
およそ130の国と地域で予選が行わるピッチコンテスト(事業計画の短いプレゼンテーション)「スタートアップワールドカップ 2025」の東北予選が2025年8月22日に、仙台市の東北大学百周年記念会館川内萩ホールで開催され、レアメタル(希少金属)を必要としない⾦属空気電池の研究、開発を手がけるAZUL Energy(アジュール エナジー、仙台市)が優勝した。
3社が世界決勝大会に出場
同社は東北大学発のスタートアップで、同社の⾦属空気電池が大量生産が可能な⾦属錯体⻘⾊顔料とカーボン材料を原料とし、数量の少ないレアメタルを必要としない点が評価された。
森崎景子CBO(最高事業責任者)は「東北大学で始まったアジュールエナジーなので、この会場で名誉ある賞を受賞して世界に挑戦できることを非常に誇らしく思っている」と喜びを語った。
AZUL Energyは、2025年5月に熊本市で開催された九州予選の優勝企業である、味を変えずに塩分吸収を抑制する技術を持つトイメディカル(熊本市)、同年7月に東京都港区で開催された東京予選の優勝企業である、暗号化されたままの機密データをAI(人工知能)で解析できる技術を持つAcompany(アカンパニー、名古屋市)とともに、10月に米国サンフランシスコで開かれる世界決勝大会に日本代表として出場する。
3人の学生起業家もビジネスプランを発表
東北予選にはスタートアップ10社が登壇し、2位には農作物の生産性向上などに取り組む日本農業(東京都品川区)が、3位にはAIを活⽤した業務効率化プラットフォームを提供するJAPAN AI(東京都新宿区)が選ばれた。
また会場では3人の学生起業家がビジネスプランを発表したほか、今回の東北予選に出場できなかった、有機フッ素化合物を分解し無害な物資に変化させる技術を持つPFF(宮城県富谷市)などの10社が「1分間スピーチ」を行い、企業の経営者や担当者、投資家らおよそ2000人(会場約700人、オンライン約1300人)が視聴した。
タレントの田村淳⽒、諦めないことの大切さ強調
当日はピッチコンテストに先立ち、浅尾慶⼀郎環境⼤⾂が「世の中を変えるのは、今、世の中にないモノを生み出すこと。スタートワールドカップ東北予選に参加されている方は、まだないモノを世の中に生み出してほしい。優勝すると100万ドルの賞金があるが、世界に10億ドルの貢献をするつもりで参加してほしい」とあいさつ。
さらに村井嘉浩宮城県知事もビデオメッセージで「皆さんの挑戦がかならずやイノベーションを生み出し社会をより豊かにすると信じている」とスタートアップ関係者を激励した。
またピッチコンテストの審査を待つ間に、タレントの⽥村淳⽒が登壇し「自分の事業はまだ成功していないし、自分の芸能生活も自分の理想として掲げていたところに行けていないが、諦めていない。諦めないための熱量をどうやって維持するかに人生をかけている」と語り、諦めないことの大切さを訴えた。
スタートアップワールドカップは、2017年から開催されており今回が7回目で、世界決勝大会の優勝企業には、投資賞金100万ドル(約1億5000万円)が贈られる。
スタートアップワールドカップの主催者であるペガサス・テック・ベンチャーズは、⽶国シリコンバレーのベンチャーキャピタルで、これまでに⽶国、⽇本、東南アジアを中⼼に 280社以上のスタートアップに投資を行っている。
文:M&A Online記者 松本亮一
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