
20世紀初頭のアメリカ。実の両親も知らずに育った孤独な男性ロバートは、鉄道建設のために木を切り倒す肉体労働で生計を立てている。
クリント・ベントレーが監督する『Train Dreams』は、アメリカ人作家デニス・ジョンソンの小説を映画化するもの。アメリカ開拓時代という大きな背景を持ちつつ、ひとりの男性の人生と心に焦点を当てる、親密なドラマだ。
主人公ロバートを演じるのは、ジョエル・エドガートン。グレイディス役を務めるのは、『ブルータリスト』で今年のオスカー助演女優部門に候補入りしているフェリシティ・ジョーンズ。脚本はベントレーとグレッグ・クウェダーが共同執筆。このふたりは『シンシン/SING SHING』で、今年のオスカー脚色部門にノミネートされている。
実話にもとづき、本人たちが自分自身を演じる『シンシン/SING SING』は、社会から見過ごされている人々を温かく見つめる感動作だが、人種差別にも触れるこの映画にも、そんな姿勢は感じられる。
ほかには、ウィリアム・H・メイシー、ケリー・コンドンらが出演。
プレミア部門での上映。映画祭は2月2日まで。
文=猿渡由紀