーションを図ったという。100日間以内で大胆に変えるのではなく、少しずつ改善ながらアプローチし、PMIを進めていった。
アクティブ・コネクターは、譲渡月に過去最高売上を達成。 中川氏は「業務プロセス改善や求人ポジションの連携なども含め、当社の転職エージェント事業とのシナジーがすでに生まれ始めている。今後さらに売上が上がっていくことを期待できる」と話す。好調な業績とM&Aによる統合と相乗効果で事業拡大のスピードアップにも期待がかかりそうだ。
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