
ドラッグストア業界2位の座を巡って競争が熾烈化している。マツキヨココカラ&カンパニー<3088>が業績を大きく伸ばし、ツルハホールディングス<3391>に売上高であと30億円のところまで迫っているのだ。
売上高1兆円を超える企業にとって30億円は、0.3%ほどのため現状は両社がほぼ並んでいるといってもよさそう。
ただ月次の売上高を見るとマツキヨココカラの勢いに陰りが見え始めてきたのに加え、ツルハは2023年11月に実施した企業買収によって売上高が上振れする可能性があり、どちらが優勢なのか予断を許さない状況にある。
最大手のウエルシアホールディングス<3141>と両社の間には売上高で2000億円ほどの差があるためトップが入れ替わることはほぼない。
予想通りツルハが2位を維持するのか、それともマツキヨココカラが逆転して2位の座に就くのか。M&Aが順位を左右することもありそうだ。
売上高は1兆円台に
マツキヨココカラは2023年11月に2024年3月期の業績予想を上方修正し、売上高を当初予想より500億円多い、1兆300億円(前年度比8.3%増)に引き上げた。
この増収に伴って利益も大きく伸びる見込みで、営業利益は110億円多い755億円と前年度より21.2%も増加し、経常利益、当期利益も20%台の伸びとなる。
新型コロナの5類感染症移行に伴う人流の拡大や、PB(プライベートブランド)商品などが好調に推移したことに加え、インバウンド(訪日観光客)対策で免税対応店舗数を増やしたことなどが寄与した。

ただ直近の動きを見ると2023年11月の全店の売上高は前年同月比6.6%増となり、ツルハの11月の全店売上高の伸び(4.5%)を上回ったものの、12月の全店売上高の伸びは1.4%に低下し、ツルハの伸び(4.1%)を今期初めて下回わった。
2024年1月-3月がどのような数値になるのか、ここが勝敗を分けることなる。

M&Aで順位に変動も
ツルハが2023年12月に発表した2024年5月期第2四半期決算では、通期の業績予想を修正せず、売上高1兆330億円(前年度比6.5%増)を据え置いた。
マツキヨココカラと同じく人流の拡大や、インバウンドの増加などのプラス要因の中、業績は好調に推移しているものの、業績の上方修正にまでには至らなかった。
同社は2023年11月に長崎県五島市で調剤薬局 4 店舗を運営する福江薬局を子会社化しており、2024年5月期はこの売上高が加わってくる。福江薬局の直近(2022年10月期)の売上高は6億4900万円で、大きな額ではないが、30億円の攻防では影響は小さくない。
マツキヨココカラは2021年10月に、当時業界5位のマツモトキヨシホールディングスと、7位のココカラファインが経営統合して誕生した企業で、一気に業界トップを狙える規模に拡大した。
その後M&Aは実施していないが、ツルハとの差がわずかなため小型の企業買収であっても順位の変動につながる可能性はある。
業界トップだが利益は60%ほど
ウエルシアは2024年1月9日に2024年2月期第3四半期決算を発表し、通期の売上高は1兆2300億円(前年度比7.5%増)を据え置いた。同社もツルハ同様、人流の拡大やインバウンドの増加などで好調に推移しているが、上方修正には至らなかった。
ただツルハ、マツキヨココカラの両社とは売上高で大きな差があるため、業界トップの座が変わることはなさそうだ。
マツキヨココカラの攻勢はいつまで続くだろうか。

文:M&A Online