愛猫を最期まで見守るために…知っておきたい『老猫ホーム』のこと どんな場所?利用方法は?
高齢の飼い主と高齢猫

高齢化が進んだ日本における猫飼育の問題点

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65歳以上の人口が全人口の7%を超えると、高齢化社会と呼ばれます。14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会です。日本は1970年代から高齢化社会に、2007年に超高齢社会に入りました。

2022年では65歳以上の人口が29%、75歳以上は15.5%に達しています。

一方、猫の12歳は人間の64歳、13歳は人間の68歳に相当します。2022年に日本で飼育されている猫の年齢構成は、13~15歳が8.1%、16歳以上が6%だと推計されており、13歳以上は全体の14.1%ですので、猫も高齢社会に入っていると言えるのです。

猫の高齢化では、人間同様、介護問題が起こります。シニア期に入った猫には、徐々に筋力や免疫力の低下、認知機能の低下といった老化現象が起こります。

たとえばがんや慢性腎不全などの病気にかかったり寝たきりになったり、一晩中大きな声で鳴き続けたりするため、若くて元気な飼い主さんであっても、日常生活を維持しながら愛猫を介護するのは難しくなります。

さらには、飼い主さんの高齢化でも問題が起こります。飼い主さん自身の老化が原因で愛猫のお世話ができなくなったり、遺された猫のお世話をする人が見つからなかったりするからです。これらの問題を解決するための手段として登場したのが、「老猫ホーム」です。

愛猫を最期まで見守るために知っておきたい「老猫ホーム」のこと

愛猫を最期まで見守るために…知っておきたい『老猫ホーム』のこと どんな場所?利用方法は?
おむつを履いた猫

猫飼育における日本の高齢化について分かったところで、猫の高齢化についてきちんと準備できているでしょうか。

そこで今回は、愛猫を最期まで見守るために知っておくべき「老猫ホーム」のことについて、具体的に解説いたします。どの猫にも必ず訪れる将来のことについて、今のうちにひとつの可能性として確認しておきましょう。

どのような場所か

老猫ホームとは、簡単にいうと、人間の老人ホームの猫版のような施設で、ご家庭でお世話ができなくなった高齢猫を、ご家族に代わって預かり、お世話をしてくれる施設です。

また前述の通り、飼い主さんご自身の高齢化により飼育困難となった猫を預かり、お世話をしてくれる施設も含まれます。

入居できる猫の条件は、年齢も含めて施設ごとに異なります。日常生活のケアだけではなく、動物病院やトリミングサロン等と提携しており、定期的に健康診断やトリミングを受けられる施設もあります。

猫専門だけではなく、老犬も対象としている施設もあります。相部屋や完全個室など、施設形態やサービス内容、スタッフのスキル、利用料金などは、施設によってさまざまです。

利用形態

「短期利用」と「年単位」または「終生」というような中長期での利用が一般的です。

短期利用の場合はペットホテルの利用を考える方もおられるでしょうが、必要な介護レベルによっては預かってもらえませんので、たとえ短期であっても老猫ホームが必要となります。

一般的な入居手順

入居手順も施設によりまちまちですが、一般的には下記のような流れになるでしょう。

  • 問い合わせおよびスタッフとのカウンセリング
  • 契約形態や利用料金の確認
  • 施設見学
  • スケジュール調整
  • 契約締結
  • 愛猫の入居

入居できないケースも

施設ごとに基準が異なりますが、たとえば「攻撃性が高い」「感染症にかかっている」というような猫は入居できないケースがあります。

将来的に老猫ホームの利用を考えている場合は、日頃からきちんと病気の予防をし、最低限の社会化を行っておくことが大切です。

良い「老猫ホーム」を選ぶためのポイント

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ケアを受ける老猫

ここからは、良い「老猫ホーム」を選ぶためのポイントについて解説します。誤った選択で、愛猫の老後を悲しいものにしないためにも、しっかりポイントを押さえておく必要があります。

事前見学

運営母体や第一種動物取扱業者としての登録有無、提携先企業などを調査し、愛猫のお世話を安心して任せられるかどうかを見極めましょう。

そのためには、事前の施設見学は必須です。疑問点はしっかり確認し、その際のスタッフの対応などもしっかり観察しましょう。

見学できない、問い合わせ対応に問題を感じるような施設は、隠したい問題等があるのかもしれません。

利用目的が叶えられるか

「一時利用」と「終生利用」のどちらを目的とするのかなどを明確にし、条件に見合う契約が締結できるかどうかを確認しましょう。

また、猫の年齢制限の有無や、施設からの定期的な報告の有無や方法、面会の可否など、先方が提示している条件に対して、ご自身の希望が合致しているかどうかをひとつひとつ細かく丁寧に確認しておきましょう。

将来起こり得るリスクへの対応

事前に起こり得る状況を複数想定し、対応可否や利用料を確認しましょう。

通常、年間の利用料が数十万という設定が多いようですが、治療費やトリミング費用、介護費用などを別料金で請求されるケースもあります。

また愛猫の発病時に連絡を受け、治療方針などを相談してもらえるのかなど、いろいろな事態を想定して事前に確認したり、希望を伝えたりしておきましょう。

柔軟な対応の可否

飼い主さん側の状況が変わった場合に、途中解約して引き取れるかどうか、または終生利用に変更できるかどうかも確認しておきましょう。

愛猫と一緒に入れる老人ホームが見つかったり、飼い主さんの親戚が引き取れる状況に変わることもあれば、退院後も愛猫の介護が困難になる場合もあり得るからです。

まとめ

愛猫を最期まで見守るために…知っておきたい『老猫ホーム』のこと どんな場所?利用方法は?
女性に抱かれる老猫

施設に問い合わせをしたり見学をしたからといって、すぐに契約しなければならないということはありません。

万が一に備えて、愛猫が若い頃から、また飼い主さんがお元気な頃からいろいろと調査をしておき、愛猫と飼い主さんの双方が幸せに老後を過ごせる準備をしておきましょう。

また、老猫ホームの他にも、超高齢社会や猫の高齢社会に適応した、新しいサービスも誕生することでしょう。

常に新しい情報を集め、愛猫と飼い主さんの双方が最も幸せに暮らせるよう準備をしておきましょう。