04年に滝沢秀明が主演を務めた初演以来、個性の違う旬のスターたちへとバトンが手渡され、アレンジを変えながら演じ続けられてきた伝統の舞台『DREAM BOYS』。昨年のSexy Zoneの菊池風磨とSixTONESの田中樹から、今年はSnow Manの渡辺翔太、SixTONESの森本慎太郎へと歴史が引き継がれた。
オープニングで聴こえてくるのは、お馴染みの楽曲『Next Dream』。渡辺と森本が向き合った瞬間、お互いへの信頼感を感じさせるように微笑みを交わす。コロナ禍で行われていなかったフライングも、彼らからのリクエストにより4年ぶりに復活。ふたりは堂本光一のお手本を見て稽古を重ね、オープニングでは森本が指先まで美しい客席フライングを披露した。渡辺が森本の体をキャッチすると、帝劇は早くもエモーショナルな空気に包まれる。
この舞台ではボクシングを題材にした少年たちの夢と挫折、そして変わらぬ友情が描かれていく。ふたりが演じるのは、一緒に汗を流して本気でボクシングに挑んできたショウタと、チャンプことシンタロウ。ショウタが理由も告げずにボクシング界を去ってしまったことから彼らの仲は壊れ、今は芸能界で活動しているショウタは、チャンプの半生を描く映画の仕事を引き受ける。実は心臓に持病がある弟分のコウキ(川﨑皇輝)の治療費を稼ぐためだったが、チャンプがそれを許すはずもない。
トレーニングで体を鍛え上げた渡辺と体重を落として臨んだ森本のボクシングシーンは、息づかいまで聞こえる臨場感で観客の目を釘付けに。白い肌の渡辺と日焼けした森本の肌が、ビジュアル的にも好対照を見せる。渡辺が作り上げたのは、コウキへの思いをにじませ、全てを引き受ける優しい兄貴としての側面を色濃く感じさせるショウタ像。桟橋でのコウキとのやりとりで笑いを誘ったほか、濡れ衣を着せられて逃げ込んだ古い劇場でのシーンもコミカルな名場面のひとつだ。岸優太、菊池風磨らがマネキンを相手にアドリブを披露してきた場面だが、「アドリブが苦手」だという渡辺は、堂本光一に違う演出を頼んだが断られたという稽古の舞台裏をぼやく新しいパターンで見せ場を作った。
『DREAM BOYS』ゲネプロより、森本慎太郎(SixTONES)
また、これまでの主演たちも経験してきたダイナミックでリズミカルな壁フライングや、腕の力だけでロープを登っていく圧巻のパフォーマンスには、座長としての風格も漂う。森本はどこか気怠いながらも、野生的で威圧的な表情とたたずまいでチャンプの強さと頑なさを表現。すべてを悟っていく終盤には不器用で純粋な顔を見せ、ドラマや映画でも定評のある細やかな演技力を存分に感じさせる。7 MEN 侍と少年忍者もフレッシュかつ安定感のあるパフォーマンスでふたりを盛り上げた。
客席降りで劇場の温度感を上げる演出のほか、堂本光一とコミュニケーションを取り合って完成させたという新曲もお披露目。渡辺が「夢」「偽り」「罪と罰」などの文字が映し出される中でショウタの思いを儚く歌い上げる『光』、森本が7 MEN 侍をバックに従えて王者の貫禄を感じさせる『CHAMPION』が、ストーリーにさらなる奥行きをもたらした。
『DREAM BOYS』ゲネプロより、左から渡辺翔太(Snow Man)、森本慎太郎(SixTONES)、鳳蘭
取材・文:細谷美香 撮影:塚田史香
<公演情報>
『DREAM BOYS』
2023年9月9日(土)~9月28日(木)
会場:東京・帝国劇場
演出:堂本光一
出演:
渡辺翔太(Snow Man) 主演
森本慎太郎(SixTONES) Champ
7 MEN 侍
(中村嶺亜 本髙克樹 菅田琳寧 佐々木大光 今野大輝 矢花黎)
少年忍者
(ヴァサイェガ渉 川﨑皇輝 北川拓実 黒田光輝 安嶋秀生 内村颯太 深田竜生 元木湧 檜山光成 青木滉平 豊田陸人)
紫吹淳 鳳蘭
※出演を予定していた少年忍者・織山尚大は体調不良により稽古期間が十分に確保できないため全日程休演