『トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~』7月16日から 約300点の作品でトーベ・ヤンソンの創作の世界を展観
トーベ・ヤンソン「ムーミンたちとの自画像」1952年 インク、紙 ムーミンキャラクターズコレクション © Moomin Characters™

20世紀フィンランドを代表する物語「ムーミン」の小説の第一作「小さなトロールと大きな洪水」の出版80周年を記念して、作者のトーベ・ヤンソン(1914~2001)とムーミンに焦点をあてた展覧会が、7月16日(水)から9月17日(水)まで、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される。

トーベは、第二次世界大戦中の辛い日々からの救いの場として、ムーミンの小説を書き始めたという。

誰もが互いを受け入れ、理解しようとする思いやりに満ちたその物語は、トーベ自身のストーリーと挿絵によって、1945年から1970 年にわたって9冊が刊行された。さらに1952年には、最初の「ムーミン」絵本が刊行され、1954年にはイギリスの新聞で「ムーミン」の連載マンガが始まり、世界的な人気を博した。その後、50代になったトーベは、挿絵がない大人向けの小説に力を注ぎ、10冊以上が出版されている。
『トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~』7月16日から 約300点の作品でトーベ・ヤンソンの創作の世界を展観

トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の彗星」挿絵 1946年 インク・水彩、紙 ムーミンキャラクターズコレクション © Moomin Characters™

ヘルシンキ市立美術館の全面的な協力を得た今回の展覧会は、「ムーミン」の小説やコミックスの原画、スケッチなどの作品に、学生時代から1960年代までの油彩画や愛用品なども加え、約300点の作品が並ぶ大規模展となっている。

見どころのひとつは、幼い頃から画家を目指し、挿絵、諷刺画、公共施設の壁画の制作など、多方面で活躍したアーティストとしてのトーベの創作の世界が広く紹介されること。油彩画に見られる印象派の影響や抽象画への移行など、トーベの画業の変遷もたどることができる。

『トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~』7月16日から 約300点の作品でトーベ・ヤンソンの創作の世界を展観

トーベ・ヤンソン「煙草を吸う娘(自画像)」1940年 油彩、カンヴァス 個人蔵 © Tove Jansson Estate Photo © Finnish National Gallery Yehia Eweis

もうひとつの見どころは、彼女の人生が色濃く反映された「ムーミン」にまつわる250点以上の作品が出品され、ムーミンとその仲間たちの様々な表情に出会えること。何度も描き直されたスケッチから、創作の背景を垣間見ることも可能だ。

そのほか、「ムーミン」の小説の挿絵や、日本ではあまり知られていない壁画が映像で紹介される点も見逃せない。保育園のために描かれた壁画「フェアリーテイル・パノラマ」にはムーミンと仲間たちも描きこまれており、今回は2面あわせて幅約7メートルの原寸大で映像化されている。美しい色彩で詩情豊かに描かれたムーミンたちの世界を、ぜひ会場で体感したい。



<開催概要>
『トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~』



会期:2025年7月16日(水)~9月17日(水) ※会期中無休
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
時間:10:00~18:00、金土・祝前日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
料金:平日一般・大学2,300円、中小1,500円、小学800円 / 土日祝一般・大学2,500円、中小1,600円、小学900円 
※土日祝、8月12日(火)~15日(金)、9月16日(火)、17日(水)は日時指定予約が必要
※開館時間、入館方法については、 変更となる場合あり
公式サイト:
https://tove-moomins.exhibit.jp/

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