フジ・メディア・ホールディングスへの株主提案が否決されたダルトン、トーセイなど2社株式を新規保有 2025年6月大量保有報告書

M&A Onlineが大量保有データベースで2025年6月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、元タレントの女性トラブルに端を発した問題で経営が揺らいでいるフジ・メディア・ホールディングスの株主総会で、独自に選んだ取締役候補の信任を求める株主提案が否決された米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが、陸運業のセンコーグループホールディングスの株式5.01%を、不動産業のトーセイの株式5.0%を新規保有したことが分かった。

フジ・メディア・ホールディングス株を買い増し

ダルトンは両社株式の保有目的として「発行者の株価が過小評価されており魅力的な投資機会であると考えて、発行者の株式を取得し長期的に保有する」としたうえで、株価、株主価値の向上のために発行者の取締役らとの間で、「コーポレートガバナンス、取締役会の構成、経営、事業、財務状況、戦略に関して、建設的な対話を行うことを求めていく可能性がある」としている。

また、重要提案行為として、「一般の少数株主等の意見を尊重する独立取締役の選任を求めるなどの役員構成の変更」「株式価値向上のための増配など配当方針の変更、自社株買いなど資本政策への変更」などを挙げている。

ダルトンは2025年6月に共同保有によりフジ・メディア・ホールディングスの株式を0.32%買い増し、保有割合を7.51%にしたほか、2025年に入り3月に半導体商社のマクニカホールディングスの株式5.01%を新規保有し、4月に江崎グリコの株式1.04%を買い増し、保有割合を8.17%に高めた。

また5月に0.06%買い増し保有割合を16.58%に高めていた樹脂部品受託製造の天馬の株式については、同月に全保有株を売却した。

創業者が魁力屋株を2.32%売却

このほか6月は、同社初となる企業買収を決めた、ラーメン店運営の魁力屋の創業者で社長の藤田宗氏が、同社株を2.32%売却し保有割合を66.36%としたほか、ラーメン関連では、米国企業の買収が破談となったワイエスフードの株式を英国の金融会社キャンター フィッツジェラルド ヨーロッパが2度売却(3.35%)し、保有割合を10.86%に引き下げた。

ワイエスフードはグローバル化の準備のため、キャンター フィッツジェラルド ヨーロッパが、ワイエスフード株を海外の機関投資家に売却することで合意している。

このほか外食関連では、ペッパーフードサービスの株式をフラッグシップアセットマネジメントが0.76%売却し、保有割合を8.73%とした。フラッグシップアセットマネジメントは2020年8月にペッパーフードサービスの株式72.27%を新規保有したあと、売却を続けており、前月の5月に保有割合が10%を割り込んでいた。

準大手ゼネコンのインフロニア・ホールディングスの傘下に入ることになった三井住友建設の株式については、野村証が1.34%を売却し、保有割合を3.68%に引き下げた。野村證券は前月の5月に三井住友建設株を新規に5.02%保有していた。

2025年6月の大量保有報告などの提出件数は1085件で、このうち保有割合を増やしたのは284件、新規保有は143件、保有割合を減らしたのは562件、契約の変更などは96件だった。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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